本澤二郎の「日本の風景」(1109)

<日本究極の不条理>
 真夏本番の7月25日、政府は東電の大幅値上げ(8・46%)を認可した。してやったとばかりに、腹の底からほくそ笑んでいる?野田、枝野の顔が浮かぶ。一方、米エネルギー省国家核安全保障局は、首都圏にプルトニウムストロンチウムが飛散しているとの、恐怖の調査データを公表していることが、ネット情報で判明した。首都圏は人間が健康に生きられない場所なのだ。また、核爆発した原子炉メーカーの東芝は、放射性物質を除去するのだという装置を東電に売り込んで、新たな暴利を得ようという事実が、7月24日共同通信報道によって明らかにされた。東電と東芝は、正に日本の究極の不条理を、地で行っている財閥企業なのであろう。


<東電は8・46%値上げ>
 東電の値上げは、筆者が以前分析したような形で政府が認可した。原発再稼働に狂奔した野田・枝野のワルは、東電救済に血税の投入にあきたらず、料金の大幅値上げも強行した。史上最大・最悪の原発事件の東電を、国民負担で救済する、一人の責任も問わない。検察は20余の刑事告訴などを握りつぶしている。法治国家の崩壊も進行している。
 これに議会・司法から声が上がらない。ジャーナリズムからも。日本が壊れてしまっているのである。韓国の検察は大統領側近を次々と逮捕して、公正な捜査を内外に誇示している。東電は地球を放射能で汚染させたというのに、お咎めなしで済むはずがないだろう。

 10%消費増税にも予定通り強行すると、野田は国会で答弁している。本来、反対すべき野党の自民党公明党を悪魔の陣営に巻き込んで、国民いじめに狂奔している。悪魔に魅入られた野田・谷垣・山口ということになろうか。
 そして、あえていうと、こうした悪政にナベツネ化したマスコミのバックアップが大きい。世の中が狂う時は、戦前もそうだったが、マスコミの腐敗が強く関係する。国民に奉仕するという当たり前の約束を、新聞テレビが破ることで、情報を持たない市民を容易に世論操作するのである。
 情報の少ない茶の間の市民は、これにまんまと引っ掛かってしまう。マスコミの恐ろしい一面だ。それが21世紀の日本で進行中なのである。
<資産売却が先だ>
 東電関連資料によると、子会社が169社もある。関連会社が89社だ。すごい数だ。ここには通産官僚や文部官僚までが天下りしている。都庁からの天下りも。それに東電本体からの天下りもある。天下りのためにあるような会社が、ずらり並んでいる。
 真っ先に、これらの整理・売却をする必要がある。10%消費大増税の前にやるべきことをしないで強行する野田の手口そっくりの東電救済策である。こんなことを、なぜ議会・マスコミが追及しようとしないのか。

 東電の全資産の売却もすべきだ。東電病院だけではない。日比谷の本店は時価100億円という。社宅・寮・保養所は数知れない。未使用不動産が1000万坪も眠っている。
 有価証券は上場企業分だけでも3000億円、非上場700億円と言われる。以上の処分をして損害賠償に充てる。これが東電の責務である。なぜ、これに議会・マスコミは沈黙するのか。それほど東電の腐敗資金で取り込まれてしまっているのか。国民を愚弄するにも程があろう。
東芝は核爆発の謝罪が先だ>
 問題の欠陥原子炉のメーカーは、1・2号機がGE・日立グループだ。そして核爆発した3号機が東芝である。東芝小泉内閣を背後でコントロールした企業だ。それゆえに原子炉メーカーの米ウエスチングハウスを子会社にしている。
 原発の建設は、中曽根と関係の深いゼネコン・鹿島である。地震で配管設備の破損が起きた。鹿島と原子炉メーカーの加害責任は大きい。ここに政府・国会・民間の事故調査は全く及んでいない。不可解な事故調査である。
 とりわけ、核爆発した東芝3号機の責任は重大であろう。それでいて、今も沈黙している。議会やマスコミも沈黙している。これも不可解千万だ。
 中国の高速鉄道事故の隠ぺいのレベルではない。地球を放射能で汚染させているのである。
 ああ、それなのに東芝は「放射性物質を除去できる装置」を東電に売り込むのだという。果たして、そんなマジック装置ができるのか。「9月から試運転、その後に本格運転させる」というのである。新たな東芝の莫大な暴利ビジネスだ。
 さっそくネット掲示板で話題になっている。「無償で罪滅ぼしに提供すべきではないか。新たな金もうけは許せない」「企業としての社会的責任を果たせ」「究極のマッチポンプではないか。東芝こら、いい加減にしろ」「こんなことをする前に、お前らの作った原発のやばさを白状せよ」などと厳しい書き込みがなされている。同感だ。
 真実を明かし、謝罪が先決であろう。
<東電・東芝は悪魔企業>
 真っ先にやるべきことをしない、その点で10%消費大増税を強行する野田内閣と同じ、実にあらっぽい手口だ。なんら問題解決につながらない。誤魔化しで、深刻な事態を先送りするだけである。日本国民に金と放射能を押し付けて、ケロリとしている、そんな東電と東芝ではないか。
 どう配慮しても東電・東芝は悪魔の財閥企業に違いない。悪魔に魅入られて、それに屈する主権者でいいだろうか。NOだ。それが金曜日の官邸包囲デモへとつながっていく。
 まさに国民の命と生活を守るための戦いなのである。
<首都圏に住めない?>
 筆者がネット新聞で見つけた米エネルギー省国家核安全保障局が公表したデータは、いかにも衝撃的なものだった。プルトニウムが首都圏全域に飛散しているというデータなのだ。
 米軍横田基地では3月に確認していたという。放射能汚染は福島だけではない。東北だけでもない。首都圏もやられていたのである。健康に生きられない首都圏というデータなのだ。
 ワシントンに睥睨するマスコミは、なぜこれを報道しないのか。NHKは東電や東芝から自由なはずだ。どうして報道しないのか。
 朝日新聞は7月24日、文科省が公表した「ストロンチウム90(半減期30年)が10都県で確認された」と報じた。ならば米エネルギー省データを公表しないのか。
 「今まで見たことのない子供の鼻血」を、福島から北海道に避難した宍戸隆子さんが国会で証言していたことも「YOU TUBE」で確認できた。国民の知らない情報が、まだ沢山隠されている。それが松下政経塾内閣の正体なのである。

 「スカイツリー プールサイドに 落ちる雨」 この俳句は、昨日のテレビ番組に登場した孫の楓君が作って発表されたものだ。なかなかいい俳句である。隅田川沿いの小学校に通う楓君には「勉強しなくていい」と諭しているのだが、この「落ちる雨が放射能雨」と知ってのことだろうか?
 余談だが、俳人松尾芭蕉隅田川沿いから「奥の細道」紀行を始めたという。果たして、子供たちは健康に生きられるのか。首都圏民の大人たちの不安ではある。
2012年7月26日10時25分記