本澤二郎の「日本の風景」(1209)

<「未来の党」に無党派の希望>
 滋賀県の嘉田知事が昨日、反原発を軸にした「日本未来の党」を立ち上げた。小沢一郎の強い働きかけがあった、とマスコミは背景事情を伝えている。これに亀井静香など反原発を公約していた政党が合流する模様だ。ようやく無党派の反原発・反10%消費増税・反TPPの投票先が確定した。いいことである。「未来の党」は、無党派の受け皿であろう。嘘つき政党・好戦派自民党・極右を嫌う、投票ボイコット派をつなぎ留めることができるだろう。嘉田知事のことは、よく知らないが顔つきからして真面目そうでいいのではないか。真面目な市民は、日本を「未来」に託そうではないか。



<3・11原発NOが決起>
 「未来の党」が、まじめな反原発文化人を取りそろえたりすれば、民主は当然のことながら、極右の安倍・自民、石原・維新を弾き飛ばせるだろう。これぞ「オリーブの木」の軸となろう。
 小沢の「生活」を国民の目から封じ込めてきた新聞テレビも、これからは無理というものだろう。
 既に無組織の反原発派は、毎週金曜日に数万人を首相官邸に結集させている。そのエネルギーはただ事ではない。代々木公園には10万人を集めた。無組織の市民の怒りの輪でもある。その代表に平和主義派の嘉田知事が就いたのである。さすがは小沢や亀井である。みどりの風も合流したらいい。社民党も参加すべきだろう。同党は単独だと消える政党になる運命だ。
 落選間違いなしの民主党議員も、まだ間にあうかもしれない。飛び込んで国民に奉仕する真面目な議員になれ、といいたい。共産党の横槍など吹き飛ばせばいい。
 3・11は史上空前の原発大惨事だ。放射性物質は広島や長崎の比ではない、と専門家は指摘している。広島・長崎の教訓を学ぼうとしなかった中曽根・ナベツネ霞が関が招来させたような事件である。前者の犯人はワシントンだが、後者はそこと手を組んだ中曽根や原発官僚である。
 「もう核はご免だ」といって、子供を持つ母親が立ち上がった。学生・サラリーマンも。中国では公害企業を排除するエネルギーを人民が持ち始めた。ネットの威力であろう。だれも止められない。「アラブの春」は世界的広がりを見せている。新聞テレビだけが世論操作の武器ではない。ネット選挙が、無党派に投票を呼びかけてゆくだろう。原発のない社会は、非原発エネルギーの集中開発によって、新たな経済活動を活発化させる。のみならず、国際社会で名誉ある地位を確保できるだろう。
 3・11の教訓を学ぶ選挙が、今回の総選挙の最大の争点なのである。安心・安全・環境を大事にする日本にする「未来」にかけるしかないだろう。財閥や官閥やCIAのいいなりにはならない日本になるだろう。これは3・11が日本人にくれたプレゼントだ。画期的な新党の誕生ではないか。待望の「東京の春」なのである。
<真のリベラル3極>
 「未来」は、極右の自民党や維新の会ではない。石原や安倍とは対極に位置する。かつて小沢・亀井らは、安倍や石原と同じ自民党に所属していた。前者は悔悛して、人生最後の勝負を市民のための政治に挑戦している、と筆者には受け止めることが出来る。
 片や安倍・石原は極右の体質をひけらかしている。鎧兜に身を包んで、あらぬ世界に日本人を連れ出そうとしている。しかし、21世紀の日本では無理だ。日本人の心を、マインドコントロールするための神社神道に神通力はない。神様の天皇もいない。連中がいくら釈迦力になっても、そのために尖閣を悪用しても、日本人の若者を沖縄の米海兵隊のような人殺しの凶器に変えることなど不可能だ。
 その点で「未来の党」は安心だ。嘉田知事から極右を連想することは出来ない。3・11を体現したような平和主義者・リベラリストに違いない。真のリベラルの3極なのである。
<極右の安倍・石原をはじき出せ>
 今日、欧米にも極右が存在しているが、多数派になる力はない。イランやアフガンの戦争をしても、アメリカ人が極右に馴染むことはなかった。市民は黒人大統領に8年間、政治を任せる決断をした。
 極右が多数を占めることなど信じられない。核武装改憲軍拡の安倍と石原に身をゆだねようとする日本人が、多数派になる?信じられない。しかし、油断はできない。メディアのナベツネ化は、まだ継続しているからだ。
 週刊朝日の連載記事は、あっさりと橋下の反撃に屈した。背後の闇に朝日新聞が屈したのだ。闇の力は相当なものらしいが、そのことは逆に極右の不気味さを内外に知らしめたことになる。
 総選挙の決め手は無党派市民の動向である。彼らが決起すれば、たとえ公明党創価学会が安倍の狂気を支援しても、多数を制することなどできないだろう。日本共産党が一部の反原発派を取り込んだとしても、極右を多数派に押し上げられないと信じたい。
<大阪の政治音痴を吹き飛ばせ>
 大阪のやんちゃ坊主に、日本人が取り込まれるのであろうか。心に深い傷を負った者たちに同情することは、決して悪いことではない。むしろ、好ましいことである。
 しかし、心の深い傷が政治の場面で暴走すると、どうなるのだろうか?自民党の元ベテラン秘書の指摘は「それは危うい」と決めつけている。
 彼の周囲には、小泉側近や松下政経塾、極右の歴史教科書グループ、極右の教団、そしてギャンブル業界までがまとわりついている、と関係筋によって指摘されている。
 橋下の言動は、その時々で大きくぶれている。彼がまだ、政治をよく知らないからであろう。側近の指令に従うからだ。まともな人間で石原に心酔する人物などは、これまでのところ永田町に一人も現れていない。このことが、橋下の「政治音痴」ぶりを物語っていると決めつける専門家がいても不思議ではない。
<財閥から民主主義を取り戻そう>
 「未来の党」こそが、日本を希望に導く政治勢力と断じたい。3・11の教訓をしっかりと認識した面々だからである。日米中の健全な関係構築も期待される。無党派の決起で、安倍と石原・橋下を吹き飛ばせるだろう。そこに日本の未来が約束される。財閥から民主主義を取り戻そうではないか。
 残念ながら、現在のところ、他に健全な民主主義の政党は存在しない。仮に存在しても小さくて、市民の支持を取り付ける力はない。小党は「未来」に合流して、一大変革の歴史に身を投じたらいい。これこそが「小異を残して大同につく」ことなのである。
2012年11月28日7時25分記