本澤二郎の「日本の風景」(1302)

ナショナリストに塩を送る財閥と新聞テレビ>
 日本SOSである。安倍を知る人物ほど、現状に仰天する識者は多い。周辺国どころか、ワシントン(連邦議会調査局)からも発進された安倍・ナショナリスト国粋主義者を「日本人の多数が支持をしている」というのだから。理由は財閥の強力な支持・支援を、世論操作機関に堕した新聞テレビが、進軍ラッパを吹いているからである。病んでしまった日本を象徴している。


<党利党略・不見識野党>
 対抗する野党がまた、ひどすぎる。国民を覚醒させる材料はいくつもあるというのに。それで結束・統一して与党に体当たりすればいいのだが、それが出来ない。党利党略に没してしまっているからだ。
 欧米・ASEAN・東アジアの人々が懸念する歴史認識を取り上げるだけで、
安倍内閣は崩壊するのだが、それさえも統一して対応しない。グローバル化した国際社会という認識が、野党にない。井の中の蛙なのである。
 平和憲法を廃して戦争の出来る日本に改造する安倍路線を、議会で徹底して追及すれば、国民は覚醒するだろう。だが、それもしない。
 原発ゼロの世論を叫ぶだけでも、原発再稼働の安倍・自民党を撃破できる。だが、それさえもしない。
 聖域なき関税ゼロのTPPなど、格差を前提に存在する経済社会ではありえない。アメリカの経済価値観で統一される中国封じの策略など論外である。隣国との友好関係なくして日本の将来はない。それでいてTPPに突っ込む安倍内閣を、退陣に追い込めない野党である。
 消費大増税目前だというのに、決め手を欠く野党の体たらくに嘆く識者は少なくないというのに、である。
ヒトラーをまねる安倍戦略>
 確かに安倍の行動をコントロールしている官邸の面々は、ずる賢い。田植え機を運転させる、保育園児や育児ママとの交流、留学生との対話などを次々と演出、それをNHK先頭に大々的に茶の間に流している。
「子供・女性の味方する安倍」を、NHKを使って特別宣伝している。新聞テレビを安倍広報に利用している。
これぞヒトラー流である。財閥の傀儡だというのに、まるで弱者の味方に変身させている。小泉も同じ手口を使ったが、安倍もヒトラーに続けと愚民工作に専念している。愚民こそが日本の主権者だからである。強権発動以前のヒトラーも、徹底して世論に迎合したものだ。それもこれも新聞テレビを掌握した成果なのだ。
日々の生活に追いまくられる市民の多くは、憲法を読んでいない。理解していない。安倍・改憲の真実を知らない。96条を知らない市民ばかりの日本なのだ。戦後否定された国家主義さえも知らない。
日本にチャップリンはいないのか。いればカンヌ映画祭で特賞を取る映画を作製できるだろうに。
<円札ジャブジャブで元来た道>
 デフレ脱却と称して、ただでさえ円は市場にあふれているのに、それでも不足しているといって、日銀に異端児を集めて輪転機を回し、円札を紙切れにしている。それを海外のハゲタカが悪用、株を吊り上げて大もうけしている。
 景気を良くするための投資には回らない。回るわけが無い。投資して儲かるビジネスなど、この大不況下の地球に存在しないからだ。
 市民の家々に天から1億円が降ってきたという魔術を駆使できると想定すれば、人々は財布を広げて消費するだろう。こんなことは100%ありえない。依然としてデフレ経済に変わりない。
 せいぜい株バブル、それも天井に近付いている。一部が不動産バブルとなって崩壊する。中曽根バブルの小型版でおしまいだろう。輪転機で景気がよくなれば、経済で悲鳴を上げる国も国民もいなくなるのだ。ありえない。
 行き場のない金は武器弾薬に化けてゆく。2・26事件はそうして起きた。これぞ財閥の悲願かもしれない。彼らには市民生活・国民の命などどうでもいいのである。
ソフトパワーで対抗せよ>
 ナショナリスト政権とどう立ち向かうべきか。新聞テレビを抑えられている中では、正論を市民に届ける方法はむずかしい。新聞テレビに影響を受ける日本人は、依然として圧倒的に多いからだ。
 これに影響を受ける隣国・隣人・国際社会でもある。テロや軍事力は愚策もいいところである。許されるものではない。非暴力抵抗運動をどう構築してゆけばいいのか。
 それはソフトパワーの活用である。国際世論と連携するのである。ヒトラー研究をする元自民党代議士を知っている。その逆手をとるのである。ヒトラー時代にはインターネットはなかった。
 21世紀の今はネット社会だ。平和を愛する市民は多い。彼らと連帯するのである。安倍や財閥の野望を打ち砕く方法は、ソフトパワーなのである。
 最近まで「日本の新聞テレビは真実を報道している」と信じる隣国の日本研究者が多かった。恐らく今はいないだろう。これは一大成果の一つだ。財閥に目を向けるようになれば、日本が見えてくる。そこから打つ手が見つかる。
2013年5月19日7時05分記
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