本澤二郎の「日本の風景」(1267)

東芝の素顔>(その九)
 無知な国民に幻想を抱かせて、改憲軍拡を強行する、という財閥主導の安倍路線が明確になってきている。いつの世も、どこの世界にも大衆は無知である。本来、そこを議会と新聞テレビがカバーをするものだが、今の日本はそれが逆転してしまっている。安倍を支え・操る東芝は、目下、必死で原子炉宣伝ではなく、LEDをCMで流しまくっている。民衆の意識を変えさせて、野望を果たそうとしている、そう筆者の目に映る。



 昨日は菅官房長官が、珍しく声を張り上げた。「参院選を勝利して憲法を改正する」と軍拡ラッパを吹き鳴らした。安倍側近もまた、戦争の出来る日本改造に意欲を見せつけた。「ムサシ」を使っての不正選挙に自信を見せたものか。
 アジアの人民は、のんびりと構えていられなくなってきている。他方、反安倍の福田康夫は中国を訪問して、アジアの平和と経済発展を訴えていた。
東芝は安倍にかける?>
 LEDで景気回復?これなら東芝もかわいい。むろん、佐々木は早大理工学部出身だから頭は固く、直線的だ。「東芝原発・原子炉製造にかける」と宣言して、LED電球など歯牙にもかけていない。
 米原子炉メーカー「ウェスチングハウス」を三菱や日立との競争に勝って、高額買収した東芝の佐々木なのだから。ひたすら岸信介A級戦犯容疑者の孫にかけている。それには、夏の参院選に勝利するしかない。安倍の女房役の発言に安堵したのかもしれない。他方で、幻想をふりまく作戦に熱中しているのだろう。興味のある者は東芝の広告費を調べたらいい。傾向が読めるはずだ。
 その成果は以前から現れている。民主党時代は松下・パナソニックが先導したが、いまや東芝が取って代わった観が強い。瞬く間に安倍内閣の支持率は上昇した。幻想を振りまく新聞テレビの効果なのだ。「民衆は愚にして愚」なのだから?

 貨幣を乱発をすることで極端な円安を強行、世界の投資資金を東京に集めることに成功したことは確かである。株高の原因だ。もちろん彼らは、貨幣乱発が景気回復するという幻想を承知している、その上での株売買である。稼ぎまくった後は、瞬く間に逃避する資本である。その時、日本国債が売られることになる。恐怖の日本沈没が襲ってくる?
 そこで財政出動となるのだが、金はない。国債乱発で日銀に買わせる。黒田は即座にOKする。日銀財政が踊りまくるのだろうが、それは全て借金の水膨れを約束して、さらなる財政の悪化、日本沈没に拍車をかけるだろう。孫や子の時代になっても、このツケは返せない。
 ひょっとして、財閥はそんなことはどうでもいいのだろう、安倍や菅がいうように、参院選の勝利さえつかめば、改憲軍拡の野望を実現する、それでいいのだから?恐怖のシナリオこそが、東芝など財閥の目的なのだから。
<歴史の再現狙う>
 まともな識者は大恐慌時代の日本を振り返りながら、いまの動向に恐怖を抱いている。アベノミクスはいうなれば、高橋是清財政そのものだから、である。歴史の再現を狙っているからだ。
 高橋財政もまた円安を狙った。金本位制を止めた。途端に1ドル2円が半分の4円になった。しかし、それでも景気はよくならない。日銀に輪転機を回させるのだが、経済は需要と供給で決まる。日本の製品を国民が買いまくる、外国で売りまくる、ということが起きなければ、いかに円安にしても景気はよくならない。インフレだけが家計を直撃する。日銀資金は武器弾薬へと化けてゆく。あわてて止めようとした。それが2・26事件の引き金となった。
 侵略国家へと変身して、日本は破滅してゆく。「アベノミクスは戦争を引きずっている」と歴史を知る識者は決めつける。その通りだ。
共同通信にかける安倍>
 いまマスコミ界・新聞テレビの経営状態は悪化している。そのことで内部の抗争は激化している。権力を監視することを放棄して、反対に権力から操られている。権力に癒着するナベツネ的経営者が実権を握っているマスコミ界だ。比例してジャーナリズムの質は著しく低下している。ここに本物の言論の自由はない。
 ゆえに新聞離れは止まらない。3・11によって、それを一部民衆も察知するようになってしまっている。それでもテレビを見る自宅老人はいる。彼らが世論操作の標的となっている。

 そこで安倍だが、なんと地方新聞テレビに圧倒的に影響力を有している共同通信を籠絡させたという。市民にとって悲しいニュースを、同通信関係者が手紙で伝えてきた。このことで、共同内部では大騒ぎになっているらしい。
 それもそうだろう。朝日新聞2月16日付の「首相動静」に共同社長と安倍が宴席で食事をしていたことが記録されたのだから。これはマスコミ界の大ニュースだ。共同関係者にとっては腰を抜かすほどの大事件だった。
 「たかが安倍である。なぜ安倍ごときにベタベタするのか」と多くの社員は当たり前の反応をした。これは、まだ共同通信内部にまともな記者が存在している証拠だ。
 朝日は「7時46分、東京・白金台の日本料理店・壺中庵で共同通信社の石川恥社長と食事」と報じた。いうまでもなく共同は、日本を代表する国際通信社で知られる。「北海道新聞から沖縄タイムズまでの日本の購読数は2800万部」が当事者の説明だ。
 中立・公正が共同通信の立場なのだ。その禁を破った石川は失格だろう。2800万部読者にどう申し開きをするのか。「恥を知れ」が社内の空気という。それこそ共同OBを巻き込んで大騒動の渦中という。昨今のマスコミの内情を露呈する大事件といっていい。
<運動ジャーナリスト>
 この不見識な共同の石川という社長は、運動部出身である。内紛が彼を社長に押し上げたのであろうが、そこが官邸の狙いだった。ヒトラーもスポーツ利用に長けていたが、いまの新聞テレビはスポーツ報道に特化している。NHKなどはその典型で無残きわまりない。経済が狂うと政治も言論も狂う。
 3・11に蓋を懸けて、嘘と隠ぺい報道に突進する新聞テレビである。このことで東電・東芝安倍内閣も救われている。いま日本がやるべきことは原発再稼働では断じてない。福島の放射能汚染を封じ込めることが、日本の生きる道である。
 東京の水ガメも高濃度の汚染が確認されている。横浜市の小学校の雨どいからも、それが確認されている。給食児童の食材も危うい。妊婦から奇形児が生まれている報告も表面化している。
 「3・11は収束した」(野田佳彦)という大嘘に対抗して、再び官邸に押し寄せる金曜日デモも復活した。健康に生きられない日本を、100年200年かけて解消・救済することが、財閥・官閥・政界・言論界の最優先使命ではないか。

 スポーツ報道で民衆の意識を劣化させ、そこへと幻想をふりまく財閥主導の安倍内閣でいいのだろうか。金魚のフンに徹する公明党、それに追随すり寄る維新の会・みんなの党も、どうかしている。
2013年4月8日9時20分記