パンに針混入事件に思いを巡らせると、、、、

黄泉の国から   「岩下俊三(旧姓)のブログ」からリユーアル


神奈川県座間市相模が丘のスーパーマーケットから4日朝、「客が買った食パンに針が入っていた」と県警座間署に通報があったことが5日、座間署などへの取材で分かった。けが人はなかった。同署が偽計業務妨害容疑で調べている。

 同署によると、6月下旬に購入した食パンを女児(11)が食べたところ、長さ約4センチの針1本が入っており、女児の母親がスーパーに連絡した。袋には穴が開いていたという。同署は、千葉県内で発生した同様の事件を何者かが模倣して混入した可能性もあるとみて捜査している。(産経)

所謂三面記事には興味がなかったがこの記事を見て怒り心頭になりながらも音を立てて崩れていく日本社会の崩壊を感じてしまった。この全国に拡大しているパン針混入事件はいくら容疑者が捕まっても、その後キノコのように次々と生えてくるのだ。軽い刑罰はさらに模倣犯の蔓延を助長し、テレビのワイドショーは犯罪のなり手=あらたなヒーローを増やしているとしか考えられない。

無責任な大人の利己主義的な教育の陰の成果が出現してきたと言っても過言ではない。ついに社会を崩壊させ若い稚拙な人間を生み出した政治の責任は大きい。もう打つ手は少ない。バブル以降の一見政治的な「凪」は実はこうした隠花植物を培養していたのである。

旧態依然としたむしろ復古調の教育制度を掲げ、ブクブクと太った教育利権を食い物にする政治家と日教組が対立しながら「妥協」し共存共栄を謀っていった結果がこれであろう。「軽薄な若者、社会不安と落ちこぼれの不満の表れだ困ったもんですね、、、」といえば済むと思っている大半の大人に、責任があることを自覚していないというか、全く気が付いていないところに、むしろこの事件の根深い底なし沼の不気味さがあるというのに。

何時の時代も卑劣漢はいると達観して諦めているひとも多いと思うが、この卑劣な小心者の犯罪は常軌を逸している。鬱屈した敗者、弱者の論理はしかし絶対に自分の匿名性だけは守りながらも、他者を間接的に無差別に傷つけるという、邪悪な歪んだ精神を興奮させ最も卑怯な方法を採っていくのである。

統計的にみても若い世代の自殺は深刻な状況にあり、20〜39歳の各年代における死因の第1位は自殺との調査結果が出ている。国際的に見ても、15〜34歳の世代で死因の第1位が自殺となっているのは先進7カ国では日本だけで、その死亡率も他の国より高いのである。

これを単なる格差や貧困の問題とするべきではない。単純な格差や貧困の拡大(たしかにこれも問題だが)ならデモや民衆の暴動が起きてもおかしくはないのだが羊のようにおとなしい。いっぽうで社会に絶望し自分の将来に何の展望も開けない若者は、もう政治に期待など出来ず(なんども政治に裏切られてきたので)内にこもるか自殺するか、オタクに嵌ってしまうのである。

一握りの強者を除き、こうして社会にはじき出された若者のエネルギーが著しく歪み卑劣極まりない犯罪への駆り立てやがて社会のバランスは失われ最後には崩壊するのが避けられない事態に陥るであろう。

ホームレス狩りをする中学生もいくら禁じても河川ゴルフをする老人もただの軽薄な馬鹿者というだけではなく「ここまでならいいだろう」「これくらいなら押し通せる」と細かく計算してやっている。そこには秩序紊乱にまで「いかないだろう」という卑劣な安心感が漂っているからだ。

ダメなものはダメ、とか違反は違反という断固たる姿勢が政治にも生活者にも欠落している。この堕落がいつかは社会を次第に破滅させていくのだ。

パンに針を入れるのは言語道断だが、今のところ儲けるために原発を再稼働し、いまのところ大丈夫みたいだから少しずつ消費税をあげ、断固まもるといいながら少しずつ妥協を重ねTPPをアメリカの意向に合わせる、、、など「ちょっとならいいだろう」という精神の蔓延こそが社会を根底からダメにするのである。

昭和22年食糧難の時代、山口良忠という「武士」がいてヤミの食料をいくらでも合法的に手に入れる立場にあったのもかからわず、同職の周りが必ずしも法を順守せず「これぐらいはいいだろう」と誤魔化していたときにあって、彼はヤミを拒否し餓死したのである。

今の特捜部の馬鹿どもにきかせてやりたいものだ。

「ならぬものはならぬ」かっての八重や山口検事の断固たる正義感がなくして、なに「日本を取り戻す」だ。

ばかいってんじゃねぇ!