本澤二郎の「日本の風景」(1291)

東芝の素顔>(その十八)
 平和憲法をないがしろにする安倍内閣、それどころか国会議員の2分の1で容易に改憲可能な憲法改悪を公約にする安倍内閣、そんな極右内閣にテコ入れする原発メーカーである。その先頭に立った東芝だ。目下の安倍外交で露見した。安倍の成長戦略とは、東芝など日本の原発を世界に売り込んで、地球をプルトニウム漬けにすることなのである。すなわち、それは福島の地球拡散という悪魔の野望そのものとも見られかねない。


<地球をプルトニウム漬け>
 ワシントンは足元のテロやイラン、シリア、アフガン、パレスチナイスラエル問題、最近は本当とも思えないが、北朝鮮問題などに目が映っている。どっこい、東京は核兵器拡散を可能にする原発ビジネスに奔走している。核の平和利用という、透明のオプラートに包んで、核・暴利ビジネスに熱中している。
 このことに、多くの国民はほとんど無関心なのかもしれない。しかし、いずれ驚く場面が出てくるだろう。
イスラム圏を標的>
 3・11の煙が濛々と立ち込める中での原発商売について、心ある内外の識者・専門家は眉をひそめている。しかも、今の売り込み先はイスラム圏である。欧米にしこたま叩かれてきた諸国である。
 彼らは心底、欧米に屈しているわけではない。面従腹背イスラム諸国である。その負い目は、核を手にしていない点にある。核兵器製造のためのプルトニウムが手に入らないためである。
 プルトニウムを生産してくれる原発は、喉から手が出るほど欲しい。そこへと東芝・三菱・日立の原発ビジネスが具体化している。トルコは三菱が押さえた。現在、核の保有にイランや北朝鮮が必死の努力をしているが、実際はもっと多いと言われている。
 欧州に隣接するトルコは、地政学的事情から原発建設、その先のプルトニウムに狙いを定めていることは、容易に想像できる。サウジも、アラブ首長国連邦も、イランに続くことになろうか。オイルダラー狙いでもある。
ASEANも>
 イスラム圏に限らない。いまだ原発のない、まだ自然豊かなASEANにも日本の原発メーカーは、政府をリモコンして原発国家に変身させようと懸命の努力を重ねている。
 かの国々は中国に続けと、特にベトナムが先頭を走り始めた。3・11の教訓を学ぼうとしない国々を標的にした日本の原発ビジネス・安倍外交である。不条理この上ない。原発メーカーは政府を手玉にとって原発の売り込みに専念している。

 安倍は、自ら9条改憲に取り組む一方で、原発プルトニウムを世界に拡散するという2刀流使いだが、その本心は日本核武装にあることはいうまでもない。そのための周辺国との緊張政策である。天皇国家主義という帝国主義復活への野望と周辺国は分析するだろう。
 アジアはこうした日本の極右路線とどう対峙しようとするのか。試練のアジアなのだ。
<悪魔の成長戦略>
 原発拡散はプルトニウムの拡散である。その先には、国際情勢の変化を利用して核兵器製造が各国で予想される。地球全体にプルトニウムが拡散する。その先導役が日本政府である。黒幕は東芝・三菱・日立の原発メーカーである。

 被爆国の日本でさえも、為政者とりわけ財閥と手を汲む右翼は、核武装の誘惑がまとわりついている。3・11にもかかわらず、無反省な原子力ムラが勢力を強めている。安倍外交がその証しである。
 核の本当の怖さを知らない世界である。自国民の安全を口実した核兵器製造を目論む為政者は、イランや北朝鮮に限らない。そこが原発メーカーの、したたかな計算があるのだろう。

 安倍内閣は成長戦略の行方が、いかがわしいアベノミクスの正体を暴くだろうが、そのための秘策が原発輸出なのだ。半世紀遅れのアメリカ路線の踏襲のようだが、果たしてこれをワシントンはどう評価するだろうか。
2013年5月4日22時30分記