本澤二郎の「日本の風景」(1298)

<安倍・原発トルコ外交の正体>
 安倍の選挙資金は相当膨れ上がっている、と永田町で信じられている。原発メーカー3社の隠れた献金額でもすごいからだ。既に指摘しておいたが、安倍のGWを利用した中東外遊は、文字通り原発利権外交そのものだった。中でも、トルコでは即座に原発3基の売り込みに成功した。事情通が、安倍・トルコ訪問の裏側を、笑いながら教えてくれた。安倍にとっても、原発メーカーにしても3・11はどこ吹く風なのだ。東芝が官邸に入り込んでいることに驚いていたが、三菱は安倍家に入り込んでいたのだ。腐敗外交そのものである。


<安倍の実兄が三菱商事
 経済部記者にとって、これから伝える情報は当たり前の秘事である。知らぬは国民ばかりなのだ。新聞テレビも報道していないのだろうから。
 トルコ訪問の下地は出来ていたのだ。すなわち、安倍の実兄が三菱商事重役である。三菱が敷いたレールなのだ。サウジやアラブ首長国連邦は、東芝や日立の工作が先行しているのだろう?安倍の成長戦略の主砲が、原発の売り込みだったのである。
 冗談のような本当の話なのだ。政府の外交権を原発御三家のため、トルコでは実兄のために行使したことになる。腐敗のきわみ、であろう。国会も新聞テレビも、事実上、このことに沈黙している?
三菱重工原発輸出>
 トルコには、三菱重工とフランス・アルバ社の原発が導入される。これで安倍の実兄は、三菱商事の社長になれるという。それよりも、首相による日本外交権の乱用の謝礼はどれくらいなのか。
 三菱による票と金の行方が注目される。三菱と安倍の祖父(岸信介)の関係は濃厚だった。3代に渡っている計算だ。自民党総裁選での貢献度も興味ある政治課題であろう。
 正義の社会部記者の追及に期待したいところだが。
<実兄のための日本外交>
 それにしても、実兄のために外交権を行使する首相は、戦後初めての事例ではないだろうか。ここまで腐れ切ってしまった霞が関にうんざり、である。安倍家と某銀行の関係も有名だったが、とうとう三菱財閥が首相の兄弟を使って、日本国民のための外交権を行使したことになる。
 これを野党は、新聞はどんなふうに扱い、伝えているのだろうか。6月の都議選、7月の参院選の自民勝利のために、事実上の沈黙をしているのだろうか。
 ともかく、最近の野党質問の追及力が弱すぎる。民主党がひどすぎる。あとは米粒政党ばかりで、追及する時間がない。其の分、新聞テレビがカバーすればいいのだが、新聞テレビの社長連が安倍の軍門に下ってしまっている。腐敗社長への安倍からの謝礼の中身も知りたい。新聞も議会も腐りきっていないだろうか。
<公私混同の日本外交>
 外交権の公私混同を、これまで耳にしたことが無い。外交権は日本政府にある。安倍家にはない。見識のある為政者であれば、兄弟からの私的な商売の売り込みに対して、事前にNOと断る。これが当たり前であろう。
 相手が3権を掌握している財閥であれば、なおさらのこと公私混同は許されない。これくらいの倫理観が首相には必要だろう。それが欠けている安倍なのか。
東芝・WH,日立・GE,三菱・アルバ>
 福島の今を聞いてみると、3000人の労働者が被曝しながら作業をしているが、安倍は決してそこには行かない。そこを外して東北遊説、いいところだけをNHKのカメラに映し出させて、愚民の茶の間に流している。それゆえに内閣支持率が65%だと、これ宣伝に努めている。
 福島の作業員は、現場に長くて1時間、分刻みの場所もある。彼らの中には東電・東芝・日立の社員は一人もいない。生活苦に泣いている弱い労働者らが、一つしかない命を差し出しているのだ。廃炉作業などは、まだお先真っ暗な状態である。しかし、お上の方は財閥の意向を受けて、外交権乱用で原子炉の売り込みに必死なのだ。
 東芝・原子炉は三井物産、裏の顔は米WH,三菱は三菱商事が。裏はフランスのアルバ社、日立は米GEである。3・11後において、この3大原発メーカーが地球にプルトニウムを輸出している。原発再稼働は当たり前の狂気の政権なのだ。

 ところで、米議会調査局が安倍ナショナリスト国粋主義者と診断したことに対して、公然と頬かむりする議会と新聞テレビの日本である。側近の自民党3役も、安倍の侵略否定論を吹聴し、大阪の馬鹿な市長も「戦場では従軍慰安婦は必要な制度だ」と安倍弁護に努めている。奢る平家そのものであろう。
<異様な清和研集金パーティー
 選挙近くなると、政治家や派閥の集金パーティーが毎夜繰り広げられ、そこへと政治記者の誰もかれもが顔を出して取材する。自民党が復活した今年も、それが桜前線とともに凄まじい勢いで行われている。
 これらにすっかりご無沙汰していたのだが、昨夜は招待状も届いたものだから、現場を見ようと重い腰を上げた。目指すは港区芝の東京プリンスホテルだ。昔は西武経営だったが、今は誰のものか?なんと広い会場で間に合わず、第二会場まで用意していた。そこに株でひと儲けした面々らが大挙して集結していた。異様な熱気がムンムンしていた。
 安倍政権を支える清和政策研究会町村派)の集金パーティーである。昨年の12・26選挙で水膨れした町村派は82人。健康を害して欠席した議員もいたようだが、ともかく盛会だった。参院選に13人を擁立、全員当選させて参院でも過半数どころか、改憲のための3分の2を確保するのだ、と気勢を上げていた。三角大福中の派閥全盛期のような集まりに驚いてしまった。
 会場から異様な奇声まで飛び出していた。自民党総裁選では派閥が分裂、体調を崩してしまった町村信孝も、この日は元気そうだった。
 公明党代表の山口も、すっかり自民党の集まりでのあいさつも板についていた。自民党が健全な時代は野党として攻撃、不健全化してナショナリスト集団になった時点で連立を組んで、選挙で支援する公明党に対して異和感を覚える国民も多いのだが。
<後ろめたい安倍>
 安倍が会場に現れたのは、乾杯の音頭も終わり、参加者がテーブルの料理を口に入れていたころだった。真剣に聞き耳を立てる者は少なかった。
 恐らく、町村に対する安倍らしい後ろめたさだったのかもしれない。なぜなら総裁選挙では、安倍が派閥の代表の町村を破って総裁に就任した。こんな強引な例は過去にない。一つの派閥から二人の候補者が飛び出すことなど、派閥終焉期でもありえないことだ。派内で仁義なき争いを繰り広げたのだ。このしこりは消えない。
 町村の面子は丸潰れ、その心労で倒れてしまったのだろうから。

 そもそもは、福田赳夫が岸の後継者となって清和会を立ち上げた。その後に森・小泉・安倍・福田康夫・安倍と政権をたらい回ししている。岸を加えると、そのナショナリスト政権ぶりも、よく見えてくるだろう。リベラルが排除された右翼片肺内閣である。そこにこびりつく宗教政党である。

 隣国との緊張を利用して民族主義の日本に変身させ、悲願の戦争の出来る日本改造へと突き進んでいる姿が見て取れよう。その覚悟があるのか。これは右傾化で片づけられる事柄ではない。国粋主義政権の野望の前に、わが愚民は立たされていることになる。それを真正面から報道しない新聞テレビ、財閥に支配されてしまった新聞テレビのお陰なのだ。日本とアジアの危機を印象付けていないだろうか。
2013年5月14日8時45分記