TPP草案: 世界規模での学校のいじめっ子役を主張するアメリカ合州国

マスコミに載らない海外記事   メタボ・カモ


Russia Today
筆者リック・ファルクヴィンゲは最初の海賊党と良識ある情報政策キャンペーン創始者
公開: 2013年11月15日 00:43



アメリカが率いる環太平洋連携協定(TPP)のルール策定交渉への日本参加に反対する国会前抗議集会で拳を突き上げるサルのマスクを被った抗議行動参加者(ロイター/Issei Kato)

進行中の貿易交渉に関する漏洩した交渉文書で、アメリカ合州国は、自分で勝手に決めた、世界の支配者という役割を依然主張していることが明らかになった。

水曜日、進行中の貿易交渉の漏洩文書が、WikiLeaksによって公表された。著作権、特許、商標等々として、我々が知っている独占と独占権に関するものだ。提案されている貿易協定の内容は、極めて驚くべきとは言わないまでも、確かに興味深いが、“自由貿易”という偽りの旗印の下で、アメリカ合州国が、いかにして、世界に対し、自国の業界権益を確保し続けようとしているのかを見るのは遥かに興味深い。

このプロセスは、1970年代に、日本の自動車から始まった。アメリカ合州国の国民がトヨタを選んで、デトロイトの自動車を避け始めると、アメリカの為政者達は、自国産業に競争力がある時代が事実上終わったことを自覚し、競争力があろうと、なかろうと、アメリカ合州国食物連鎖の頂点におき続ける為の新たな方法を追求した。結果として、傍若無人で、大胆不敵で、腹立たしいものにすることに成功した。アメリカ合州国がそれ以外の国々をずっと搾取し続けられるようにする為の"自由貿易"協定を装った、一連の不平等な国家間契約の中で、"価値”や"産業”や"製造"を定義し直したのだ。

こうした "自由貿易"協定の最初のもの、より正確には、産業保護主義(IP)とでも表現されるべきものは、世界貿易機関(WTO)の核心になっている、知的所有権の貿易に関連する側面に関する協定(TRIPS)だ。第三世界の人々が、自国の原材料や、自国の研究所や工場にある医薬品の知識を、自国民の病気を治癒し治療する為に使用するのを禁止したがっていた当時のファイザー社CEO、エドムンド・プラットが、それを推進する闘士だった。彼は、そうした人々に、何としてもファイザーから買うよう強いたがっていた。TRIPS "自由貿易"協定と、WTOの成功の結果、何百万人もの人々が亡くなった。

こうした類の行動に対しては、"悪”以外の言葉はない。

産業保護主義(IP)のTRIPS協定が交渉される間に、アメリカ合州国のありとあらゆる業界利益団体が割って入り、自分達の利益の分け前を要求した。ハリウッドの映画産業、レコード産業等、全員が。自由貿易とは全く無関係な、新たに漏洩したこの貿易協定は、自由貿易を制限する独占権と独占を維持して、先行するTRIPS協定を増強するものだ。この協定は、TRIPSを更にどぎつく、深めるものだ。それは、TPP"環太平洋連携”と名付けられている。

"世界に冠たるアメリカ合州国"が強引に押しつける思惑の不当さに対する、アメリカ合州国と他国とにおける見解の相違は極めて明らかだ。我々の共通の文化的、科学的遺産の利用を保障する為、圧倒的大多数の参加国が、その文言を提案した緒言を読むだけで、それはほぼ十分にわかる。

"本章の目的は...知的財産によって保護される対象における、知的財産権所有者の権利と、ユーザーやコミュニティーの正当な利益の間のバランスを維持することである。各当事者が、パブリック・ドメインを特定し、推進し、アクセスし、守る能力を保護する。知的財産権を実施する施策や手順そのものが、決して適正な貿易の障壁にはならないようにする。"

アメリカ合州国は、こうしたもの全てに一律に反対している。バランスなどあってはならず、独占のない貿易(これは皮肉にも、自由貿易に関して、誰もが考える普通の定義だ)など推進してはならないのだ。典型的にはアメリカ合州国が保持する独占権のみ存在すべきなのだ。

また法律の言語は意図的に複雑化されている。アメリカ合州国は、適正手続き無しに、インターネットから人々を(従って、国民の大半の権利を)締め出し、権利をハリウッドに与えたがっているのだが、それは訳の分からない法律用語の奥底に隠されている。一体どれだけの人が "差し止めによる救済"やら"法的責任条件"等という用語が、国民から、言論の自由や、出版の自由や、集会の自由を奪うものであることを理解できるかわからないが、もし法律言語が意味する所を理解すれば、多くの人々が衝撃を受けるだろうと恐れるが、そうなった時点では、この愚行を止めるのはずっと困難になっているだろう。

この条約は自由貿易に関するものではない。著作権と特許独占は、定義からして、自由貿易と正反対だ。こうしたものは自由貿易を妨げる独占権だ。この協定は、アメリカ合州国による貿易の独占享受を確立し、それ以外の全員に、見かじめ料の支払いを強い、さもなくば、体制に対する無礼をかどに、監獄に送りこむものだ。

これは自由貿易ではない。恐喝だ。そして忌まわしいものだ。

本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。

記事原文のurl:rt.com/op-edge/us-trade-tpp-wikileaks-734/

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ブログ「街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋」の2013年11月13日記事、疾走する悲しみ JA全中会長と経団連米倉会長(住友化学会長)の固い握手で思い出した人がいる。

大原幽学。世界最初の農業組合を作ったと言われている人物だ。『大原幽学と飯岡助五郎 遊説と遊侠の地域再編』というリブレットが一番コンパクトな入門書だろう。

同じ著者による『大原幽学と幕末村落社会 改心楼始末記』は、きわめて詳細。
1838年、千葉の長部村で、先祖株組合を結成した。今から175年前のこと。
175年目に、その組合の大崩壊が始まったわけだ。

疲弊した農村が、身分不明の一介の浪人?大原幽学による指導で、豊かな農村へと変貌した。大原幽学の名声は高まり、弟子の人数が増え、門弟が集会できる立派な場所「改心楼」を建立したのがあだになったのか、幕府から目をつけられた。
1852年、4月18日、門弟になりたいといって押しかけた幕府手先役の地元ヤクザが騒ぎを起こし、慰謝料を取り立てた。結局、江戸で裁判となるが、裁判は延々続き、豊かになった筈の農村も経費ですっかり疲弊した。可愛いがっていた村人の子供達も費用を稼ぐため、丁稚や女中に行かされ、仕事先で亡くなる者もでた。
1857年10月23日 ようやく判決がくだり、改心楼は破却。幽学は押込100日。
1858年2月5日 幽学放免。3月8日、長部村、遠藤家墓所で割腹して自決した。
今から、155年前のこと。
二宮尊徳のことはおそらく誰でも知っているだろうが、大原幽学を知る人は極めて少数だろう。TPPなり、アメリカ・日本FTAで、日本の農協も農業も決壊する。握手の写真は、ファウストメフィストフェレスの契約を思い出す光景。農協トップ氏、自らの組織の崩壊を推進する握手の何が嬉しくて笑顔になれるのだろう?TPPなり、アメリカ・日本FTA、世界史でならったエンクロージャーの現代版だ。自由貿易ではない。恐喝だ。そして忌まわしいものだ。

1949年刊のオーウェルによる小説『1984年』には何度も触れているが、題名が『2014年』であったら完璧だったろうとつくづく思う。特定秘密保護法やら、TPPやら、国家戦略特区、集団自衛権等の導入で、書いてあること、そのまま実現する。現代日本人必読書?決して楽しい本ではないが、確実に到来する恐ろしい世界、事前に何も知らないより、知っておく方が、これから体験する恐ろしさ、多少軽減する、かもしれない。