本澤二郎の「日本の風景」(1607)

<安倍・靖国外交本格始動>
 うがち過ぎではない真実を記録しておきたい。昨年暮れの安倍・靖国参拝に対してワシントンはもろに衝撃を受けた。日米同盟は最悪の危機を迎えた。安倍・国粋主義オバマは不信と怒りを募らせた。それでいて、安倍は今回も、オバマ来日の直前に靖国に真榊を奉納、参拝に替えた。側近閣僚を代わりに参拝させた。愚か過ぎる大統領を印象付けている。それでもオバマは東京にやってきた。ということは、TPPしか念頭にない黒人大統領を安倍は見事手玉に取ってしまったことになろう。


<TPP大幅譲歩でオバマを懐柔>
 恐ろしく危うい日本外交である。日本外交が、安倍の靖国外交に取って代わられてしまったことになる。日本の新聞テレビも、この重大な事態に全く気付いていない。欧米アジアのマスコミも、である。
 安倍外交の恐ろしい点は、その見返りにTPP大幅譲歩を約束しているからなのだ。オバマはそれゆえに東京の寿司外交に屈した。
 最近はTPP加盟の恐怖を伝えるメディアはほとんどない。日本の資産を身ぐるみはがそうとする野心的なワシントン・ニューヨークの1%の罠であるのだが。被害は一人農水産物に限らない。医療福祉など全てにワシントンの1%が襲いかかることになる。
 日本の1%は困らないが、あらゆる産業と庶民大衆の生活に異変が起きてくる。食糧の安全は保障されないだろう。農薬・化学肥料のモンサント・遺伝子組み換えのモンサント、化学薬品漬けによって日本人の生命は、さらに悪化すると、まともな専門家は指摘している。
<クリスチャンなど寿司で手玉>
 神道過激派の狙いは改憲軍拡にある。神道国家主義を進展させることにある。靖国が安倍政治の根幹なのである。TPP推進派は、いうまでもなく日本の財閥である。武器生産と輸出に舵を切っている。
 はっきり言おう。安倍政策の全てが、国民生活のためではなく、財閥のためであることがわかる。原発輸出にかける安倍外交を強要する財閥は、たったの3社である。東芝(三井)・三菱・日立のために、安倍は血税を使ってアジア・中東・欧州に何度も売り込み外交を展開している。
 何度でも繰り返すが、東電福島の3号機、東芝製の原子炉は核爆発を起こしている。広島・長崎の原爆と同じである。それでも「東芝の中核事業は原子炉生産とそれの輸出」と開き直る東芝社長である。
 昔のことだが、小泉秘書に銀座のすし屋で寿司をご馳走になった記憶がある。オバマを招待した同じ店なのかどうか。同じ店なら彼は寿司屋の「神風」かもしれない。
<北京・ソウルは騙せない>
 オバマ来日目的には、プーチンに肩入れする安倍を、元のワシントンに引き戻す狙いがある。安倍はというと、敵対する中国・韓国をけん制する狙いがある。

 昨夜の寿司店でのカメラ撮影を利用したかった安倍の意向に、オバマは反対した。寿司屋でのはしゃぎぶりを北京・ソウルに見せたかった安倍に対して、ワシントンは踏みとどまった。
 オバマはTPPとロシア・ウクライナ問題で安倍の譲歩を手にした。だが、安倍の中国政策にはNOである。何事も軍事力でカタをつけるブッシュに反発して、大統領になったオバマである。
 しかし、彼は神道過激派をよく知らない。国家神道に無知だ。安倍はそこを突いているのだが、しかし、こうした安倍陰謀を、ソウルと北京はわかっているだろう。そう見たい。
 国家神道を認識している。最近の日本財閥への北京・ソウルでの裁判を決断したことからも、安倍・国家主義の、真の黒幕のことに気付いたのではないだろうか。
 上海の裁判所が国際法を適用して、三井の船を差し押さえる事件も表面化している。北京は東京の黒幕のことを、ようやくのことだが、気付いたのであろう。過去をほじくり出せば、韓国もそうだが、中国も安倍退治のカードをいくらでも見つけ出せる。残念ながら、まだ中韓学者レベルでは気付いていない。日本留学生の多くは、財閥の恩恵を受けているからなのかもしれない。
<極め付きは靖国レベルの明治神宮
 本日のオバマ日程に安倍は、オバマ明治神宮を入れたという。国家神道震源地でもあろう。明治天皇を祀る神社である。神宮と呼んでいるが、靖国の兄弟社(やしろ)である。
 小泉の例にならったものだ。ブッシュを行かせた小泉の手柄のようだが、仕掛け人は安倍だったかもしれない。明治神宮参拝は靖国参拝への第1歩である。
 抜け目のない国家神道の野望にあきれるばかりだ。筆者も1度明治神宮に行ったことがある。中曽根康弘講演を聞くためだった。国家神道派の拠点でもある。
 これを政府がやるということは、政教分離に反する。外国の要人を宗教施設に案内するなどと言うことは、国際常識に反するのだが、安倍は神道無知のオバマをブッシュのように扱おうというのだ。その見返りがTPP譲歩である。靖国は本当に怖い。
2014年4月24日8時30分記