本澤二郎の「日本の風景」(1093)

<東電福島原発事件異聞・消費者から嫌われる東芝・PANASONIC>
 東電福島原発事件で問われるべきは、原子炉メーカーも、である。東電には原発を熟知している専門家はいない。いないのが不思議なのだが、それは原発爆破を全く想定していないノーテンキな親方日の丸の独占企業だったからでもある。自民党村上誠一郎民主党の岡田副総理の義兄)によると、正解は「東電も原子力安全・保安院も素人集団だから、そもそも適切な対応など期待すべくもなかった」のだ。従って、製造した原子炉メーカーが前面に出て対応しなければならない。しかし、今も姿を隠している。PANASONIC政権のお陰だ。原子炉メーカーは、未だに社会的責任を果たしていない。信用・信頼の喪失は、日本・アジアのみならず世界の消費者から嫌われることになろう。


<義姉が福島みやげ・長久保のシソ巻き>
 昨日、懐かしい味が自宅に届いた。義姉が福島県いわき市長久保食品の名物「長久保のシソ巻き」を取り寄せてくれたのだ。昭和9年創業の、福島名物のシソ巻きは東電原発の難を逃れていたらしい。
 義母(佐藤キヨノ)はその店の近くの出身である。生前は、シソの季節に故郷のシソ巻きを送ってくれた。実に、いい味のする独特の漬けものだ。いわき市の特産品に違いない。しかし、義母も亡くなり、その後は名物と縁が切れていたのだが、原発事件で思い出したように義姉が「父の日」に合わせて取り寄せたのだ。
 義母の叔父に当たる正木清(元衆議院副議長)は、ビキニ環礁で被曝した第5福竜丸事件解決に取り組んだ社会党の政治家だった。中選挙区制下、彼のライバルが横路・現衆院議長の父親である。横路も、反原発行動をとる責務がある、と指摘しておきたい。
 先週金曜日の官邸包囲デモに亀井静香福島みずほ志位和夫ら国会議員が参加したという。市民デモは永田町を動かしている。菅直人江田五月らはどうした?圧倒する市民包囲網に恐れをなしているのか。
<娘は怒りの反原発官邸詣で>
 金曜日デモに義姉の娘が行き出したという。「午後6時過ぎ、地下鉄霞が関駅に降りたら、1歩も前に進めなかった」との報告を家族は受けていた。彼女は以前の国政選挙のさい、筆者に特定政党支持を売り込んできた子である。3・11と10%消費税が、彼女を怒りの無党派にさせたらしい。1人前の自立した有権者になったのだ。
 原発再稼働と10%は、善良な市民に対して野田内閣の正体をさらけだすのに一役かっている。若者を覚醒させた貢献者だ?娘の変化を義姉も真正面から受け止めているようだ。60年安保騒動にはイデオロギーも絡んでいたが、それとは異質であることを、みな分かっているのだろう。生活・生命の尊厳への戦いなのである。

 世の中は大きく変わっている。昨夜来訪の日刊ゲンダイ購読者の末っ子は、反原発運動は当然のことながら、10%消費税にも怒り出していた。息子は中小企業労働者の声を代弁していた。彼は今、放射能ホットスポット柏市に住んでいる。一時、皮膚がただれるといって悲鳴をあげていた。野田はというと、官邸デモの翌日、福島県を訪れて政治的パフォーマンスを、NHKでたっぷりと放映させていたが、果たして福島県民がPANASONIC政権への態度を変えたであろうか。

 大量の怒りの無党派を取り込める政党はどこか。断言出来ることは、民自公では全くない、ということだ。悪政を容認する寛容さ・余裕がなくなっている日本社会なのである。
<PANASONIC>
 野田内閣は正真正銘の松下財閥の傀儡政権である。松下・PANASONICが、その豊富な資金と系列企業票で養殖した、特異な国家主義思想を習得した金満政治グループである。それゆえの同族・東電救済だ。共に三井住友財閥傘下企業だ。法務・検察の捜査を止めている真犯人である。真相解明に待ったをかけている主犯であろう。

 昨日の福島訪問では、無論、震源地に近寄らなかった。確認したことはないが、野田を含めて原子力推進派の仙谷・枝野・前原は何度、現地を視察したのであろうか。少なくとも仙谷・前原の防護服姿を未だ確認できていない筆者だ。
 前原や仙谷らは、原発がなくなると、日本が滅びるというようなデタラメ発言をしている。悪魔のような心の持ち主に閉口するばかりだ。
 PANASONICの評判は、原発擁護ゆえに評判はガタ落ちだ。企業実績もよくない。中国の巨大消費市場のエコ補助製品補助制度の対象外になったと、最近の日中関係部門で大きな話題を呼んでいる。
 パナソニックNOの市民は、アジアでも増えているのかもしれない。大がかりな首切りが始まっているPANASONICである。
東芝
 3・11から大分経ってから原子炉メーカーの東芝が、一部の関係者の間で話題になった。ビジネス部門の知識が不足している筆者は、水素爆発した原子炉メーカーのことに、思いが至らなかった。
 ネット新聞に東芝社長の「原子炉製造が東芝の主体」という趣旨の発言を目にして、ようやく核爆発した3号機が東芝製であることがわかった。親類に東芝社員がいるという知り合いが「若い社員が福島に飛ばされてかわいそうだ」という話をするのを聞いて、大いに頷いたものだ。

 なぜ東芝が原子炉メーカーなのか。調べると、それが判明した。小泉―ブッシュのイラク・アフガン戦争の、共闘の上に咲いたあだ花のように、東芝は悲願の米原子炉メーカー・ウエスチングハウスを法外な資金でもって、子会社化したものだ。
 背景に戦争がからんでいた。ブッシュ政権小泉内閣の恩に応えて、原子炉メーカーを小泉経由で東芝に払い下げたのだろう。同内閣が9条憲法違反をしていた悪しき実績でもある。

 郵政民営化は、ワシントンと三井住友の連携が、大きくモノをいった一番なのだった。郵政族の怨念の対象の一つが、三井住友と傘下の東芝だった、という論理構成も頷けるだろう。ちなみにPANASONIC政権支援に忙しい経団連会長は住友である。
 財閥と野田内閣は、小泉内閣同様に一体関係にあるのである。民衆と無縁の政権なのだ。
 東芝は現在、中国で原子力燃料の被覆管に使用されるジルコニウムを生産稼働させた。国内外の反原発の怒りの運動をよそに、悪魔企業による核への取り組みに反省は見られない。
 東芝の反撃は、新聞テレビに広告を氾濫させることなのだ。マスコミは東電のみならず、東芝とも深く癒着している。
 我が家は5年ほどで東芝冷蔵庫が壊れた。代わりは、なんとPANASONICである。この次からは原発メーカー製品を購入するのは、やめにしたい。息子が買ってくれたパソコンも東芝製ときている。これもいずれ他社に買い替えねばならない。
<日立・GE・鹿島・読売>
 1、2号機は米GE製だ。日立製作所との共同製作という。日立もGEも東芝同様に、雲隠れして真相に蓋をかけている。原発本体はゼネコンの鹿島なのだという。これも驚きだ。鹿島と中曽根の深い仲は知る人ぞ知る、である。姻戚関係にある。
 鹿島の独占に中曽根がかんでいる。連携マスコミは読売だ。3・11事件が、水面下の悪しき勢力を全て水面上に浮かび上がらせている。
2012年7月8日9時45分記