本澤二郎の「日本の風景」(1147)

<屈米派に原発ゼロは無理>
 報道によると、2030年までに原発ゼロを支持する国民は70%という。政府調査だ。ということは、実際は100%に限りなく近い。原発ゼロは天の声なのだ。原発の下では日本列島の日本人は生きられない。この数字に原発派・核兵器保有論者の石原都知事も困っているらしい。もっぱら、尖閣所有の地権者から20億5000万円で購入する、という金もうけに執着している。一方、屈米派政権の代表である前原・民主党政調会長は、大好きなワシントンの教会に参詣して、神のお告げを受けるつもりらしい。所詮、屈米派・売国奴の政権では、原発ゼロを実現することは出来ない。有権者松下政経塾を政界から葬るしか、生きられないのである。



<ワシントンが執着する「もんじゅ」)
 あの戦前の軍国主義の時代を、ひたすら平和音楽家反戦楽家として生涯を貫いた吉田隆子さんの存在を初めて知った。ピアノ奏者で作曲家だ。神がかり的な音楽を排除して、ベートーベンに近づこうとしていた。彼女は前後4回も特高警察に検挙された。それでも、信念を曲げなかった、ために体を壊して若くして亡くなった悲劇の音楽家だった。
 彼女のような音楽家がいたことに日本人としてうれしい。政治が悪化すると、反対に良い人間が抵抗するものなのだ。

 ところで、日本記者クラブで会報担当責任者の佐藤女史から「動画取材では駄目。やはり会見の現場取材が大事だ」としかられた。そんなこともあって、最近の会見を調べると、7月24日の米国エネルギー省副長官のダニエル・ポネマンの記者会見内容が気になった。
 彼は「オバマ大統領は原発を重要な要素と位置付けている。原発維持を前提に“もんじゅ”への期待を持っている」と公言していた。
 福井県敦賀市高速増殖炉もんじゅは、事故の連発で成功の見通しゼロである。そもそもこのプルトニウム核分裂させるという高速増殖炉は、先行させていた茨城県大洗町の「常陽」を停止させている。アメリカ・フランスの原発大国も撤退した悪魔の原子炉である。
 それを百も承知で、ワシントンは日本に「やれ」と厳命しているのである。さらに青森県六ケ所村の、54基から大量に吐き出される使用済み核燃料の再処理工場の維持・稼働にも強い支持を与えた。なんということか。
原発再稼働の黒幕>
 原発維持・高速増殖炉継続・再処理工場稼働が、いうなればワシントンから屈米派政権へ届いた指令と受け止めると、わかりやすいだろう。したがって、東京とワシントンの点と線を結ぶと、原発再稼働を強行した松下政経塾政権の黒幕が、誰であるかを改めて教えている。

 おわかりだろうか。ワシントンの民主主義の正体がこれである。人権重視のアメリカではない。同時に、独立国といえない日本を内外にさらけだしているではないか。本来、日本にジャーナリズムが存在すれば、この点を大きく報道して、国民を覚醒させねばならない。しかし、そうしないマスコミである。ここにもCIA傘下の日本メディアを印象付けている。あえて断定したい。
 既に戦後67年も経ているというのに、である。世界にこんな事例など存在しないだろう。

 この発言の主は日本記者クラブの解説によると、米エネルギー省の最高執行責任者という。外務省の説明をそっくり踏襲したものだろう。彼はワシントンの意思を伝えようとして「民生用原子力協力に関する2国間委員会」の第1回会合に出席したものだ。日本から北京に飛んだ。北京では「日本を原発ゼロにさせないから、中国は安心して米国製原子炉を沢山(400基説あり)つくれ」と伝えに行ったものか?
 原発にミサイルを命中させれば、それだけで相手国を退治出来るという戦略も伏線としてあるのだろう。野田は、尖閣問題に絡めて自衛隊出動を口走るなど戦争も辞さない構えを見せているが、54基の原発にミサイル攻撃されたら、それこそ日本人全ての命と列島が消えてしまう。
<野田・松下政経塾は屈米派>
 D・ポネマンは「アメリカ政府は3・11の数日後、34人の専門家と機材を日本に送った。専門知識を提供し、より緊密な関係を構築させた」と自画自賛している。

 史上最悪の原発惨事である。日本政府も、いわんや東電・東芝・日立の当事者に、それを抑え込む知識も能力も機材もない。そもそも安全な原子力発電所なのだから、原発破損など想定する必要を感じていなかったのだ。そのため、原発を日本に持ち込んだワシントンが、東電福島原発事件においても主導したのである。
 一切合財ワシントン任せだった。今もそうなのだ。屈米派の松下政経塾政権では、世界の英知を結集して収束させる、原発ゼロにさせる力など無い。これが21世紀日本の巨大な足かせといっていいだろう。
脱原発派は日米対等論>
 ワシントンの原発責任者は「アメリカにも高速増殖炉計画が存在した。しかし、今はない。“もんじゅ”は使用済み燃料をまた燃やせる点で、実に魅力的だ。アメリカにない重要な研究である。メリットがある」と臆面も無く語った。彼にとって日本国民の原発ゼロの思いなどは眼中にないらしい。
 なぜならば日本は属国なのだから。命令さえすれば、それで全て終わり、という思考回路が、67年前からワシントンに定着したままなのだ。

 従って日本自立のためには、まずもって日米対等論の立場に立つ必要がある。脱原発を求める主権者は、日米対等派の政権を打ち立てるしか道はない。パリやベルリンのような東京にするのである。これは当たり前のことで、こと新しいことではない。
 岸信介中曽根康弘小泉純一郎野田佳彦のような屈米派から、せめて田中角栄大平正芳鳩山由紀夫のレベルに引き上げなければならないのだ。
<CIA離脱の新政府の幕開け>
 秋の総選挙は非常に重要な選挙である。CIAから離脱する、自立する政府を誕生させねばならないからだ。日本国民であれば、誰しもがこれに汗をかかねばならない。義務だ。
 日本再生がかかっている。どうやらCIAは、次の政権に新たに配下に加えたとされる橋下徹の、時代がかった国家主義、中曽根や石原と同じレベルの屈米派の政権構築を狙っている。「いい加減にしなさい」という思いを抱くのは筆者1人ではないだろう。

 反民自公政権を打ち立てる責任が、日本人全てにあるのである。ワシントン・霞が関・大手町に操られる屈米派政権では、野田内閣と変わるところが無い。大増税は、霞が関とワシントンに吸い上げられる。国民の福祉に回らない。原発利権もまた、霞が関とワシントンに吸収される。
 もうこんな売国奴政権とオサラバしなければならない日本である。
2012年9月3日9時55分記