本澤二郎の「日本の風景」(1245)

日本テレビに政界フィクサー登場>
 1月5日の昼前のテレビ番組のチャンネルを回していると、見慣れた2老人が現れた。途中だが、退屈していたので、しばらく付き合って見てしまった。政界の黒幕・フィクサーである。94歳と86才だ。場所は「なかそね荘」とあった。窓越しに小さな滝が見えた。豪邸も大豪邸だ。そこでの言い分が、実に振るっていた。「相続税を免除すれば、景気が良くなる」と86歳が吠えた?富裕層に増税を主張するオバマとは正反対なのだ。資産蓄積が原発利権でないことを祈りたい。


<反省ゼロの中曽根・ナベツネ老人>
 ナベツネと中曽根は、二人三脚で階段を上りつめた人物で知られる。新聞と政治だ。屈米派の権化のような日本人である。地震大国に54基もの原発を建設してきた中核である。日本沈没の元凶でもあろう。

 2011年3月11日の大震災と史上空前・最悪の原発大惨事で、少しは反省の弁を聞かれると思ったのだが、全く無駄なことだった。中曽根は「原子力は活用しなければならない」と従来通りの意見を吐いて、開き直った。
 福島や東北の被曝者は見ていたのだろうか。もし、この番組を見ていれば、怒りで心が狂ってしまったであろう。40年はかかるとされる廃炉、使用済みの核のゴミの処理をどうするつもりなのか。
 不都合なことには、一切沈黙した。だいたい日本テレビナベツネのいいなりのテレビ局で、民意など反映しない電波だ。質問者は、世の中のことなど何も知らない、ナベツネお気に入りの女性アナなのであろう?突っ込んだ質問は一切しない。ボケ老人の独演会と勘違いした視聴者が少なくなかったろう。
原発再稼働を豪語>
 二人とも原発維持・推進派で知られる。広島・長崎の教訓と向き合えない極右・国家主義思想の持ち主である。彼が主導している読売の社説では、韓国ソウル高裁の靖国放火犯の中国引き渡し決定に対して、極右の言い分を主張して、安倍を弁護した。韓国紙・中央日報の「歴史の再認識を」とは、真っ向から対立している。
 侵略・植民地支配を受けた韓国・朝鮮人の心の傷は、100年で消えることなど無い。それは広島や長崎の市民も同様である。
 そうした民意をくみ取れない2老人が、今も君臨して日本を駄目にしている。日本人の心を狂わせている。ナベツネは「10基、20基の再稼働は当然」とも開き直った。
 ナベツネの親分、旧内務官僚の正力松太郎はCIAの代理人として、原発を日本に持ち込んだ、いうなれば54基の主役だ。中曽根もCIAと親しい同列の旧内務官僚・旧日本海軍将校として原発利権に暗躍してきたと指摘されている。右翼・暴力団のドンとして戦後政界のフィクサーとして恐れられた、これまたCIA代理人児玉誉士夫を使って、中曽根は政界、ナベツネは読売の階段を上った人物だと、多田・読売元政治部長は筆者に語っていた。
 人間の命の重さがまるでわかっていない。安全神話は崩壊している。それでも原発を維持・推進するという、そのことが理解できない。人間ではないのかもしれないが、そうした人物に政治も経済も乗っ取られてきた日本なのである。
<どうする核のゴミ>
 山と積まれた使用済み核燃料の処分は、いかに科学が進歩しているとはいえ、誰も出来ない。核は悪魔の物質だ。人間が手を出してはならない物質である。人類は広島と長崎で目撃している。スリーマイルやチェルノブイリでも確認している。
 それでも「やめられない」とわめく老人の先は長くはない。彼らが核のゴミを処理してくれることなど100%ない。福島の廃炉への対応すら判明していない。40年で処理するというが、本当のところは誰もわからない。
 福島の4号機の使用済み核燃料棒の処理も、まだ手つかずではないか。これが新たな地震で空中に飛び出すと、首都圏は壊滅する。専門家は「首都圏から逃げろ」と今も叫んでいる。
 老人はそれでもいいのであろうが、将来のある若者・子供はどうするのか。政治家や言論人は、彼らにすばらしい自然を残す責任がある。ボケた老人は、そのことさえも忘れてしまったのだろうか。
<日米同盟に集団的自衛権行使>
 日本国憲法は、二度と戦争をしない日本に鋼鉄の縛りをかけている。武器・弾薬で国民を守ることなどできない。それが戦争の教訓だ。まだ67年しか経っていないではないか。
 老人は、これさえも放棄しようというのである。「日米同盟のためにアメリカの戦争に協力しよう」ともわめいている。憲法が禁じる集団的自衛権の行使をやれ、とすごんでいる。アメリカの戦争に対して、アメリカの市民も反対しているのが、今のワシントンだ。
 イスラエルのイラン攻撃に反対するオバマ政権だ。日中の領有権紛争は話し合いで、がワシントンの立場である。韓国とも「仲良くしろ」がワシントンだ。そのための安倍特使派遣ではないか。
 ワシントンに巣食うネオコンに操作されていることに、日本人としてためらいはないのかどうか。中曽根は元海軍将校とはいえ、戦闘部隊ではない。鉛筆の世界での勤務だった。鉄砲玉が飛び交う2等兵ではなかった。ここに改憲軍拡論のルーツがある、と指摘する自民党リベラル派もいた。そうかもしれない。

 ワシントンのネオコンと東京の天皇国家主義者の主張に屈服するような平和国民はいないだろう。「ムサシ」選挙で、たとえ改憲軍拡派を議会の3分の2を抑えても、日本国民の多数はそれに屈服しないだろう。目下、問題の選挙屋の正体暴きが始まった。期待したい。
<富裕層保護して景気対策?>
 超豪邸を背景にしてナベツネは、彼の景気回復方法を披歴した。原発再稼働と同じような、奇想天外な見解だった。
 それは彼の現在を象徴する言い分だった。財閥・富豪の代弁者でもあった。フィクサーはとてつもない資産を集めることで知られる。
 「相続税を免除すれば景気が回復する」と力説、そうしない財務・大蔵官僚をなじった。その一方で、消費増税を擁護した。正体見たり、とはナベツネや中曽根のことであろうか。
 富豪・富裕層の相続税には必ずといっていいほど、お目こぼしがあると聞いている。財務・大蔵官僚が助っ人をするからである。不正・腐敗の温床となっている。
 既に安倍についても、脱税の疑惑が報じられている。国会が開かれると、野党の追及の標的になるだろう。今年のG8の主題は、富豪・富裕層対策である。父親の政治資金資産を継承した安倍の対応も注目されるところである。
<森本アナ撃墜に原発報道>
 2012年7月24日放映されたNHKの「原発事故調 最終報告」という番組を、これも偶然「YOU TUBE」で見た。NHKの原発報道で初めて見た、まともな報道番組である。キャスターが森本アナであることを知った。NHKにも真面目な人物の存在を初めて知った。彼の番組は嘘と隠ぺいのNHKではなかった。保証したい。
 パソコン所有者でまだ見ていない読者は、見るといいだろう。中曽根やナベツネの嘘に気付かされるだろう。
 東電の人災事故をクローズアップさせた、すばらしい企画番組だった。それで思い出した。彼が「電車内で女の子に悪さした」という理由で、追尾してきた警察官に捕まったことを。同じ手口でエコノミストの植草もそうだった。雑誌編集長も。

 東電に歯向かう反原発の人物は、誰でもドブに落とし込むのだ。命を奪われた東電の反原発女性幹部社員のことを思い出して、改めて悔しくなってしまった。彼女だけではない。福島県知事の座を追われて捕まった佐藤栄佐久のことも。みな東電と政府一体で、善良な反原発日本人の人権・命を剥奪してしまうのだ。悪しき権力と一体化して、真面目なジャーナリストを潰す許しがたい蛮行である。ロシアと同じではないか。
 これに被害者のマスコミが協力させられている。真相を暴くジャーナリストはいない理由なのだ。仮に、いても紙面や映像で伝えることはできない。恐ろしい日本だ。今回の12・16総選挙での反原発派候補の落選には、選挙屋「ムサシ」の暗躍があったという想定が、より真実味を帯びてくるではないか。
売国奴に屈するな>
 こんなことが、どうしてなのか?根っこは腐りきったままなのだからだ。中曽根・ナベツネも証明してくれた。悪魔が暗躍する日本なのだ。しかし、フィクサーが表舞台に出たということは、国民の圧倒的な反原発運動と関係しているだろう。国民の怒りに、彼らは仰天してあぶり出されたのだ。
 日本は、広島・長崎と今回の東電福島事件で、新たに核の洗礼を受けてしまった。しかし、断じて第2の福島を受け入れる日本人であってはならない。森本アナが、このまま屈することはないであろう。彼は、NHKの腐敗した内部をあぶり出すことに力を貸してくれるだろう。
 これ以上、屈米派・売国奴に屈してなるものか。
2013年1月6日10時35分記