本澤二郎の「日本の風景」(1246)

<清談会で耳にした1・4石原環境大臣の秘事>
 1年に1回のホテル・オークラでの「清談会」名刺交換会で、隣り合わせた政治記者OBから不思議な解説を耳にした。それは中国のPM2・5の宣伝に躍起の石原環境大臣のことだ。PM2・5は車の排ガスのため、どこにでも発生する。北京や上海は確かに多すぎて、市民を肺がんの危機に陥れている。耳にしたことは、1月4日の石原雲隠れ事件のことだ。



<警察は知っている>
 1月3日に朝日新聞福島県内での、あまりにも杜撰な除染作業を報道した。あわてて秘書官らが石原に伝えようとしたが、本人の居場所が不明だったらしい。大臣が行方不明というのは、恐らく前代未聞のことであろう。
 このことを「警察官僚出身者が、参院予算委員会で質問している」というのが、その石原問題の核心というのだ。素人にはわからないかもしれない。筆者はピーンときた。
 「質問者が警察OB」という点だ。偶然、そのくだりを車を運転中のラジオで聞いていて、指摘された事実を思い出した。要するに、警察は1・4の石原雲隠れ事件の真相を握っているということなのだ。
 この秘事を石原は死んでも言えないだろう。そこを追及されている。裏で闇取引でもするのであろうか。必ずや週刊誌に書かれる、と思いたい。大臣失格である。
<NHK会長は葛西の子分だった>
 この会にNHKの編集幹部もいた。そこで、思い出したように「NHK会長の素顔」を尋ねてみた。というのも、元福田派のベテラン秘書が「今の会長は葛西の子分」と決めつけるものだから、急に気になっていたためだ。
 葛西といえば、JR東海の古だぬきで知られる。大変な右翼経済人として、右翼政権が誕生すると、必ず首相官邸に現れてくる人物。実は、NHK会長が誰かを知らないのだが、ともかく聞いてみた。
 正解だった。「葛西が推薦した人物」と返答してくれた。
 これはやはり重大なことである。この人事は誰の内閣だったのか。野田なのかどうか?NHKの正体がこれである。右翼経済人に支配される公共放送なのである。
 そうしてみると、3・11のNHK報道が狂って当然なのだ。民意を反映しないNHKによって、世論操作されている日本ということになる。まともな日本人の料金の不払いは当然ということになろう。
 まともなジャーナリスト不在の日本に問題があるが、それにしてもこんな会長を頂点にいただくNHK職員はたまったものではないだろう。やはりNHKが狂い、新聞テレビも広告がらみで狂う。民意が正確に反映されることなど無いのだ。
共同通信は運動部出身社長>
 日本の通信社は共同と時事である。前者は地方新聞やテレビに国際・国内のニュースを提供している。その影響力は大きい。以前はしっかりした労働組合が、共同報道の質を高めてきた。
 いま、その質が問われて久しい。保有していた電通株を売却してビルを建設したのだという。これは時事にも当てはまるようだ。電通のマスコミ支配を強化させてしまった。それによって真実の報道にブレーキをかけている。金によるマスコミ支配である。
 さて、今の共同通信社長は運動部出身だと、隣り合わせた共同OBが教えてくれた。これも驚きだ。内外政に向き合える見識があるのか、を心配する。「今のマスコミ経営陣は経営のことで頭が一杯だ」とも指摘していた。
 大本営報道も頷けるだろう。
<安倍側近は貨幣乱発論者>
 清談会にY代議士が出席、あいさつした。安倍側近として自民党の財政政策を担当しているという。彼は「自分が15年訴えてきたことが、ようやく実現した」と胸を張った。大胆な金融緩和策でデフレを脱却するというアベノミクスのことである。
 貨幣乱発して円安誘導させる。そうして株高にさせる、今がそうだと。「これは世界がやっていること。そうして日本は強い国になれる。経済力で外交も強くなる」と訴えた。
 経歴を見て納得した。親米派というよりも屈米派なのだ。東大経済学部を卒業して大蔵省、すぐに米国コーネル大学経営大学院に留学。ここでまずワシントンの洗礼を受けた。
 銀行局時代には、米国ハーバード大学国際問題研究所の客員研究員、続いて国際金融局で日米ドル委員会担当している。これで明白だ。彼は典型的なワシントンの貨幣ドル乱発論者なのだった。
 自国の通貨を乱発して資産価値を下げて、インフレに引きずり込む。ただそれだけのことだ。大きな副作用をどうするのか。無責任の極みである。

 ことのついでに紹介すると清談会のメンバーには、このほか東大教養学部卒業のM代議士がいる。運輸官僚だったが、やはり米国コロンビア大学大学院を修了している。また、一橋大学経済学部から大蔵省入りしたK代議士は、米国プリンストン大学国際問題研究所の客員研究員になっている。
 官僚も財閥エリートも皆そろって米国に留学させる。出世するためのコースなのだ。このネットワークにCIAがまとわりつく。それは言論界や司法界までも。日本の奥の院も蓋を開けると、この有り様なのだ。ここから政策が生まれる日本ということになる。
<坂本・総務副大臣は合格>
 熊本3区の坂本哲志・総務副大臣は、官僚OBとは異なる価値観であいさつした。彼は「地方は竹中・規制緩和路線に不快感を抱いている」と正確な認識を紹介した。
 竹中といえば、小泉内閣で格差を作り出した張本人。労働者の首をいつでも切れる、非正規社員を誕生させた人物だ。郵政民営化を強行したエセ学者でもある。ワシントンの操り人形として、安倍内閣にまとわりついている。これに地方は警戒している、というのである。
 「不満がいつ爆発するのか。安倍政策には光もあるが、影もある」とも鋭く指摘した。彼はワシントン派ではない。筆者の大学の後輩ではないか。地元の熊本日日新聞記者を15年務めた。民意をくみ取れる数少ない自民党政治家であろう。
2013年3月15日8時55分記