本澤二郎の「日本の風景」(1269)

オバマ変身>
 2期目のオバマ政権が始動、彼本来のリベラルな路線を積極果敢に打ち出している。銃の規制や移民問題同性婚など持論を貫く構えだ。富裕層増税も十分ではないが、やり抜いた。明らかに変身・オバマを見てとれる。それは外交軍事政策にも顕著に現れそうだ。


 元民主党大統領候補のケリー上院議員国務長官に起用、合わせて国防長官に元共和党上院議員ヘーゲル氏を、共和党の強い反対にもかかわらず強行するだろう。
 後者はベトナム帰還兵だ。戦争の悲惨さ・無意味さを体得しているリベラリストで、同じくベトナム帰りの共和党のマケイン上院議員と違う。産軍体制の僕(しもべ)ではない。ケリーとヘーゲルは好戦派・ネオコンと一線を画している。
 1期目のオバマは、保守派・右翼との妥協に力を注いできて、彼本来の支持者の失望を買った。最後の4年にオバマ色を打ち出したのだ。日本の安倍はここ数日間の国会論戦で改憲軍拡・反中国姿勢をあらわにした。岸信介路線でアジア外交を牛耳ろうというのだ。
 これはワシントンのリベラル路線と異なる。安倍はワシントンのパイプがない。あるのは5人の調教師だけである。
<5人の日本調教師>
 事情通が桜井ジャーナルというブログ・アドレスをメールしてきた。そこに日本調教師の5人が、昨年石原慎太郎の新党結成直前に日経新聞主催のシンポジウムのために大挙、来日していた事実が指摘してある。日経は日本財閥傘下の新聞で知られる改憲新聞だ。そこを足場にしているワシントンの東京操作陣の存在に驚かされる。
リチャード・アーミテージ元国務副長官は、田中真紀子外相(小泉内閣)に袖にされたことで有名だ。これが原因で、彼女は小泉から秘書スキャンダルを表面化させられて、外相ポストを失った。ワシントンの調教師の実力は、日本の大臣など問題ではないのだ。

 この人物は元海軍将校、ベトナム戦争時、麻薬取引きをしたという疑惑を持たれているという。このほかカート・キャンベル国務次官補、マイケル・グリーンCSIS(米戦略国際問題研究所)副所長、ジョセフ・ナイ教授(ハーバード大学)、ジョン・G・ハムレ元国防副長官(CSIS所長)によって、日本はコントロールされている。専門家の常識のようだ。

 彼らの東京入りの目的について、石原決起を促すことと、2030年原発ゼロを止めさせて、引き続き原発推進を維持させることを、日本政府に強要するためだったといわれる。納得出来る分析だ。
 現在の安倍内閣は、間違いなく5人組の意向を受けて原発政策を実施している。2030年ゼロという言葉は聞こえてこない。平和憲法を排除することを悲願とする極右内閣を露呈している。ワシントンのネオコン(親イスラエル好戦派)と連携している、いわば忠犬ハチ公なのである。典型的屈米派政権である。

 森・小泉内閣の遺産をそっくり継承しているが、しかし、小泉は改憲軍拡ラッパを吹き鳴らすことはしなかった。岸信介が悲願とした戦前体制に引き戻そうとする安倍政治は、まさに極右と定義すべきなのだ。歴史認識でも、公明党はコケにされている。恥ずかしくないのか。
 経団連と日経とネオコンの連携は、平和を愛する日本人・アジア人にとって警戒すべき対象なのだ。生意気なことを言わせてもらったが、実を言うと、こうしたワシントン分析について筆者は不勉強もいいところで、最近になって理解するようになった。
 いうまでもなくCSISとCIAは、同じ仲間と見ていいだろう。だが、この5人組が、オバマ新体制の下で同様の政治力を行使できるのかどうか、ここをじっくり観察する必要があろう。
<59年目の被爆島・マーシャル諸島住民の悲劇>
 福島の現状を隠さないで真実を報道しないNHKが、67回も核実験をしたビキニ環礁の現在をルポしたという。これは画期的なことだ。担当者が例の森田アナのような被害を受けないように祈ろう。
 1954年のビキニ環礁での核実験では、日本漁船・第5福竜丸と船員が被曝した大事件が起きている。それは200キロも離れているマーシャル諸島のロンゲラップ島住民も同様で離島を余儀なくされた。被曝の実験台にしたワシントンである。人権侵害もいいところである。
 ワシントンは3年前から「もう除染も終わった。安全だから戻れ」と故郷への帰還を呼び掛けているが、被曝した住人は今も恐怖で動けない有り様なのだ。日本のNPO法人が現地入りして測定したところ、除染は島の中央部(15ヘクタール)のみで、それ以外では高い数値が出たようだ。
 ワシントンの呼び掛けに対して、住人にその意思はないという。それもそうだろう。被曝地で住みたい人間などいない。日本もそうだが、測定できる放射性物質は全てではないらしい。だから現在も除染していない場所では高い数値が出るのだろう。
 このことから「5年、10年で故郷の町に戻れる」というような日本政府の無責任な対応に対して、怒りがこみ上げてくるではないか。ここはビキニ環礁から200キロも離れた場所なのだ。59年前の被爆事件である。
 政府・福島県や関係市町村の嘘が、ここへ行けば判明するのである。
<殺されながら、拠出金1番>
 アルジェリア日揮社員10人が、イスラム過激派か、それともアルジェリア軍に殺害された。その真相究明に政府や政党は、無関心を装っているように見える。なぜ真相を知る日揮のドンを国会に召喚しなのか。
 ことは戦略物資・エネルギーに関連している。各国とも諜報機関を動員して、怪しげな工作をしているということが、素人でも分かってきている。それを日本政府は沈黙している?国民は何も知らされていない。それでいいのであろうか。
 北アフリカの資源国は、欧米の植民地政策が色濃く残る。東京にワシントンの影がこびりついているように。そこから争いの火種が沸いてきている。そこへと欧米諜報機関が、手段を選ぶことなく介在している。日揮の社員はそうした犠牲者の可能性が高い。

 さっそく欧米は、この混乱のアルジェリア・マリ・ニジェールの支援国会議を開いた。フランス軍は既にマリに軍事介入している。ワシントンはニジェールへと。日本はというと、またしても金を強要された。1億2000万ドルを拠出すると宣言した。
 借金大国にとって大事な金である。日本の拠出金が1番という。こうした対応にもワシントンの指示が働いているのだろう。これが生活安定のための農業支援などであれば、多少は救われようが、実際はどうなのだろうか。この種の金の一部は、政界や官界・財界に必ずキックバックされる?

 オバマも自立へと向かっている。日本も自立する時ではないか。
2013年2月2日9時25分記