本澤二郎の「日本の風景」(1201)

衆議院都知事選挙の争点>
 12月4日公示・同16日の総選挙に向けて各党は一斉に走り出した。大事な都知事選挙も16日だ。後者は三文文士の石原後継か、原発ゼロの宇都宮か、という大事な選択でもある。昨日、房総半島を車で走ってみると、やはり公明党が先行している。公明頼みの自民党有権者が戻るのであろうか。自己批判も反省もしない与党が誕生すれば、夢も希望もなくなること請け合いだ。むろん、嘘つき政党はNOである。



 考えて見ると、この国の国民の代表もだらしない。国民の支持を失った「死に体」のドジョウに首を切られたのだ。それなのに、本会議場でその瞬間を「万歳」で応えていた。首切りの当人は、ASEAN会議へと、最後の政府専用機に夫人を同行させた。女房孝行の国際会議参加だ。これが悲しい「日本為政者」の正体なのである。
 気になるのは、各党の争点隠しだ。大増税を隠し、まともな反原発の声を吹き飛ばそうとしている。改憲軍拡をするといって自民党総裁になった人物からは、そうした狂気の発言は消えてしまった。
 いかに嘘をついて有権者を騙すか、に各党とも競争している。これが民主主義の選挙だとすると、とても喜べる状況ではない。昨日の栃木県知事選の低投票率は衝撃的である。選挙の争点隠しも原因だろう。放射能を浴びた地区でさえも、反原発派の市民候補は出馬していない。原発推進容認派の現職候補と共産党候補の二人だ。悲劇的な事態といえる。
原発ゼロ>
 福島の3号機爆発は、政府や東電は今も嘘を突いている。最近になって東電は、3号機爆発の際の放射能は特別に高かったというデータを、ようやく公表した。ふざけている。東芝3号機は核爆発だ。白煙と黒煙が空高く舞い上がっている。誰でもネットで見ることが出来る。
 広島・長崎の数百倍の放射性物質の福島処理も手が付いていない。いわんや福島原発廃炉をどうするか。見当すらついていない。54基の原発全てを廃炉にするための過程となると、誰もわからない。
 それどころか使用済みの核ゴミの処理も、どうしてよいかわからない。原発推進派の無能・無責任に怒りがこみ上げてくる。原発を日本から、この地球から消してゆくしか人間は生きられない。
 このことは、自然エネルギーに転換する政策を、総力を挙げて突き進むしか道はない。そこでは、新たな産業の復興と雇用の促進が付加される。原発ゼロと自然エネルギーの創出は、地球が生きてゆくための残された手段である。これが野田包囲網デモでもあった。
 広島と長崎の教訓を守らなかった日本と日本人は、今度こそワシントンの圧力をはねのけて原発ゼロ政策を実現する、そのための総選挙と都知事選なのである。これは党派・宗派を超えた人間の叫びなのだ。
<10%消費税ストップ>
 野田の嘘つきは、消費税を5%から8%、ついで10%に引き上げることを強行した点にある。野党時代の野田は「白アリを退治することが先決。それまでは上げてはいけない」と街頭で絶叫していた。
 それは民主党公約の大きな柱だった。増税の前にやるべきことが沢山ある。無駄の排除だ。官僚主導・官僚のための血税利用を全面的に改めると公約したことを、全ての国民は信じて政権を交代させた。官僚の天下り禁止や彼らのための無数の法人廃止である。官僚予算の徹底した見直しだ。
 それをしないで、逆のことを強行した。これに自民党公明党が賛成した。密室談合である。世紀の行財政政策を断行する好機を、野田は官僚の言い分に任せてしまった。官僚の手先の自公も賛同した。
 国民を馬鹿にした姿勢は露骨すぎよう。これほど有権者を欺いた政権を過去に探すことは困難である。
 日本に民主政治が機能していれば、次期政権は反10%政策によって、問題法案を廃案にして、即座に行財政政策を断行、無駄を排除することを先行しなければならない。その前提として議員の報酬と定員を半減させる。これくらいのことをしないと1000兆円の借金は、なくならないし、日本再生はおぼつかないだろう。
 これをすれば、国民も増税に理解を示すだろう。為政者が血税によって豚のように太っていて、痩せこけた羊から乳を搾り取るのは本末転倒であろう。
<TPPノー>
 TPPについて多くの国民は知らない。ワシントンの意向だとして、官閥と財閥が推進役となっている。マスコミも、である。どっこい、これには二つの謀略が伏在している。一つはワシントンの物差しで、日本経済を律することである。被害は農業に限らない。医療福祉に限らない。建設その他全ての経済活動に影響を与える。アメリカのための日本収奪作戦といえようか。
 蒙古襲来ならぬ第2の米国襲来である。二つは台頭する中国への経済的封じ込め作戦だ。不公平で危険なTPPである。東アジア経済共同体封じ込めといってもいいだろう。自立する日本封じ込めでもある。
 総選挙は、原発・消費税・TPPが最大の争点である。争点隠しの民自公と石原新党の野望に屈するな、と訴えたい。
2012年11月19日9時45分記