安倍氏が円安を主張 景気刺激の効果は短期的か:グローバル企業の円安利益も一時的:国民の利益はほぼ皆無

安倍氏が円安を主張 景気刺激の効果は短期的か:グローバル企業の円安利益も一時的:国民の利益はほぼ皆無」  マクロ経済/経済政策
安倍氏が円安を主張 景気刺激の効果は短期的か:グローバル企業の円安利益も一時的:国民の利益はほぼ皆無 投稿者 あっしら 日時 2012 年 12 月 26 日 から転載します。

 安倍氏の口先介入と短期的思惑で円安相場になった(なっている)からと言っても、為替相場は、インフレ率と差という中長期的論理と金利差という短期的論理で定まるものであり、そこから乖離した水準では長続きしない。

 グローバル企業にとっても、円安は輸出でより大きいマージンを得られるので得だが、それも一時的な(目先の)話でしかない。


 自らの進出先であるアジア諸国との水平的分業が出来上がっており、時間経過とともに輸入物価の上昇がコストアップにつながり、輸出利益を打ち消すようになる。

 国民や国内専業企業にとっては、円安はただ、物価上昇と利益減少を招くだけで終わる。

 このようなことは、ウォン安で輸出を拡大していた韓国の国民生活や中小企業の困窮を知ればすぐにわかることである。
 韓国国民は、ウォン安で進んだインフレ率よりも低い所得上昇しか得られず、「サムスン神話」の陰で貧困がより進んだ。
 OECD加盟国の平均「貧困率」は10%ほどだが、韓国は16%にも達し、65歳以上の高齢者は半分ほどが貧困層である。


 円安は、金融政策や為替介入政策で解消するのではなく、デフレ脱却=インフレ率の変化で実現しなければ、良好な成果を得ることはできないのである。


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安倍氏が円安を主張 景気刺激の効果は短期的か

 安倍晋三氏がこのほど行った発言は為替市場に衝撃をもたらし、世界外国為替市場の緊張を強めた。安倍氏は、「外国政府は本国通貨の相場引き下げを試みているが、日本政府も円安により本国の利益を保護する必要がある」と語った。安倍氏は23日、「日銀は米国・欧州による本国通貨の価値引き下げに対応するべきだ。1ドル=約90円に達しなければ、日本の輸出企業の利益を確保できない」と主張した。経済之声「央広財経評論」が伝えた。

 経済之声「央広財経評論」のコメンテーター、銀河先物マクロ経済研究員の趙先衛氏が、これについてコメントした。

 -----先週金曜日(21日)の取引終了時で、1ドル=84.26円に達した。日銀金融政策決定会合20日、11回目の量的緩和策を決定した。安倍氏はなぜわずか2日後に、円安に再び言及したのか。

 趙氏:これは総選挙当時のスローガンと関連している。日本の短命首相らは経済のスローガンを掲げて首相に就任したが、その経済政策・目標を実現できず辞任に追い込まれた。安倍氏は今回スピーディーな行動に出ているが、これは総選挙当時のスローガンを実現するためと言える。

 -----米ドルの対円レートが、安倍氏の目標を実現する可能性はあるか。

 趙氏:安倍氏が無理に円安操作を行えば、実現は可能だ。今年2月ごろ、1ドル=76円であったが、現在は85円台に達している。つまりすでに10ポイント上昇したわけで、安倍氏が目標に掲げた90円まであと6ポイントのみだ。日銀がさらに強硬な操作を行えば、これは実現可能だ。

 -----過去を振り返ると、このような為替操作による効果は限られている。また米財務省は1年前に、日本の為替操作を非難した。日本は今年、為替操作に対して慎重な姿勢だった。安倍氏本人も為替操作の効果に疑問を呈していたが、なぜ今になり逆の態度を示しているのか。

 趙氏:日本経済の最大の問題は高齢化だ。高齢化の進行により、消費の増加率が低下する。日本がいわゆる「失われた10年」に突入した際、日本最大の消費市場は欧米市場・中国市場であった(新興国市場、特にアジアの新興国市場)。しかし現在、欧州と米国は輸出による地域経済の振興を目指している。日本の一部産業は今後、経済構造の調整を図る中国経済との間で摩擦が生じるだろう。日本が中国市場を失った場合、将来的な経済成長はどこに求めるべきか。このような状況下、安倍氏が政治スローガンにより景気刺激策を実現しようとするのも理解できる。しかしその効果についてだが、人為的な為替操作はせいぜい短期的な効果しかもたらさず、経済全体の新興に対する効果は非常に限られている。

 -----安倍氏の意思表示が、専門家の懸念を引き起こしている。株式市場、不動産市場、関税のうち、最も大きな影響を受ける分野はどれか。

 趙氏:輸入関税は工夫をこらす余地がある。直ちに何かの措置を講じることはないが、間接的に対策を講じるだろう。次の可能性は、人民元相場の上昇だ。日銀が操作をしたからといって、人民元相場が上昇するというわけではない。人民元相場は2005年より上昇傾向にあり、人民元の国際化も進められている。最後の可能性は不動産だ。中国不動産市場は購入抑制策の影響を受けており、円高が不動産市場と必然的なつながりを持つとは限らない。しかし資金流動、不動産業界の発展の特徴に影響を及ぼすだろう。(編集YF)

 「人民網日本語版」2012年12月26日

http://j.people.com.cn/94476/8071214.html


コメント


01. 2012年12月26日 15:26:28 : GouGceYss2
1ドル80円台なのに「円安」って、判断基準がメチャクチャに円高基調でないの?

1ドル150円に近づいたら確かに「円安!」って騒げると思うけど。

1ドル50円60円もあり得ると思っていたのに、また80円台半ばになっちゃった、
と言うだけの話かと。

まあ、一時は150円くらいになってたのが一気に80円がベースラインになったから、
次にドル安に振れた時は本当に50円台がベースになると思うよ。

その時はUSAがメキシコ化しているだろうね。


02. 2012年12月26日 17:30:54 : txKoq6KBVw
NHK@首都圏 ?@nhk_shutoken
【ニュース】三菱東京UFJ銀行は、先月、顧客の口座番号などあわせて560万人分の個人情報を紛失したことがわかったのに加えて、旧東京三菱銀行などの177の店舗や銀行の本部でも、新たに112万人分の個人情報を紛失していたことを25日明らかにしました


03. 2012年12月26日 17:42:50 : EthbU7v6pc
名のある欧米国の負債はGDP比約100%だが、アベノミクスとやらで、日本は300%により近ずくだろう。その時になれば、1990年のバブルの時のように、ハイエナ、ハゲタカ、ファンドに、CDSを買いあさられ、つり上げられ、金利を上げられ、為替や債券をたたき売られ、いいように、食われるだろう。今は安倍と、その同調者達は幻想で、麻薬を使用した時のような恍惚状態だろうが。

04. 2012年12月26日 22:04:05 : WaxXbB3YAI

>グローバル企業の円安利益も一時的:国民の利益はほぼ皆無

そうでもない

円安インフレは個人や企業、政府(国民)の債務負担を軽減し、輸出企業の利益を改善するから、空洞化を抑制し、雇用の悪化が改善される効果はある

つまり円安インフレは資産&所得課税によって投資や雇用へのトリクルダウンを起こすことを狙っている



05. 2012年12月26日 22:11:27 : WaxXbB3YAI

#ただし製造業は、生産性の上昇で雇用が増加することはあまり期待できない

円安インフレや公共工事だけでなく、サービス業への投資増が起こるような制度や規制改革が絶対に必要不可欠



米国経済の今後の行方とは?

 【受講生からの質問】

 米国経済において、財政の崖に対しては何らかの対策が打たれるものと思いますが、米国経済は2013年以降徐々に回復に向かっていくとお考えでしょうか。富裕層増税、中間所得層の所得拡大を目指していますが、実際グローバル経済の中で企業の剰余金は増加しますが、生産は世界の最適地で行う傾向が強いと思います。こういった政策が経済に与える影響、マーケットに与える影響はどの程度あるのでしょうか。

 【宮島講師からの回答】

 ご存知のように、アメリカの産業構造は日本と全く異なります。日本は未だにサービス業と製造業の規模がほぼ同じくらいです。しかも2008年のリーマンショックでサービス業が一気に減少しています。中国も同様にサービス産業が減って戻らないという特徴がありますが、日本も同じような問題を抱えているのです。サービス産業と製造業の比率で製造業が強すぎるのです。

 一方アメリカをみると、圧倒的にサービス業が多いのです。サービス産業で生計を立てている人が製造業より遥かに多いのです。つまり、製造業が海外で儲けなければサービス産業にお金が入らないというわけではないのです。貯蓄率がしっかりして、企業も剰余金をたっぷり持っていて、設備投資に資金が回り始めるだけで、数年間は景気を保つほどの力を持っているのです。

 アメリカの業種別の賃金上昇率をみても、製造業は賃金が全く増えていませんが、サービス業は目立って賃金が上昇しています。これはヘルスケア、専門職、教育などの分野で給料が上がっているからです。政府は賃金が上がらず足を引っ張っていますが、小売り、事務サービス、教育、ヘルスケアで、アメリカのサービス産業は隆盛を見せているわけです。

 アメリカの企業がどんどん海外に出て行ってしまっているので労働力を吸い取られ、アメリカの労働力が増えないのではないかという不安は、日本の構造をもとに考えてしまっているからです。日本も、もっとサービス産業を増やせば変わります。しかもヘルスケアはとても大きな影響をもたらします。日本には病院のチェーン店のようなシステムはありませんが、アメリカでは当たり前で、有名病院の支店があちこちにあるのです。医者が社員として雇われるという仕組みが整っているのです。ヘルスケア、専門職、技術者の採用がより進めばアメリカの雇用はさらに保たれて、さらに上昇した賃金が消費に向かい、景気が良くなるのです。


 実際に、S&P500の大企業の流動性資産に占める現金および等価物の比率は史上最高になっています。アメリカの企業は大量に資金を持っているのです。通常ここまで溜まったら企業買収をして減らすなどしてきたのですが、現在はそうせずに溜め込んでいる状況です。それを設備投資に使っていなければアウトなのですが、設備投資が勢い良く伸びてきているのがわかります。設備投資はもう少しで過去のピークまで到達する水準です。トレンドラインと比べるともう少し伸びないといけませんが、オバマ大統領は法人税をカットする方針ですから、設備投資ももっと伸びると見てよいでしょう。

 設備投資が伸びることによって、サービス産業では専門職、技術職の採用が増えるのです。プロ中のプロ、例えば、MITの教授などが副業で会社のエンジニアをやるケースなどが増えるからです。アメリカには大手のコンピュータエンジニアの派遣会社があり、企業は技術開発のためにテンポラリーで大学教授を派遣社員として採用できるシステムが整っています。それによって、設備投資の増加に伴ってサービス業の賃金が伸びることになるのです。

 アメリカの設備投資の回復は、日本の工作機械メーカーの株価上昇にもつながりますが、サービスセクターの雇用の増加にもつながっているのです。それによって、十分アメリカの経済が良くなることが考えられるわけです。海外展開による製造業の雇用低迷よりもサービス業の雇用が大きく増えていること、さらに法人税を下げることで設備投資拡大、雇用増加がみこまれることで、アメリカ経済には期待できると言えるでしょう。


 さて、サービス業の雇用が増え賃金が増えるとどうなるのかも見てみましょう。もし貯蓄率が上がり続けているならば消費にはつながりません。ところがすでに貯蓄率は下がり始めているのです。我慢してきたアメリカの消費者は物を買い始めているのです。リーマンショック前の水準並みに、アメリカの個人消費の前年比伸び率は伸びて来ています。もしここで減税措置があればさらに上昇が見込めるのです。企業は設備投資にギアがかかって来ている、個人消費も伸び率がリーマンショック以前まで伸びてきている、そうした中、法人税が下がればその分給料が伸び、ボーナスも出るようになり、お金が回りだすのです。

 また、ヘルスケアが注目されるのはオバマケアの影響もあります。オバマ大統領がこの政策に固執したのには理由があるのです。これまで保険に入らず病院に行けなかった低所得者や中間所得層の人々が病院に行くようになれば、病院にもっと人材が必要になります。医師や看護婦、事務系まで、ヘルスケア部門で人がたくさん雇われるようになるのです。この部門の雇用者は比較的給料も高いので、消費に向かうと考えられます。オバマケアは潰すわけにはいかないので見直すことはないでしょう。こうしたことを受けて、ウォーレンバッフェットなどアメリカの伝説的ファンドマネージャー達は、大統領選後にオバマケア関連銘柄を買い増しています。

 また、これまで懸念材料の一つだった住宅についてですが、QE1でFRBMBSを大量に購入しました。これはアメリカの住宅マーケットにはプラスとなり、住宅着工が増え、ケースシラー指数も上昇しました。MBSの購入は確実に住宅市場を押し上げたのです。そして現在、住宅関連指数は確実な上昇トレンドに入ってきています。

 失った地域が戻ってきただけで儲かっているわけではありませんが、改善傾向は明らかです。また、中東からの資金がアメリカの不動産やMBSを購入するという情報もあり、アメリカの不動産は底を打ったと見られています。さらに中国のCICも、アメリカ不動産投資に向けたオフィスをニューヨークに開設しました。アメリカの不動産マーケットは今後も強くなると見てよいでしょう。

 政策が上手く打たれ、設備投資が伸び、個人消費につながること、不動産マーケットも一段と改善することなどを考えると、アメリカ経済は良くなってくると言えるでしょう。



講師紹介




ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師

パルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ株式会社
代表取締役 兼 チーフストラテジスト
宮島 秀直
12月12日に撮影したコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
詳しくはこちら


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日本の競争力を蝕んだものは

http://www.ohmae.ac.jp/ex/asset/column/20121226_172002.html


06. 2012年12月26日 23:28:31 : Sj35Wl6UCk
>宮島 秀直
バーーーカ!!
サービス業の中身をよく見ろよ!
 ヘルスケアとは聞こえがいいけど 医療費が青天井だぜ!!

その他の賃金は下がるばかりで、大学教授もバイトしないと食っていけない。
ましてや家族に病人がいたら青天井の医療費にみんな持っていかれるぜ

サービスってのはなかなか輸出できないものだろ?
アメリカの貿易の構造は海外からモノを買って、ドル紙幣を輸出しているダケ!
基軸通貨を持つ国だから出来る事。

ホントは既に終わっている