本澤二郎の「日本の風景」(1429)

<米ドル崩壊を告発したIMF元職員>
 東京では昨日10月13日、反原発の大集会と国会デモが繰り広げられた。戦争する態勢づくりを急ぐ安倍・国家主義路線が強行される中で、福島の怒りのエネルギーが消えることはない。他方、ワシントンでは世界銀行IMF)の元シニア・カウンセラーのカレン・ヒューズ女史が「ドル崩壊」を内部告発、それがYOU TUBEに掲載された。運よくネット掲示板で見つけた。ロシア亡命中のスノーデン元CIA職員の告発に劣らない衝撃的証言である。




FRBの際限ないドル印刷>
 米ドルは米政府機関の財務省が印刷している、と勘違いしている人たちが多いと聞く。実際はFRBが「際限なく印刷している」、これを米政府が借金している、それも際限なく、などという魔術が永遠に?ありえないことなのだ。
 ドルは崩壊しているといっていい。
<資産の裏付けのない通貨は崩壊>
 女史は「資産の裏付けのない通貨である米ドルは崩壊する」と決めつける。その通りである。紙でしかない印刷物の米ドルには、資産の裏付けが無い。ドルの価値はないのだ。

 日本や中国などは、この価値のないドルをありがたく保有している。これを手離せば、それだけでアメリカは崩壊するだろう。過去において橋本龍太郎首相が、このことを口にしたことがある。
<世界通貨は金など資産に裏付けられねばならない>
 彼女は共和党にも民主党にも関係していない。中立的な立場からの指摘である。世界通貨は金などの資産に裏付けられて、初めて国際通貨として通用する。今の米ドルは、どうころんでも「価値が無い」と断じている。
BRICS金本位制を始めた>
 カレン・ヒューズ女史は「新興国のブラジル・ロシア・インド・中国は既に金本位制度による自国通貨で貿易を始めている」とも新しい潮流も指摘している。
 価値のない米ドルから離脱するBRICSというのである。日本はと言うと、この資産の裏付けのない円を、輪転機を回転させるFRB方式を真似て大量の円を印刷、露骨な円安政策を強行、これをアベノミクスと称して、混乱に輪を懸けている。
<米共和・民主は腐敗勢力に買収>
 米国の議会も日本と同様である、というのだ。納得出来る指摘だ。政治家は政治屋に成り下がっている。「腐敗勢力に買収されている」という女史の指摘に頷くほかない。日本の政党政治屋、特に与党は財閥に抱え込まれている。安倍の国家主義政策のほとんどが、財閥の意向であることと似ている。
<腐敗勢力とは、金融・メディア・グローバル企業>
 日本の腐敗勢力の根ッ子は財閥である。財閥が金融・マスコミを牛耳っているが、アメリカも1%が腐敗勢力として資本の根幹を支配している。新聞テレビも、この輪の中にはまり込んでいる。
 3・11の福島東電原発事件に対して、政府はいうまでも無く国会も無力だった。新聞テレビも、である。嘘と隠ぺいは現在も継続している。資本主義社会最大の恥部である。
<米国税金は国外送金>
 米国民が収めた税金のほとんどが、米国外に送金されているという。
 「英国経由でバチカンに流れている」とも指摘する。ここがよく理解出来ない筆者の頭脳である。英国とは世界の金融資本を抑えているロンドン金融街のことだろう。バチカンカトリックの総本山である。
<秘密の超組織体が存在>
 彼女は闇の腐敗勢力の根源についても言及している。「スイスの専門機関の研究」だとして、資本市場の上場企業43万社が「秘密のスーパー組織体に支配されている」と紹介する。
 ロックフェラーやロスチャイルドの超財閥を指しているのであろうか。世人の知らない闇の秘密結社が、この地球を操っている?何となく理解できそうだ。
 「彼らは世界の年間収益の60%、世界資産の40%を所有している」ともいうのだ。「実際に得る富の10倍を企業から奪っている。株式市場でインサイダー取引もしている」とも。
<主要メディア全てを買収・支配>
 9・11事件を綿密に検証すると、不可解な事実が次々と表面化することは、かなり公然化しているが、この場面では確かに米メディアも政府の宣伝機関そのものだった。正義のジャーナリストはワシントンで活躍することは出来なかった。
 それは3・11の福島原発事件における東京も同様だった。いまもジャーナリズムが消滅したままの日本である。
 IMF元職員は「主要メディアは全て買収・支配されている」「意図的な偽情報を流す」と断じる。ここはよく理解できる筆者だ。 
<政府は国を支配していない> 
 彼女は核心に触れる指摘もした。「政府は国を支配していない」のである。格好はそうだが、実態は闇の秘密の指令に従う傀儡政権と決めつけた。これも頷ける筆者である。
 「中国は違うだろう」と考えているのだが、彼女はなんと「バチカンイエズス会支配下」と断じる。これは理解が及ばない。バチカンとかイエズス会の知識が不足しているせいかもしれない。
 この超組織体はシリアでの戦争を画策したが失敗、ついでイラン戦争も成功しないだろう、とも分析した。明るい話題だ。このことは、超組織体に抵抗する勢力の台頭を物語っているという。
<戦争ビジネスが狙い>
 ということは、彼ら悪魔の1%は、戦争で莫大な利益を手にする輩だと推測できる。米産軍複合体がその中核の一つかもしれない。そうしてみると、彼らの意向に従属する安倍内閣集団的自衛権の行使も、この悪魔の渦の中に巻き込まれている?
 戦後否定した日本国家主義日本国憲法が禁じた国家主義の復活、その後の東アジアの“戦争”にも、目を向けているということかもしれない。危機迫る東アジアなのか?

 元IMF職員のカレン・ヒューズ女史の鋭い分析は、実に示唆に富んだものと言えようか。
2013年10月14日11時20分記