本澤二郎の「日本の風景」(1250)

<安倍の超バラマキ政策始動>
 昨夜は千葉市船橋市のわずか10キロの距離を2時間もかかった。交通事故だ。交通警官の手際の悪さもあったろうが、世の中は政治も経済も悪化すると、想定外の事態が次々と起きる。それは発足したばかりの安倍内閣の経済政策にも。日銀の輪転機を奪い取って円をがんがん刷るというので、真っ先に外国の機関投資家が株を引きあげている。株屋と連携する安倍内閣だ。ギャンブル・カジノ経済、中曽根バブルの再現であろう。まともな政府が決して手を出さない手段だ。交通事故と異なり、深刻な副作用が100%出てくるだろう。


参院選挙向けの詐術>
 安倍のハッタリめいた、強がりの数字がポンポンと飛び出している。10兆、20兆と、マスコミが彼の言動を繰り返し報道している。ドラ息子誕生である。20年前から演じてきた失敗の手口だ。借金の山をさらに構築するという公約であるが、茶の間には正確に届けない。
 テレビ芸者を使って「今回は笹子トンネル事件が起きた。これらを放置できない」と合唱させる。またしても官房機密費の出番のようだ。子羊を半年間、騙してやれ、というのである。
 ひたすら半年間、景気のよい雰囲気を作って、夏の参院選を大勝利に結び付けようとの魂胆だ。例によってマスコミを動員している。その先陣を株屋が走っている。実態経済は変わっていない。悪化しているのに、である。
 「東電放射能事件さえ誤魔化せたのだ。超バラマキも簡単に出来る」という官邸の策略なのであろう。
<深刻なツケ>
 日本に金が無い。財閥は持っている。富裕層は持っている。しかし、そこに手はつけない。どうしてか、彼らの傀儡政権だからである。マスコミもそこを突かない。同じく彼らの僕(しもべ)だからなのだ。
 日本に本物の言論の自由はない。このことさえ気付こうとしない人々がいる。それは外国の日本研究者の中にも沢山いる。滑稽千万である。
 中曽根バブル崩壊以降の20余年間、日本の愚かな官僚政治は、借金の山を築いてきた。既に1000兆円、これは表金(おもてがね)に過ぎない。隠れ借金を合計すると、途方もない借金の山脈なのである。
 そうして、さらなる借金山脈を構築してゆくと、その副作用・ツケがいかにすごいものになるか、多少の教養があれば理解出来るだろう。
 日本に打ち出の小槌はない。国債発行・日銀輪転機の回転という禁じ手しかない。国も地方も団体も個人も、破綻へと突き進むことになる。
<孫や子に自殺強要?>
 安倍バラマキの共演者は麻生太郎だ。彼は首相時代に「孫や子にツケは回さない」と繰り返し口約束していた。いまやその約束に真っ向から反対する政策の中心者である。
 生まれた途端に、首が回らない借金を背負わされる幼子たちの将来に希望を見出だすことは不可能だろう。立場を置き換えれば十分理解出来るだろう。こんな残酷な仕打ちもない。
 最初から「生きるな」と言っているに等しい。孫や子に自殺を強要しているようなものだ。生まれた途端に体罰を強いているようなものではないか。
 「笹子トンネルはいやだ」という口実で超バラマキを正当化することの覚悟を、日本人は強要させられることになるのである。
 もしも、本当に全国のトンネルや道路が笹子トンネルというのであれば、そのための財源確保に人々は歳出を削減して、それに耐える必要がある。孫にツケを回さないために。その覚悟はあるのか。
<虎の子資産の大目減り>
 輪転機をがんがん回せば、円の価値を下げることが出来る。ワシントンはそれでやりくりしてきたが、それも限界を迎えている。日銀に相当するFRBを潰せ、との正論が浮上している。日本でも日銀を解体する必要があろう。
 円価値の引き下げ政策は、一部の財閥輸出企業を儲けさせる。彼らはあの手この手で課税を逃れる輩で知られる。
 庶民のなけなしの虎の子の資産が大きく目減りするのである。嘘かまことか政府筋は「日本の資産は1500兆円。まだ借金はできる」とうそぶいている。これを信じていいのであろうか。隠れ借金を明かせない日本政府ではないか。
 年金生活者の自殺が増えることになろう。
<ガソリンの大高騰>
 円安は市民生活を直撃する。既にガソリンが理由も無く値上がりしている。これはきつい。民主党もそうだったが、自民党も石油業界と癒着しているため、公正な価格設定ができない。業界のいいなりである。
 財閥・官閥の傀儡政権の弱点である。安倍内閣の存続は、ガソリンの高騰を受け入れる覚悟が必要なのだが、それに耐えられるか。人々は車を手離す覚悟も。出来るのか。
<生活必需品大幅値上げ>
 日本は食料輸入大国だ。円安は家庭・家計を直撃しよう。麺やパンの原料でさえも輸入している日本である。讃岐うどんの原料さえも輸入に頼っている。何もかもを円高で対応できたのだが、それが逆転するのである。
 人々は家庭菜園で生き延びることを真剣に考える必要に迫られるだろう。見方によってはいいのかもしれない。しかし、全ての市民にとってだと厳しい。
 酪農の餌も輸入だから、肉も卵も皆高額になってゆく。それでも、安倍政策を支持するというのであれば、人々は耐えなければならない。出来るか?
<医療年金福祉の大低下>
 借金山脈の元では、既に始まっていることだが、年金や医療・福祉が著しく低下してゆく。今日の日本人の不安の元凶である。タンス預金が増えて、消費に回らない理由だ。
 タンス預金のない多数の市民は路頭に迷え、ということなのか。
 超バラマキの安倍予算は、一時的に土建屋を潤すだろう。一部の赤ちょうちんの屋台に金が落ちるかもしれないが、ただそれだけのことである。長続きはしない。
<最悪は超インフレ>
 敗戦時の1945年を知らない世代が増えてきている。日本軍国主義が崩壊した時代だ。この場面で円はゼロになった。
 借金の割合は既に45年レベルだ。
 安倍政策のその先には超インフレ・ハイパーインフレの恐怖が待ち構えているのである。日米欧とも金融不安が続行している。1930年代のアメリカの再現を世界は、深刻な思いで見つめている。30年代と異なる現在はグローバル経済の時代なのだ。
 財政破綻は国家の滅亡を意味する。財政の健全化は必要不可欠だ。苦しいが、これに挑戦してゆくしか道はない。
 官僚政治の壮大な無駄を無くすしかない。司法・立法・行政から身を正すしか道はない。世紀の行財政政策を断行するしか道はない。その姿に民衆は増税にも理解を示すことになろう。
 中曽根内閣以降の政党・政治家は与野党含めての猛省と国民への謝罪が求められている。
<鼻たれ小僧はいらない>
 こうした一大改革を推進するためには、宇都宮徳馬が指摘した「鼻たれ小僧」では対応できないだろう。小泉内閣に巣食った弱肉強食・格差強要の面々では無理である。
 そんな輩に参院選挙で勝たせては、日本の将来は暗澹としてしまうだろう。50、60歳の鼻たれ小僧では無理というものだ。
 真の改革者よ、出でよ、声を上げよ、といいたい。
<真の国民の代表なのか、ムサシの成果なのか>
 既に明らかにされてきている。12・16総選挙の正体だ。イカサマ選挙だったとの容疑は濃厚である。「ムサシ」の解明が求められよう。こんな日本でいいわけがない。
 立法府に「ムサシ」関連の議員ばかり、というのでは、政治の根幹が崩壊していることになろう。
 「ムサシ」の沈黙は許されない。総務省も真実を明かすべきだろう。3権と言論界は、まずこの不正選挙と真正面から向き合う必要がある。捜査当局の沈黙など許されない。あえて警鐘したい。
2013年1月13日8時55分記