ロバート・マクチェズニー『資本主義がインターネットを民主主義の敵にする』について語る

マスコミに載らない海外記事   メタボ・カモ


Democracy Now!

2013年4月5日金曜日

長いことメディア改革を主張してきたロバート・マクチェズニーは、その新著で、アメリカの政治の将来が、誰がインターネットを支配するかによって、ほとんど決定されかねない様子を検討している。『デジタル・ディスコネクト』は、インターネットは人々に力を与え、民主主義を勝利させるだろうというインターネットの希望というインターネットの神話、対、独占大企業と政府が協力して、自分達の権益に合わせて、インターネットの約束を奪い去りつつある現実の違い" について述べたものだと、フリープレスと全米メティア改革会議の共同創設者マクチェズニーは語っている。彼の著書の書き出しは簡単な主張だ。 "資本主義の機能の仕方が、インターネットが社会で演じる役割を規定する。"[下記は番組内容の書き起こし]

書き起こし

This is a rush transcript。Copy may not be in its final form.

エイミー・グッドマン: コロラド州デンバーで、約2,000人が参加して開催されている全米メティア改革会議の初日、デンバー・オープン・メディアから放送しています。エイミー・グッドマンとフアン・ゴンザレスがお送りします。

フアン・ゴンザレス: 全米メティア改革会議の主催者、フリープレスの共同創立者ロバート・マクチェズニーさんにまもなくご参加頂きます。彼の新刊『デジタル・ディスコネクト: 資本主義がインターネットを民主主義の敵に変える』が刊行されたばかりです。本書の冒頭に、素朴な主張があります。 "資本主義の機能の仕方が、インターネットが社会で演じる役割を規定する。"

マクチェズニーさんが参加される前に、人生の大半を、同様にインターネットと民主主義に捧げた、もう一人のメディア活動家、アーロン・シュワルツさんのコメントをご覧頂きたいと思います。シュワルツさんは、1月に自殺しました。非営利リサーチ・サービス組織JSTORが提供する大量の学術論文をダウンロードするのにMITのコンピューターを使用したかどで、有罪となれば、最高で禁固35年、罰金1億円となるところでした。彼は26歳でした。弁護団は亡くなったインターネットの自由の活動家に対する連邦の起訴の行き過ぎを訴えています。彼の死で、告訴に対する不満と怒りが噴出しています。連邦議会では、カリフォルニア州選出の民主党下院議員ゾー・ロフグレンが「アーロン法」を提案しましたが、これは"サービス利用"規約違反を処罰の対象から外し、コンピューター不正防止法の改正を狙うものです。これは2010年、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校でのアーロン・シュワルツさんの発言です。彼はまさにJSTORについて話しています。


アーロン・シュワルツ: 議会を救うほどの大事ではありませんが、一例をあげたいと思います。この大学で、すぐに実行できる重要なことがあります。多少の覚悟はいりますければ。アメリカの一流大学の学生であれば、皆さんは様々な学術論文にアクセスできます。ほとんどのアメリカ合州国の一流大学は、それ以外の世界では読むことができない学術論文にアクセスする為に、JSTORやトムソンやISIのような組織にライセンス料を支払っています。しかも、こうしたライセンス料はかなりの金額です。余りに高額なので、アメリカ合州国でなく、インドで勉強している学生達はそうしたアクセスができません。彼らはこうした学術論文全てから締め出されています。彼らは我々の科学研究遺産全てから締め出されています。こうした学術論文の多くは啓蒙運動が源流です。誰かが科学論文を書き下ろす度ごとに、スキャンされ、デジタル化され、こうしたコレクションに加えられてきたのです。

これは興味深い仕事をしてきた人々の歴史、科学者の歴史によって、我々にもたらされた遺産なのです。共有地として我々人類全員の持ち物となるべき遺産です。ところが、 それが、そこから最大の利益を得ようとし、また得ている、営利目的の企業の為に、少数の人々によって鍵をかけられ、オンライン化されています。今、これをオープン・アクセス運動で変えようとしている善意の人々がいます。今後発表される、全ての学術論文を、研究成果をオープン・アクセスとして公開し、インターネット上で公開し、誰でもダウンロード可能で、自由に複製でき、恐らくは、出典と注記さえつければ変更さえ可能なようにするよう奨励しています。

エイミー・グッドマン: 2010年のアーロン・シュワルツさんの演説でした。彼は1月に自殺しました。

更に詳しくお話するため、全米メティア改革会議の主催者、フリープレスの共同創立者の一人、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校教授で、メディアと政治に関する多数の本の著者ボブ・マクチェズニーさんにご参加頂きます。彼の最新刊は『デジタル・ディスコネクト: 資本主義がインターネットを民主主義の敵に変える』です。ご本の第一章を、我々のウエブ、democracynow.orgでお読み頂けます。

マクチェズニー教授、Democracy Nowにようこそ!

ロバート・マクチェズニー: お招き頂けて嬉しく思います。

エイミー・グッドマン: 『デジタル・ディスコネクト』とはどういう意味ですか?

ロバート・マクチェズニー: インターネットが始まった時、今では古代史のようですが、80年代や90年代、最初の人々がこれに気付いた頃には、概して非商業的なオアシスと見なされていました。インターネットは、誰もが訪れ、平等な市民として、集中化した経済的、政治的権力と対決し、プロパガンダと戦う力を得られる場所で、広告も無く、商業主義は皆無でした。そういうものは立ち入り禁止だったのです。監視もありませんでした。人々は何でも望むことができ、追跡されませんでした。それこそが、アーロン・シュワルツも信じていた、インターネットを推進した偉大な民主的ビジョンでした。

過去20年間に、180度逆転したのです。皆"今だって自分のやりたいことは出来る。デモクラシー・ナウ!ウェブも見られる。他のクールなウエブを見つけて、そこで遊べる。自分のやりたいことが出来て、友人にメールが送れ、フェースブックも使えるから、生活は快適だ"と考えていて、大半の人々は一体何が起きたのか気付いていないと思います。しかし物事は実際はそういう具合にはゆきません。実際に起きていることは、実際ここ五年間で急変したように思いますが、様々な場面で、異様に巨大な独占的企業があらわれたのです。アクセスを独占する、AT&Tベライゾンコムキャスト社。アプリケーションと利用レベルを独占する、グーグル、フェースブック、アップル、アマゾン。しかもこうした企業がインターネットの性格を劇的に変えました。連中は膨大な権力を持った巨大独占体となることによって、それを実現したのです。

しかも連中は、全く信じがたいことですが、我々の個人情報を集め、もはや我々に全くプライバシーは無く、その我々の情報を広告主に売ることが可能です。そして何より恐ろしいことに、本で言おうとしたのは、連中は政府安全保障機関や軍とかなり密接に協力して動いていることです。彼らは本当に、あらゆる民主的理論からして、自由な社会には相いれないやり方で協力して、情報収集し、市民を監視しているのです。

フアン・ゴンザレス: マクチェズニーさん、ご本の中で提起されている問題の一つに、メディア批評家達は、左翼も右翼も、長年様々な種類のメディア、特にインターネット発展を、政治経済的の視点で十分分析できない盲点があったと指摘されています。メディアの政治経済学という観点で、ご本の中であなたが提起された主要なものは何でしょう?

ロバート・マクチェズニー: まず、インターネット・アクセスです。インターネットにアクセスするのに、この国の人々はカルテルに支配されています。基本的に、携帯電話では、AT&Tベライゾン、そして有線ではコムキャスト社の計三社に。その結果、この国がどうなったかと言えば、アメリカ人は携帯電話代金をずっと多く支払っています。アメリカ人は、世界で同等のどの国より、ブロードバンド有線アクセスに多く支払っています。しかもアメリカのサービスは劣悪です。テクノロジーが原因ではありません。"経済"も原因ではありません。全て、腐敗した政策決定と、こうした企業権力の独占が原因です。また、それにより各社は、基本的にインターネットをできる限り私物化し、自分のものにしてしまう権力を持っています。彼らは、ユーザーには他の代替案が無いことを知っていますから。携帯電話が欲しい場合、14社の選択肢があるわけではないのです。基本的にせいぜい二社です。巨大なAT&Tベライゾン等の様に市場を支配してしまえば、75社のホット・ドッグ会社が競争するような自由競争をすることはありません。競争相手とほとんど同じことをするのです。それが、これが新カルテルと見なされているという理由です。

しかし、それとて始まりに過ぎません。このボトルネックを通り抜けて、インターネットにたどり着きさえすれば、インターネットは経済競争をもたらす偉大なエンジンになるはずでした。経済成長を刺激し、こうしたあらゆる新規ビジネス、膨大な雇用を生み出すはずでした。90年代末の「ニュー・エコノミー"」という言葉を覚えておいでですか? ところが、今我々が目にしているのは、インターネットは、恐らく間違いなく、史上最大の独占製造装置になっています。見渡す限りどこも、グーグルから、アップルから、アマゾンから、フェースブックから、ツイッターに至るネットワーク経済は、一社がの一人勝ちとなり、他者は手も足もでない様な形になります。こうした独占は莫大な利益を生み出し、それを連中は、帝国を作り出す基盤として利用します。グーグルが乗り出し、マイクロソフトが乗り出し、独占で得た金を使って、他の全ての企業を吸収し、更に大規模なデジタル帝国を構築するのです。

フアン・ゴンザレス: フェースブックが電話事業に参加すると発表しましたね。

ロバート・マクチェズニー: 本に詳しく書いたと思います。これら巨大帝国、グーグル、フェースブック、アップル、アマゾン等を理解する方法は、皆、世界の大陸のようなものだということです。今は19世紀末だと想像してみてください。連中は列強の様にそれぞれ大陸を独占しています。北米、南米、アジア、アフリカ。そして連中の大陸は、連中の独占基盤の噴出油井で、独占している所から、連中は莫大な利益を得ます。そして連中は、そこにいる全員が世界を制覇しようとしているのを良く知っているので、そうした利益を、支社を作り、他の大陸を侵略し、かなりの部分を得るのに使います。しかし侵略ゲームの参加者は彼らだけです。大陸を所有していなければ、参加者になれません。インターネットで起きたことは、こうした企業が、ネットワーク経済に加え、更に特許を用いて新参者の参入を防ぐようになったのです。10ないし15年前の頃より、ずっと閉鎖的市場になっています。多くの起業も、グーグルも認めています。「今だったら、決してグーグルを始められなかったでしょう。事務所から出るだけでも、余りに多数の訴訟を切り抜けねばならないでしょう。起業など思いも寄りません。」

エイミー・グッドマン: 現在"ネット中立性"の現状はどうでしょう?

ロバート・マクチェズニー: ネット中立性というのは、理論的にですか、現実的にですか、両方ですか?

エイミー・グッドマン: 両方です。

ロバート・マクチェズニー: 理論上は、ネット中立性という考え方は、インターネットへのアクセスを支配する、このカルテルの存在が前提です。このカルテルがあるため、コムキャスト社や、AT&Tや、ベライゾンには、基本的に、インターネットを私物化して、"我々のネットワーク上にいたいのでなら、インターネット上で、あなた方が得られるもの、得られないものは我々が管理しますよ"と言いたくなる膨大な誘因があるのです。 また、彼らは、金を搾り取ろうとします。膨大な政治力、思いもつかない政治権力も持っています。これこそが、企業がその独占権力を、我々、メディア改革運動、フリープレスは、組織的に、過去十年間、この問題に取り組み、一体何をインターネットに流すか検閲できるようにする為に使うのを防ぐべく、オープンなネットワークを維持する為、戦ってきました。もし実際、郵便制度の様な公共サービスであれば、反体制派の声を締め出す誘因などないでしょうから、こうした論議になっていなかったでしょう。何の質問も無しに、全員がアクセスできるのですから。相手側に余りに大量の資金があるのですから、これは大規模で、困難な戦いです。

オバマ政権のネット中立性政策は、FCCに由来しますが、欠陥だらけの政策です。有線電話会社に対する規制は、かなり良い政策でした。それで、ご家庭で有線でブロードバンド接続している場合には、かなりオープンなインターネットが使えます。しかし携帯電話会社に対しては、基本的に、沢山の穴だらけです。しかもそれは民営ネットワークです。連中はかなり好き放題のことができるのです。それで問題は、もちろん、実際にはインターネットの半分はネット中立性があり、残りの半分は中立性がないというわけにゆかないことです。最終的に、有線電話会社の連中はこう言うでしょう。"一体なぜ我々は、競合する携帯電話企業、AT&Tベライゾンと異なる規則を守らねばならないのか?" そして彼らは要求し、最終的に、恐らく、我々が団結しない限りは、有線電話のネット中立性も終わらせてしまうでしょう。

フアン・ゴンザレス: 基本的に、インフラとサーチ・エンジンを支配する人々と、情報を集めてウェブサイトに公開する企業、アグリゲータ連中が、主要な経済力を持っているこの世界において、コンテンツ・プロバイダー、番組・情報を作る側の運命はどうでしょう? ジャーナリストや音楽家や芸術家や、こうしたシステムを経由して、人々がアクセスしたがっている実際のコンテンツを作る側の人々は、どうなりますか?

ロバート・マクチェズニー: 全く容赦無い壊滅です。我々全員それを知っています。今の報道は瀕死の状態です。インターネットだけが、ジャーナリズムの崩壊に責任があるわけではありません。過去25年間、メディアの合併で、相対的に報道の縮小を引き起こしてきました。それは目新しいことではありません。しかし、インターネットは、それを大いに加速し、恒久化してしまいました。実際、現在我々は、ジャーナリズムは、何らかの意味ある水準の商業的利益をあげる方法が全くない暗い状況に直面しています。エリート層や、財界向けの最大の市場でなら、それも可能かも知れません。しかし過去百年間、我々が馴染んできたような、一種中立的な、広範な一般向けの商業ジャーナリズムを維持する意図はもはや存在していません。

オンラインで起きていることは、本に書きましたが、最も重要なのは、多くの人々はそれに気がついているとは思えませんが、広告の性格が根本的に変わりつつあることです。広告主はあるTV番組や新聞の広告枠を買い、メディアはその資金で、コンテンツを制作するという、伝統的な考え方からの転換を我々は体験しつつあるのです。ジャーナリズムとエンターテインメントは広告によって支払われるという仕組みでした。コンテンツは紐付きなわけですが、それは一つの側面でしかありません。オンラインでは、広告は益々直接、届けたい相手に送られるようになり、お金は一銭もウェブサイトやコンテンツに行かず、行ってもほんのわずかです。今や連中は何でも知っており、フェースブックやグーグルは我々に関するあらゆる個人情報を知っていて、こうした企業は、もし「半年以内に、自動車を買いそうな18歳から23歳の百万人の女性にヒットしたい。今すぐ知りたい」と思えば、彼らは、どの様なウェブに彼女達が訪れてようと、そういう女性を絞り込めるのです。そういうことに対し、ウエブにお金は入りません。お金は、グーグルや、マイクロソフトや、ヤフー!やAOLの様な連中が運営しているネットワークに入ります。この膨大なインターネット帝国を押さえているので、連中はその大半を独占します。

これがジャーナリズムに対して意味する所は、やはり壊滅です。つまり、ニュース編集室で、裏取り係や校正者と競い、強力な権益に立ち向かう為、組織的支援を得る有給ジャーナリスト、取材するジャーナリストを雇おうとしても、オンラインでは存在しません。そういうことがおきるだろうことを示唆するものは皆無です。この問題を解決するのは、極めて大規模な社会政策の問題です。

エイミー・グッドマン: ボブ・マクチェズニーさん、プライバシーと監視の問題はいかがでしょう?

ロバート・マクチェズニー: 全ての広告モデルは、プライバシーは存在しないという考え方を前提にしています。これを研究すればする程、グーグル関連企業や、フェースブック関連企業、こうした企業のどれかで、我々がしていることは全て彼らに知られているのが、明らかになります。人々が全く知らない、我々の個人情報、我々各人についての膨大な量の情報を収集する商業権益が、文字通り山のようにあるのです。

一般的に言えば、ルールはこうです。連中は我々の氏名は知りません。連中は、我々を、我々がいったいどの様な人物かだけを把握しています。連中はその情報を、エイミー・グッドマンやら、フアン・ゴンザレスという名前と結びつけることはできないのです。しかし、それすら崩壊し始めている可能性があります。オバマ陣営の大統領選挙活動は、有権者を追跡する為、インターネット・データを驚くほど高度に利用していました。実際に出かけていって話をするため、個人名を知る必要があったのです。連中は業界のそういう方向を先取りしていたのです。しかしその結果、オンラインにプライバシーはほとんどありません。

ネット経済制度の全体がその上に成り立っていて、つまりワシントンには、グーグルとフェースブックがあり、それが連中にとって、ほとんどの利益の基本ですから、それに決して手を触れられないようにとネット業界こぞって、ワシントン詣でをしています。これは多分、全システムの弁慶の泣き所だろうと思います。知らないうちに、自分達がしているあらゆることが、一体どういう人々なのか全く分からない一連の企業に監視れれ、その私有財産になっていたり、あるいは、政府も、国家安全保障局も持っている情報で、連中が何をしているのかわからない等という状況をアメリカ人は許しませんから。しかも、それは実際、不適切です。間違っています。人々はそういうことを許しません。これは、国民的に論ずべき大論争の一つであり、それも近い内に議論すべきです。

フアン・ゴンザレス: こうした恐るべき傾向の幾つかに歯止めをかける為、何か変更が政策レベルで行えるかという点で、希望の光は見い出しておられますか、また、メディア、地域メディア、コミュニティー・メディアで、実際に新たな取り組みをしていて、それが成功拡大すれば、全国的に模範とすべき例となりうるものはありますか?

ロバート・マクチェズニー: 我々は絶対にこの戦いに勝てると思っています。私が指摘したどの問題についても、本に書いた他の全問題についても、あらゆる世論調査で、大部分のアメリカ人は我々の側なのが分かっています。このカルテルが我々を貪りつくすのを好む人はいません。プライバシー侵害は皆いやなのです。インターネットを、大企業が鉄条網を至る所に張る場所にしてしまっている厄介な著作権制限は嫌われています。人々は我々の側なのです。我々が直面している問題は、民意に、この番組で皆様が良くご存じの諸問題に対処しようとしない腐敗した政治制度です。私は楽観的です。そうならなかったら失望します。我々の仕事は、ただ人々の利益を結びつけ、こうした問題で我々が実際に勝てるよう、政治力を持たせることです。

二つ目の点については、これについては、既にこの番組で、皆様はクレイグと話しておられましたが、この国は途方もない人数の有能な人があふれています。この国は有能な人に満ちています。ここで不足しているのは、彼らを支える資金です。素晴らしいメディアの仕事をしている沢山の人々がいる事実は嬉しいことですが、彼らがきちんと食べられるようになって欲しいと思います。家族を持てるようになって欲しいものです。彼らの頭上には屋根があって欲しいですし、昼間の別の仕事や家事の残り時間で、ジャナーリズム活動をするというようなことを無くしたいです。子供達を寝かせ着けた後、家を掃除し、会社での仕事に行くべく目覚めるよう床につく前、夜11:00に作業する人々が、報道や文化を担っていては、自由な社会は築けません。資金の保障がなければいけません。我々に必要な良いもの、文化、ジャーナリズムを生み出すことが出来る人々が、まともな報酬を得られるようにすべきです。

エイミー・グッドマン: どうすれば実現できるでしょう?

ロバート・マクチェズニー: はい、本の中で、非営利、商業目的でないメディアに流れる資金を大幅に増強する方法を考えるよう提案しています。国民に、いわばニュース・バウチャーとでも呼ぶものを配布し、国民は各自、その200ドルを、任意の非営利や商業目的でないメディアに払える制度です。連邦政府は資金を出しますが、誰がそれを得るかについては全く支配できなくするのです。そこで、国民は、そのお金をこの番組にくれるわけです。百万人の人々が、200ドルずつ出してくれたら、何か出来そうですね、エイミーさん?

実際に、例えば、デンバーで、コミュニティー集団があって、ニュース報道をしたいと思っているとします。新聞による地元の報道には満足していないのです。近隣で、2,000人の人々が渡してくれるバウチャーを得られたらどうなるでしょう? すると突然、400,000ドル得られることになります。地元の事情をしっかり報道するための人を雇うことができるようになります。それを毎年やって行けば、次第に実績ができます。良い意味で、極めて健全な競争になるでしょう。商業的な競争ではないでしょうが、人々の信頼を勝ち取るためできうる最善の仕事をする競争になります。それがこの種の問題を解決する方法だろうと思います。

これについて結論を言えば、アメリカ建国時から、もし"報道や、通信を市場"に委ねてしまえば、富裕層の為のメディアが実現するだろうことは十分認識されていたのです。資産家達が、国家支配に必要な情報を得るのです。しかし、それでは民主主義は得られません。全国民の為の報道が欲しいのであれば、巨額の郵送料助成が必要です、例えば、奴隷廃止論者の新聞、あるいは婦人参政権論者の新聞も、それで誕生したのです。それには、どうしても賢明な社会政策の策定が必要で、しかも現在は一層強力な施策が必要です。

エイミー・グッドマン: ボブ・マクチェズニー教授、ご出演大変ありがとうございます。イリノイ大学アーバナ-シャンペーン校教授で、メディアと政治に関する多数の本の著者ロバート・マクチェズニーさん。新刊の題名は『デジタル・ディスコネクト: 資本主義がインターネットを民主主義の敵に変える』です。繰り返しますが、第一章をdemocracynow.orgでオンラインでお読み頂けます。

記事原文のurl:www.democracynow.org/2013/4/5/digital_disconnect_robert_mcchesney_on_how

デジタル・ディスコネクト: 資本主義がインターネットを民主主義の敵に変える』の英文版第一章は、下記アドレスからダウンロードできる。
http://www.democracynow.org/blog/2013/4/4/read_digital_disconnect_ahead_of_democracy_now_broadcast_from