本澤二郎の「日本の風景」(1137)

松下政経塾の罠にはまるな>
 民族・国家主義的な松下政経塾の体質が、見事に露呈する政局展開が続いている。民族主義を一般市民に植え付けようと必死だ。これにフジ産経・読売日テレ・日経グループが、その世論形成に必死であるというのも興味深い。冷静沈着に政治とメディアの蠢きを眺め、慎重に分析すれば、松下政経塾の思惑が透けて見えてくる。大きな罠を国民に仕掛けている。はまるな、と叫ぶ必要があろう。



外交問題は内政問題の延長>
 目下の尖閣竹島問題をみていると、まるで日本政府にもCIAのような工作機関が存在しているようにも判断出来る。松下政経塾内閣と一部右翼メディアが連携しているのだ。情報の操作である。うっかりしていると、市民はこの罠にはまってしまいそうだ。
 はっきり言おうか。外交問題は内政問題の延長である。知識人の多くが指摘している。この悪しき為政者の手口が、今現在の日本で彷彿とさせている。人々の目を狂わそうと言うのだ。あるいは市民の怒りの矛先をかわそうと言うのである。
 静かに自分の頭で考えて見よう。結論を個々人が引き出せる格好の材料を提供している。分からない人は、たとえばテレビでは、政府広報に徹するとされるNHKやフジ、日本テレビのニュース報道を見れば、誰も理解できるだろう。
 これこそが、松下政経塾の策略なのである。
<反原発・反10%隠し>
 突出して尖閣竹島を報道する新聞テレビだ。本来、冷静に分析して事態の本質を分析して、市民に情報を提供する使命がマスコミにある。右翼と一緒になって騒動を拡大させる手口は、これはまともなジャーナリズムの仕事ではない。
 多くの市民にとって、メディアの信頼度は下がっている。新聞を読まない市民が増えている。情報をネットで得る若者がほとんどだ。賢い市民は、マスコミが流す特異な、大量の情報の裏を分析出来るようになっている。
 多くの日本マスコミ人は、隣国などの報道を軽蔑しているが、同じことを日本でも繰り広げられている事実に目をそむけている。
 はっきり言わせてもらうと、一連の竹島尖閣の領有権問題は、現在日本人の命を危うくさせている原発放射能汚染問題を隠そうというものだ。そして国民生活をさらに悪化させる10%消費大増税問題から、関心をそらそうと言う策略なのだ。
 反原発・反10%を、打ち消そうとして躍起の松下政経塾を見て取れよう。総選挙の争点を薄め、隠そうというのである。こんな姑息な手口に、はまるような日本国民であってはならない。
 先に官邸包囲デモの代表らとの面会も、いうなればガス抜き狙いでしかない。デモは官邸から野田の地元にも拡大しているし、そうさせる必要があろう。市民に日本国憲法が付与した権利なのだ。
 金曜日デモの原型は、確か韓国・日本大使館前の従軍慰安婦問題への韓国市民の怒りの集会だったと思う。毎週繰り広げられてきた。とうとう韓国大統領も腰を上げて、野田に迫った。野田は馬耳東風で回避してきた。李明博大統領が竹島を訪問するベースとなった。天皇訪問に向けた韓国市民の心情を代弁した背景である。
 反省と謝罪は日本政府にある。国際社会は韓国に同情的だ。米クリントン国務長官は、従軍慰安婦を性の奴隷という言葉で断罪している。このことに日本のマスコミは、ほとんど触れない。相手のことばかり非難するやり方は、夫婦の痴話げんかレベルだ。
 日本国民は、いま何よりも命と生活を守るための戦いに必死で取り組む、そのための政府を誕生させる義務がある。人類のためなのだ。
<関西に逃亡したパナソニックとイオン>
 新聞を読まない筆者は、最近、ネットの掲示板で松下政経塾の本体であるパナソニックが、本社を関西地方に移したことを知って驚いた。財閥の本社機能の関西地方移転を、以前に聞いていたが、やはり本当だった。
 さらにいうと、岡田副首相の身内企業であるイオンも、本社を関東から中部方面に移していた。これもびっくりである。
 どういうことか。放射能地区の首都圏から逃亡したものだ。原発放射能汚染の本当の情報を手に出来る巨大企業の雄は、パナソニックとイオンである。それが首都圏逃亡というと、まさに放射能汚染は福島に限らない。東京など首都圏も含まれているという事実を、政府中枢と結びついている組織は認識していることになる。
 市民は反原発脱原発に命がけになって戦うべきなのだ。虫にも一寸の魂のあるところを見せつける時、それが総選挙の最大の課題だ。日本国民の全てがこれに清き1票を投じるのだ。原発再稼働派に鉄槌を加えるのである。そうでないと、第2・第3の原発崩壊で日本列島に人は住めなくなる。これは夢物語ではない。
 福島4号機プールが破損しても、東京は壊滅することが、既にわかっている。富裕層子弟は西へと住まいを移していると聞くが、庶民は無理である。
<日本投資を避ける中国不動産界>
 自宅に送られてきた中国経済新聞8月15日付の1面の見出しにも驚かされてしまった。それは「中国資本 日本不動産市場を敬遠」である。どうしてなのか。理由の大見出しが「放射能問題と経済不透明」。
 一時、中国資本が日本の水源地の森林を購入しているという報道に、右翼政治家が猛反発するという場面があったらしい。どうやら、そうしたナショナリステックな対応は不要ということらしい。
 具体的に北海道の富良野に「中国人別荘地」を計画していたが、最近取りやめたというのである。放射能地震に恐れをなしたというのだ。理解出来る。放射能に対抗出来る人間も自然も無いのである。

 改めて中曽根・ナベツネ原子力ムラを支配してきた面々に怒りを覚える。彼ら国家主義の面々が、原発をたくさん建設し、使用済みの核燃料からは核兵器を作り、それで武装しようとしてきた、と聞くとうんざりさせられる。
 平和憲法を葬ろうとする輩も皆原子力ムラ、そしてCIAとの太いパイプも彼らなのである。国家主義者を愛国者と呼べるだろうか。日本を滅ぼそうとしているとしか思えてならない。

 核は自然とも人間とも共存することはできない。人間は自然のエネルギーで命を授けられたものだ。たとえ生活レベルを落としても、生活が貧しくなろうとも、核と共存してはならない。
2012年8月24日9時10分記