本澤二郎の「日本の風景」(1239)

<壮大なるワシントン対日工作>
 お目出度くない2013年が明けた。言葉は悪いが世の中には、奴隷・メカケのような生活を楽しんでいる人間がいる。女に限らない。生前、宇都宮徳馬さんに対して、彼が面倒を見てきたナベツネの極右転向を話題にすると、すかさず「体制に呑みこまれる方が楽だからだよ」と即答した。自尊心も正義も投げ捨てて、権力に身を委ねることを、宇都宮さんはナベツネを指しながら、こう決めつけたものである。今年もワシントンは、奴隷・メカケのような日本に対して、壮大なる仕掛けを用意して待ち受けている。



国家主義の弱点>
 世界の指導者は、多かれ少なかれ国家主義の罠にはまりこむ。日本に限らないだろう。アメリカもそうである。ロシアも、である。
 国益なる用語を氾濫させて、国民の脳裏にそれを正当化させてしまう。国際主義に対抗して自国の言い分を先行させる。そこでは差別主義を大々的に持ち込むため、必然的に争い・戦争が勃発する。略奪・侵略を正当化させた近年の事例はイラク戦争であろう。理屈はいくらでも作文出来る。そうしてねじ曲げられた歴史が、人類の正常な頭脳を席捲することになる。

 利己主義・名誉主義など人間が生まれながらに有する悪しき性格の、国家的発露とでも言えようか。悪知恵の指導者ほど、こうしたことに抜きん出ている。エネルギーに限らず、さまざまな資源を有する国々が狙われることになる。
 ずる賢い小国のリーダーは、進んで大国に貢物やいけにえを用意する。新たな指導者は、参勤交代よろしくワシントンに謁見を願い出た際に、それを密かに伝え、自分の安全・守護を求める。日本の新指導者は、さしずめその典型であろう。
 田中角栄大平正芳鈴木善幸らはそうした儀式に抵抗した政治家だ。
<日本植民地化政策>
 官僚から政治家・外務大臣になった椎名悦三郎は、そんなワシントンを「番犬さん」と呼んでひれ伏した。椎名を外務官僚は「有能な外務大臣」と称賛した。不健全な国である証拠であろう。モノはいいようである。賢いメカケ・奴隷になろうとの意気込みは、確かに感じられる。

 ワシントンの番犬・旦那様は戦争ばかりしていて、すっかり懐具合・経済は疲弊してしまっている。そこから相手かまわず、身内の奴隷・メカケから新たに絞り取ろうと、壮大なる植民地化政策を作動させることになる。
 というような、偽りのような真実をわざわざ伝えてくれた良心的な人物が、筆者の目の前に現れたのである。ワシントン・東京の中枢で働いていた人物しか知らない秘密の事柄だ。彼らの仲間の多くは利己主義のため、そうした秘事を墓場まで持ちこんでしまう。しかし、それを拒絶する人間もわずかだが、この日本にいる。そこから秘事は必ず暴露されてゆく。
 正義の士は必ず存在するものだ。それを活字にする人間もいる。2013年1月1日にそれを披露できる筆者は、いい年を迎えたことになるのか?壮大なる日本植民地化について、である。
<TPPの標的>
 嘘つき首相は12・16総選挙の争点にTPPを持ちこんで、ワシントンにひれ伏す構えをみせた。しかし、肝心の中身が依然として不透明である。国民は尖閣だ、改憲だ、景気だ、とあらぬ方向に引きずられてしまった。
 TPPについて民主党内はいうまでもなく、自民党内もまとまっていなかった。農業漁業者に向かって、候補者の全てが阻止宣言をした。都市部とは違った対応をしたのである。ワシントンの指令は「TPPを推進せよ」であるから、公明党でさえもNOといえなかった。
 みんなの党はCIA指令に大賛成だった。反対は共産党未来の党くらいだった。マスコミはそこをしっかりと報道しなかった。マスコミにもCIAの指令が出ていたからである。
 だが、ワシントンと東京を知る関係者は事情の詳細を知っていた。米国留学の財閥エリート・官僚エリート・学界エリートには、ずっと以前から指示が出ていたのである。TPPは一切の関税障壁を設けない、という完璧な自由貿易政策だ。弱肉強食の新自由主義政策である。
<医食住に及ぶ>
 どういうことなのか。各種団体はあれこれと推測しているのだが、本当の中身を掴んでいない。ここでも嘘と隠ぺいが支配しているからだ。そうでないと、アメリカ以外の国や国民から反発が強まるからだ。
 シンガポールニュージーランド・メキシコ・カナダなどを毛バリとして用意して、日本包囲網を構築している。その中身は衣食住ならぬ医食住に関係するのである。
 医療は、福祉など人間の健康に関する一切を含むのである。口で言うのは簡単だが、実際は大変な事態を招くだろう。医療制度全般にも関係する。福祉政策にもアメリカの物差しでもって。アメリカよりもはるかに進んでいる健保制度も狙われるのである。
<生活の根幹を掌握>
 農業・水産・外食産業なども影響を受けることになる。ただでさえも自給率が激減している食料分野への影響はただ事では済まないだろう。
 そして住宅・建設・道路・橋梁などの分野も包囲される。日本のコストは、国際的にみると、べら棒に高いのである。喜ぶ消費者もいるが、業者の多くは倒産か吸収されることになろう。工業分野も安閑としていられない。
 要するに国民生活の根幹を略奪される日本になってしまう。事情を知る良心的専門家は「日本を植民地化しようというものだ」と明言している。
<教育にも狙い>
 先の総選挙で自民党の安倍は、教育改革にも多くの発言をしていた。中曽根もそうだった。人間改造も、ワシントンのTPP作戦の中に組み込まれている、と専門家は指摘している。
 極右の教育改革論は、ワシントンの指令でもあるのだ。思考しない日本人への教育論だ。天皇国家主義の再現狙いと見られる。教訓を学ばない、さらなる日本人だ。奴隷に安住する日本人にすると言うことか。アメリカで「猿の惑星」という映画がつくられたが、東洋人をそうした檻に入れようとしている、とワシントン通は決めつける。
 ありえない、といえるだろうか。
<黄色への差別>
 日本は既に中曽根バブルで円高を強要されて、気がついた時は1500兆円の資産を消失させてしまい、第2の敗北を喫した。この上、さらに生活の根幹を略奪することで、第3の敗北へと追い込む、というのである。
 こうした指摘を聞き流すことができるだろうか。
 同じことは中国やASEANにも、いずれ表面化するという。なぜか。白人の黄色への差別が存在している、と指摘するのだ。なぜ広島・長崎の原爆投下であったのか、をよく考えて見ればわかるだろう。
 ここが仮面をかぶったアメリカの民主・人権主義の怖い点、警戒しなければならない所なのだ。既に韓国はワシントンに乗っ取られてしまっている。台湾も、というべきだろう。
 台湾の李登輝政権は、その典型といわれている。

 ところで、大晦日の12月31日は、久しぶりに部屋の掃除をした。10数年使っていた電動餅つき機が壊れてしまい、やむなく新調した。子供たちもそろった。最後の年賀状も書き終えた。切手を貼らなければ届かない中国の友人向けの年賀に、それを忘れてポストに入れるという失敗をしてしまった。
 田舎で採取してきた無農薬・無肥料のミネラル豊富な細い大根の葉を使っての混ぜご飯も、おいしく食べた。これが本当の幸せと言うことかもしれない。
2013年1月1日1時20分記