本澤二郎の「日本の風景」(1279)

アベノミクスの正体>
 安倍晋三首相の父親・晋太郎が所属した福田派、そこで活躍したベテラン秘書と電話をしたさい、彼は「アベノミクスに騙されている国民が情けない」といってその正体を暴いてみせた。その一部を紹介したい。「自国の通貨をどんどん発行して、それで景気が良くなるというのであれば、世界各国に不況など存在しない」と斬って捨てた。小学生でもわかる理屈である。


 いま市民は、安倍経済路線によって新たな不安に怯えている。輸入する生活必需品は、円安で確実に値上がりするためだ。ガソリンや灯油の値上がりは既に現れている。家計を直撃している。
 「需要の増加が見込めない工業製品は上がらない。つまりインフレは起きない」「仮に2%値上がりしたとする。そこに消費税5%増税がプラスされると、7%アップになる。途端に日本経済は奈落の底に落ちる」「ロケットは上がった途端に撃ち落とされる格好になる。わかりきっていることだ」などと指摘した。

 円安になって車を購入する家庭が沢山増えるか。NOである。ガソリンの高騰で車を手離す家庭が増えるだろう。車の国内生産は増えない。雇用は下がって失業が増えるだろう。ガソリンの使用が著しく少ない、環境に優しい、それでいた格安の車が出現すれば、需要は増えるだろうが。現状では予想出来ない。
 家庭用の風力・太陽光の電力が格安で提供する企業が現れれば、これも需要が期待できる。景気はよくなる。いまそれがない工業製品ばかりである。デフレは続くことになる、というのだ。
 需要が増えないと、企業の投資もない。だから雇用は増えない。それよりもリストラと工場の海外移転が続いている。売れないと値下げ競争が続くことになる。
<カジノ・博打経済>
 輸出企業には円安効果が出るが、輸入企業はその逆だ。特に原料輸入大国の日本のダメージは石油に限らず大きい。高い原料を加工して輸出する日本製品は、値上がりして円安効果を下げることになる。
 「アベノミクスなどと喧伝しているが、要するに、これはアメリカのカジノ経済の真似である。ドルを印刷しているだけの不純な博打・カジノ経済。それゆえにリーマン・ショックで破裂して沈没したアメリカ。その同じことを、日本でやろうとしている」

 既に中曽根バブル経済を経験している日本である。この時はアメリカに命令されてドル安円高政策だったが。浮かれずに慎重に舵取りをしていればよかったが、円は株と土地に吸い取られ、実態経済に反映しないまま崩壊した。1500兆円の資産が消滅した。
 安倍内閣は、アメリカ並みに円をがんがん印刷して円の価値を下げる。そのために、日銀の独立性を政治的に奪い取ってしまった。中央銀行を政府の配下にして円を刷りまくる。戦前のようにしてしまうというのだ。その副作用は計り知れない。
 要は、アメリカのカジノ・博打経済を今度は日本で実験するというのだ。人工的為替政策に対して、既にドイツや新興国の強い反発が噴き出している。中国と敵対している日本は、さらに欧州・新興国と対立するというのだろうか。自由貿易はお互いの信頼関係が不可欠である。
<詐欺師>
 経済は需要と供給によって動く。需要が多いと、供給が間に合わなくなる。そこで物価は上がる。インフレである。現在の日本は供給があっても、需要がないのだ。デフレである。
 アベノミクスは、そこで需要を作り出すと言っている。金が無いのに、金の代わりに国債を発行して、借金して「やる」という。既に財政は1000兆円もの大赤字である。破綻状態に置かれている。本来は歳出削減が求められている。財政健全化が急務、喫緊の課題である。国際社会の要請ともなっている。それを棚上げどころか、さらに悪化させるというのだ。

 中曽根バブル崩壊後の政府は、景気対策と称して借金をしながら公共事業予算を山のように膨らませてきたことを、まだ多くの日本人は記憶している。しかし、景気はよくならなかった。1000兆円という借金の山だけが残った。
 歴史も経済も何事も過去を反省しない自民党である。同じことを安倍内閣はやるというのだ。失敗したことを、また繰り返すという。それは弱肉強食の小泉路線の踏襲でもある。つまりは格差拡大を追及する?そして何よりも、この半年の間、少し景気が上向けばいい。その結果、国民がアベノミクスに浮かれればしめたもの。株屋と輸出企業が儲かればいい。その後はどうなろうとも構わない?
<屈米派路線>
 安倍の悲願は参院選を勝利したい。ただそれだけのアベノミクスなのである。勝利して平和憲法をぶち壊して戦争のできる日本にしたい。財閥・CIAの期待だ。こんな野望を市民は受け入れるだろうか。
 民間に需要がない。だから民間に期待するものは何もない。ならば借金によるバラマキ公共事業で半年間、国民をだませれば十分?これで土建屋が潤う。それで十分だ。その結果の借金の山など孫に任せればいい。こんな思いではないだろうか。
 株屋と土建屋向けというと、中曽根バブルと同じではないか。
 もう一つが竹中平蔵規制緩和路線だ。小泉内閣を想起するとよい。彼は労働者の人権を奪った張本人ではないか。派遣労働者という不安定な職業を生み出した屈米派で知られる。安倍も祖父以来、屈米派の代表格である。
 ワシントンに目を向けて生きてきた売国奴政治屋である。
 「安倍は詐欺師だ」とベテラン秘書は断じた。
<国の根幹が博打のアメリカ経済>
 「アメリカ経済は根っ子が腐っている。モノを生産して利益を上げるという本来の姿ではない。主流は電話1本で何億、何十億の金を動かすという金融経済・カジノ博打経済ではないのか」
 「そのためにドルを印刷して世界に売りまくって暴利を得てきた。ドルの国際通貨という地位を悪用してきた。それが壊れて深刻な状況に追い込まれている。そこから抜け出そうとしてTPPを強行しようとしている」
 博打経済で手にした資金を武器弾薬に回すといういかがわしい手口を学んだ屈米派が、今の安倍内閣である、とも断じるのである。
 「国の根幹が腐りきっている」と指摘した。彼は安倍の素性をよく知る人物である。札幌のススキノ時代のことも承知しているらしい。だから遠慮せずにアベノミクスの詐欺的経済政策にNOを突きつけられるのだろう。
<橋下のバカラ法案?>
 彼は大阪市のことにも言及した。筆者だけが知らなかったことなのか。「大阪のバカラ法案」を「狂っている」と決めつけた。
 過去に石原慎太郎が、東京都にカジノを作ろうとわめいていたことを思い出した。ワシントンやロンドンにギャンブル場があるだろうか?石原の狂気はこのことだけでもわかるだろう。その後継者が430万都民の支持を受けた?筆者には信じられない。可能であれば、1年かかっても猪瀬支持票を自分の目で確認したいものだ。
 石原と橋下の共通点は、このギャンブル設置のようなのだ。しかも、ベテラン秘書によると、それはバカラ賭博なのだという。
 バカラ賭博と言うと、ハマコーの150万ドル事件を思い出してしまう。これの教育効果は?
 彼は「いまや世界のギャンブル場で成功しているのはマカオくらいだ。ラスベガスも落ち込んでいる。ギャンブルで経済活性化?大阪も狂っている。石原・安倍・橋下に日本を任せると、それこそ大変なことになる」と警告したものだ。
2013年2月14日10時10分記