本澤二郎の「日本の風景」(1330)

<封じ込められた国家主義台頭の日本>
 安倍・国家主義路線に対して、アジア・太平洋諸国は日本封じ込めを完結させた格好である。先に中国の習近平主席は、オバマアメリカで最大級の歓待を受けた。そして今、その中国が朴・韓国大統領をこれまた最大級の歓待をした。中国封じ込めを狙った安倍・麻生・石原の国家主義政治に対して、ワシントンと北京、ソウルが逆に日本を封じ込めてしまったのだ。経済・貿易にも影響が出てくるだろう。文化その他にも。戦後に否定、封じ込められた国家主義の台頭を、国際社会が受け入れることはない。


<安倍・国家主義を察知した米リベラル政権>
 ぼっとしている日本の有権者に代わって、国際社会が反発、それを封じ込めているのである。善良な日本人の恥ではないだろうか。結果的に安倍・国家主義自民党に塩を送る公明・共産両党は、国民にどう説明するつもりだろうか。都議選勝利で浮かれているようだが、とんでもない勘違いをしている。彼らは歴史に耐えられるのか。参院選で自公圧勝という場面を、ひたすら恐れる。
 それにしてもまるでイソップ物語を、そっくりとなぞっているような国際政局を見せつけられている日本人である。
 隣国との対立を作り出して、日本人をナショナリステックに変身させる。そうして改憲軍拡の国家主義体制を実現するという安倍路線を、アジア・太平洋の指導者は察知したのだ。そうしてアメリカン・リベラルは、中国と韓国と連携して安倍封じを貫徹してしまった。

 筆者は当初、朴大統領を誤解した。彼女の父親の血を引いていることへの不安だった。実際は父親の人権弾圧という誤れる政治を否定して、その父親の責任を負うための政治をしているようだ。父親は日本軍の先兵として知られる。父親を反面教師にしている。
 そんな彼女を、オバマ習近平も注目している。これは、祖父のA級戦犯容疑者の価値観を体現している安倍との、大きな違いである。
<嫌われる異質の日本>
 先に北京訪問のおりに、王府井の雑貨店に足を踏み入れた時のことである。買い物をしながら、片言の言葉で若い女性店員に「君は北京人」と問いかける。すると、決まって地方の都市を口走る。むろん、そこがどこかわからない。今度は彼女が逆に「日本人か」と聞いてくる。
 日中友好の時代は、日本人と胸を張れる。今は全く違う。「韓国人」と嘘をついてしまうのだが、むろん、その時は笑顔で応じてくれる。確かに今の中国に日本人観光客は少ない。しかし、中国の懐は深い。地方からの観光客で北京市内は膨れ上がっている。
 そうだからといって、中国人が日本人をいじめることはない。みな親切だ。地下鉄で2度も席を譲られた。日本では経験がない。小泉時代から日本への信頼は消えてしまった中国である。其の分、ドイツ株は上がる。歴史の教訓を学んでいるドイツと、その反対の日本だからである。
 安倍や石原、麻生に盧溝橋や南京を歩かせてみたい。国家主義者の心を覗いてみたいからだ。友好という人間としての最低のルールがどういうものなのか、是非とも彼らを通して確認したいものだ。
ハルビン安重根記念碑建設>
 朴大統領はオバマや米連邦議会での演説で、歴史の教訓を否定する安倍・国家主義路線を厳しく断罪した。それは北京でも繰り返された。対日認識で中韓両国は、深く連携したその政治的成果は計り知れない。
 日本の国家主義台頭が、米中韓の連携を強固にさせたのだ。安倍の大馬鹿野郎と叫びたい気分になる。
 従軍慰安婦問題をはぐらかす国家主義台頭の日本に対して、韓国は米国の各地に慰安婦の碑を建設した。今回、韓国大統領は中国の国家主席に「ハルビンの駅頭に安重根の記念碑を建立したい。協力してほしい」と要請した。主席は即座に協力を約束、指示を出した。
 これが建設されると、韓国人観光客はハルビンに押しかけることになろう。韓国人は中国観光、中国人は韓国観光という構図が、さらに確立することになる。さりげなく国家主義を煽る日本の新聞テレビも、こうした潮流の貢献者・共犯者なのである。
安重根は民族の英雄>
 安重根南北朝鮮の人々にとって英雄である。日本軍国主義植民地主義の象徴であった初代朝鮮総督伊藤博文を暗殺した、正に英雄なのである。
 歴史を教えていない日本人の若者は、この英雄の名前を知らない。筆者も知らなかった。知ったのは、在京政治部長会で韓国を訪問した時のことである。
 それはソウル五輪の際だった。大統領会見を終えて、バスで移動中に何かのことから、隣に座っていた産経新聞のK政治部長安重根のことを言い出した。恥ずかしいことだが、それが最初だった。
 後に、彼の監視役の日本軍人が、彼の筆による書をいただいていたことが判明していることも。安重根を尊敬する日本人もいたのである。日本史は伊藤博文を評価しているが、半島では極悪非道の人物なのである。
<笹川財団と米ネオコンの連携を警戒せよ>
 気になるネット情報を掲示板「文殊菩薩」で読んだ。ワシントンのネオコンで知られる日本調教師のR・アーミテージやJ・ナイ、M・グリーンらが「日米安保研究会」を立ち上げたというのだ。6月24日のことである。日本のスポンサーは右翼財団で知られる笹川平和財団だ。中曽根康弘もそうだが、怪しい団体は決まって平和の文字を使う。
 最近は、財団のメンバーをNHKがよく起用している。NHKが右翼に毒されていることも警戒する必要があろう。
 ギャンブルの売り上げを日米産軍体制支援に回すというのだ。オバマに排除され、新たなスポンサーを見つけたのだ。これに元右翼外交官の岡本とか、三菱の顧問らが参加している。年に2回会合、その都度、軍事利権報告書を公表して、引き続き荒稼ぎをしようとしている、と見られがちだ。
 血税に手を突っ込もうとする、怪しげなジャパン・ハンドラーズに警戒する必要があるだろう。

 安倍封じに対抗する日米右翼の連携である。
2013年6月30日8時55分記(アクセス28日3464件、29日3416件)