アメリカとエルサルバドル民営化

マスコミに載らない海外記事   メタボ・カモ


Eric Draitser

Global Research

2013年1月9日

Stop Imperialism

中南米の多くの国々がベネズエラ大統領ウゴ・チャベス死去の可能性に備える中、世界中の人々は、地域内に存在する著しい対照に注目すべきだろう。一方にはアメリカ帝国主義新自由主義資本主義を拒否して、チャベスがまとめたALBA (米州ボリバル同盟)諸国がある。一方には依然として大いにアメリカ合州国の覇権下で暮らしている国々もある。

エルサルバドルは、国家の経済的命運を完全に掌握することだけを狙っている、ワシントンと国際投資家に従属している。この経済的独占のくわだては、一言で要約できる。民営化だ。まさに、組合潰し、賃金削減と、プロパガンダ虚報を伴ったこの戦略が、エルサルバドルで醜い頭をもたげている。

官民パートナーシップ (Public-Private Partnership=P3)法案

サルバドール経済民営化を推進する大企業-金融資本の意欲は、成立すれば、国の資源やインフラや公共事業を、外国の多国籍企業に叩き売りをする権利を政府に与えることになる「官民パートナーシップ法」の提案という形をとっている。実際、この法律は、伝統的に国家が管理してきた経済部門の民営化を可能にするだろう。エルサルバドル労働研究支援センターのジルベルト・ガルシアはこう語っている。“本質的に、彼等は多国籍企業の利益の為に、極めて重要な公共事業を国家から奪いたいのです。” [1] この法律の究極的な狙いは、国家機関の管理を私益に委譲するだけではなく、究極的に組織労働の力をむしばみ、消滅させ、この国の労働者の賃金と生活水準を引き下げることにある。

エルサルバドルの公共部門労働者の収入の最低賃金は月300ドルだが、民間部門労働者の収入は月187ドルから219ドルだ。[2] 民営化への動きは、少なくとも部分的には、外国人投資家の利益を最大化させながら、産業労働者の賃金を引き下げることを狙っている。しかしながら、この法律は、賃金引き下げのみならず、中南米や開発途上の国々で極めて破壊的な影響もたらしてきた政策の実施に対する大規模な反対運動を阻止する為、基本的なレベルで公共部門の組合を弱体化を狙っている。過去、公共部門の組合の多くは、この種の政策に反対する効果的抵抗を行ってきたがゆえに、公共部門の組合は自分達の利益の為に経済を変換することを狙う大企業ボス連中にとって優先度の高い標的となるわけだ。

この経済の変換は、労働者階級と貧しい人々に最も激しい影響を与える。重要な社会福祉の利用が困難になったのみならず、費用も劇的に高くなった。1996年、エルサルバドルの配電制度の大部分を民営化したことで、最貧層の消費者にとって、価格が平均47.2%高騰する結果となったのが、この実例だ。[3] そこで本質的に、この国の貧しい人々と労働者階級が、自らの資源や公共事業を強力な多国籍企業に叩きうるのを助成するため金を支払わねばならなくなるのだ。これが理由で、何万人もの人々が、この法案に反対し、組織労働を支持して動員を始めた。しかし、この問題の全貌を把握するためには、P3法がその中で生み出された、大きな枠組みを理解しなけれはならない。

アメリカと“成長の為のパートナーシップ”

官民パートナーシップ法案は、オバマ政権とフネス政権との間で2011年に調印された二国間協定、いわゆる“成長の為のパートナーシップ”の生成物に過ぎない。中南米・カリブ局次官のマーク・ファイアステインFeiersteinによれば、この条約は“わが国の投資や政策が、各国がいかにして、より高いレベルの成長を達成できるのかについての厳しい評価によって導かれることを確実にし、我々の発展支援の最優先として、広範囲にわたる経済成長を推進することを目指す主要行政政策の具現化である”[4]。無難な外交的言葉づかいにもかかわらず、二国間協定は、外国にとって、エルサルバドルの資源と公共事業の搾取をやりやすい環境を生み出すこと、つまり色々な形で、アメリカ合州国に、経済的存続を完全に依存するようにさせることを狙っている。オバマ政権のエルサルバドル大使、マリ・カルメン・アポンテは、もし官民パートナーシップ法が成立しなければ、重要な資金援助を保留すると何度も脅したことに注目すべきだ。[5] 実際、「成長の為のパートナーシップ」は、エルサルバドルに対し、保護者役のアメリカ合州国が、許される発展の方向と種類を支配するという従属関係の為の基盤を構築するものなのだ。

将来の広範囲にわたる影響を完全に理解するためには、成長の為のパートナーシップの基盤を理解することが不可欠だ。この条約の内容を制定する為の、いわゆる主要なメカニズムの一つが、外国企業の助けになる事業に協力的な環境を生み出すことを狙う“成長委員会”だ。[6] 五人の裕福な資本家と五人の政府官僚で構成される委員会は、一種の大統領諮問委員会として機能し、実業界の利益を代表して語り、エルサルバドル政府の最高レベルで、私企業の思惑を推進する。この委員会は、あらゆる意味で、外国企業の利益に協力し、労働運動を破壊し、自ら金を儲けながら、労働者階級と貧しい人々の生活水準を引き下げる、国際金融資本の代弁者だ。

成長の為のパートナーシップは、最近、最初の年次レビューを行い、その中でアメリカからの代表団と成長委員会が会合して、条約実施の上でなされた進展について議論した。代表団は“PFG(成長の為のパートナーシップの) 20の目標と、それを達成するための行動に対してなされた進展を前向きに評価した…代表団は新たな二国間構想に言及した。アメリカのファースト・フード・レストラン、ホテルや、ウォル-マートに向けて、若者を訓練するプログラムと、エルサルバドル議会に提案された、外国投資を奨励する為の新法だ”[7] これから明らかなことは、事実、大企業利益のこうした代理人達の頭の中では、成長、投資環境改善というのは、若者に自分達の国の利益になるような仕事をするよう奨励するのではなく、多国籍企業に仕え、低賃金部門で働くよう若者を訓練することであるのが分かる。これは、富裕な人々の利益を拡大し、労働者階級と貧者の進歩を抑圧するというパートナーシップの狙いにぴったり沿っている。

この“パートナーシップ”におけるもう一人の立役者はUSAIDだ。“より良い暮らしをしようと海外で奮闘している人々に支援の手を差し伸べる”組織だと自己宣伝している[8] この組織は、実際はアメリカ合州国帝国主義支配階級の単なる延長に過ぎない。USAIDはエルサルバドルの民営化に向けたこの動きと密接に繋がっている。実際、USAIDは、新自由主義改革の所定の処方箋に従う国々に資金を分配する上で、ミレニアム・チャレンジ公社(Millenium Challenge Corporation)と密接に協力して動いている。ミレニアム・チャレンジ公社の、方策・評価副総裁代理、ジェームズ・パークスの言葉が、USAID自身のウェブに引用されている。“エルサルバドル企業が、グローバル経済の中で競合する力を強化する健全な政策を成立させることにより、エルサルバドルの経済成長を促進することができる…より強力な民間部門と、より多くの外国からの投資に基づいて、より競争力の強いエルサルバドルは、新たな雇用を生み出すことができる。パートナーシップの主目標は、エルサルバドルがその経済的潜在力を完全に解放するのを支援することにある”[9] これで明らかなのは、政府を国際資本の意志に沿わせる為の条件付き援助や他の経済的インセンティブという影響力を駆使することで、USAIDは、エルサルバドル経済を変換する上で役立っていることだ。しかしながら、“繁栄への挑戦”定義すらもが全くのプロパガンダであることを理解することが極めて重要だ。

“繁栄”というプロパガンダ

“成長の為のパートナーシップ”キャンペーンの要点の一つは、エルサルバドル国民を対象とした持続的なプロパガンダ攻撃だ。国民、特に中流階級に、単純にわずかな主要“ボトルネック”に対処するだけで、製造部門やエルサルバドルは、より明るい経済の未来への道を進むことになると説得するのがその目論見だ。主要な“成長に対する制約”は、犯罪と低い生産性だ。アメリカ合州国に暮らす我々は、貧しい人々と組織労働を指す修辞上の煙幕として、きまって使われるこの種の用語におなじみのはずだ。アメリカ人“顧問”によって率いられる成長の為のパートナーシップ委員会が、この双子問題を成長に対する主要な障害だと述べたのは、本質的に、労働組合と貧しい人々に対する宣戦布告だ。しかも、忌まわしい、いわゆるアメリカの麻薬戦争と、新自由主義の組合潰し政策を正当化さえしている。

エルサルバドルの問題は、多国籍企業の世話になっている腐敗した傀儡政権や、恥ずべき搾取的な経済制度のせいではなく、自ら招いたものだと、エルサルバドル国民を説得しようという企みだ。これは、この地域の様々な国々に対し、何十年も使われてきた同じ論理で、中南米での、大半の武力衝突や内紛の根本原因だ。ボリビアベネズエラ、アルゼンチン、エクアドル等々を見さえすれば、 膨大な圧力や、悪魔のように扱う国際的キャンペーンにもかかわらず、自らの経済制度を掌握し、自らの運命の主人となった国々の例がわかる。中南米におけるこの不安定な時期、我々が世界中で目にしている、大企業による対労働者攻撃と、階級闘争としてたち現れている様相という意味で、エルサルバドルが、どれほど実際に、アメリカ合州国と、より広い意味で世界の縮図となっているのかを検討する必要がある。この問題を、極力できるだけ広い文脈で見ることによって、平和を愛する、反帝国主義 全世界の エルサルバドル国民や、自由を求めて戦っている全ての労働者と団結して立ち上がることができるだろう。

Eric Draitserは、StopImperialism.comの創設者。彼はニューヨーク市を本拠にする地政学専門家。彼はロシア・トゥデイ、Press TV、GlobalResearch.caや、他のマスコミへの常連寄稿者ある。ericdraitser@gmail.comで、彼に連絡できる。

注:
[1] http://www.labornotes.org/blogs/2013/01/us-intervention-el-salvador-privatization-time
[2] http://www.cispes.org/blog/workers-mobilize-for-higher-wages-in-private-sector/
[3] http://www.cispes.org/wp-content/uploads/2012/11/APPFactSheet.pdf
[4] http://transition.usaid.gov/press/frontlines/fl_mar12/FL_mar12_LAC_El_SALVADOR.html
[5] http://www.cispes.org/blog/us-ambassador-ransoms-aid-for-passage-of-public-private-partnerships-law/
[6] http://photos.state.gov/libraries/elsavador/92891/octubre2011/Joint_Country_Action_Plan.pdf
[7] http://www.cispes.org/blog/partnership-for-growth-pushes-privatization-as-development-in-el-salvador/
[8] http://en.wikipedia.org/wiki/USAID
[9] http://transition.usaid.gov/press/frontlines/fl_mar12/FL_mar12_LAC_El_SALVADOR.htm

記事原文のurl:http://stopimperialism.com/(トップ・ページのアドレス)
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The US and the Privatization of El Salvador

記事原文のurl:www.globalresearch.ca/the-u-s-and-the-privatization-of-el-salvador/5318221

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またもや、国名と協定名を変えれば、そのままこの国? エルサルバドルに作られた会議?は

主要なメカニズムの一つが、外国企業の助けになる事業に協力的な環境を生み出すことを狙う“成長委員会”だ。

そして、この国で恐ろしい素晴らしいメンバーで構成される“産業競争力会議”だ。

美しい呼び名の建前で、とんでもないものを押しつけるのが宗主国の常套手段。子供の頃、時々やってきた押し売りを思い出す。成人男性がいない昼間を狙ってやってきて、最初は丁寧に、最後は無理やり「ゴム紐」等を高値で押しつけた。羊の皮をかぶった狼。もちろん、悪辣さの規模は全く違う。

Public-Private Partnership、頭文字で呼べばPPP。間もなく「王様を欲しがる蛙」を絵に描いたような皆様によって選出された、傀儡・猫かぶり自殺願望政権が加盟する植民地化TPPを連想させられる。一文字しか違わない。

TPP、日本以外の大国、交渉から抜け、残るのは日本とエルサルバドルのような小国だけ残る実質、米・日FTAになるだろうか?

全く期待していなかった政治家氏の「TPP加盟は、ギロチンに首をつっこむようなものだ」という発言には感心したが、本気で反対する連中が、売国議員の多数を占めるわけがない。売国奴であるがゆえに、宗主国の支持を得られ、議席が得られるのだろう。

数日間、テレビも新聞も無関係に暮らしていた。精神的毒抜き?
とはいえ「産業経済破壊新聞」の見出しと一部を眼にした。プロパガンダ文章をお金を払って読む方がいる不思議に驚いた。漱石三四郎の中の文章、「亡びるね」は彼の自虐史観的結論ではなく、植民地訪問にふれて書いた別の文章こそ彼の主張だ、というようなものだった。頭がクラクラした。

時折飲みながら無駄話をする同級生も、こういう記事を読んでいるのだろうか。彼等との飲み会、もう参加をやめるべき頃かも知れない。彼等の言い分を聞いているのは疲れ、本音を言えば喧嘩になるばかり。物言わぬは腹ふくるるわざなり。

事実を冷静にみることを自虐史観といい、属国推進を愛国と呼ぶ奇異な皆様。そして昔の名前で、かの首相秘書や経済担当大臣まで参加している現政権、ますます第二次小泉売国政権の本質を現してきた。

久しぶりの朝刊でまた憂鬱になった。教育制度破壊組織ができたという記事に。

いじめ対策に力を入れるというが、もちろん正論を主張する生徒が、教師を含め全員から公式にいじめられる恐怖体制が完成するに違いない。異神の怪と一緒に。全てを「構造改革」する。

尖閣防衛ばかりを大本営広報は宣伝するが、日本丸ごとTPPによって、宗主国の大企業に征服されることは一切言わない。小さな島の問題とは深刻さは桁違い。中華思想は怖いそうだが、自国だけは例外だという宗主国の思想こそ、そして宗主国の命を受けて、民意を無視するインチキ選挙制度で選ばれた上げ底政治家と、政治家もインチキ制度も決して批判しない大本営広報部こそが、小生のような貧乏人を含め、世界で一番多数の人々を苦しめているものだろうに。

与党政治家も大本営広報部も、勿論恐ろしい将来を知らないのではない。知っていながら、未曾有の完全属国化推進・宣伝をすることこそ、売国奴の使命。

36億円の官房機密費、一体何に使われていたのだろう?

とうとう夕方の大本営広報番組で、TPPプロパガンダ虚報が放送された。大半農業の話。知的財産権や、医療、医薬品等、深刻な問題があることがわかっている分野には一切触れない。ひどいもの。賛成派の大規模農家、いつも宣伝に登場される方に思えるが?真実を訴えれば、痴漢にされるか、飛び下り自殺させられるのだろうか?

そして、賛成派の外国に工場を移した町工場主。

決して本質的な問題には触れない虚報の素晴らしい見本。これを善男善女はご覧になって、自分の首を絞めててくださる政治家に進んで投票する。

おきまりのオリンピック招致。原発が全廃されて、いつ地震津波が来てもメルトダウンは起きないようになったら招致すればよかろうに。

2013年1月11日 (金) TPP・ACTA, アメリカ, 中南米, 新自由主義 | 固定リンク