本澤二郎の「日本の風景」(1349)

<拝啓・不正選挙のムサシ御中>
 昨年の総選挙や都知事選は、どうみても投開票など選挙関連の不正疑惑が付きまとったが、今回の参院選挙についていうと、そうした不正行為は必要ないのではないだろうか。結果がわかりきっているためだ。与党の勝利は確定している。ムサシの出番はないだろう。筆者の興味は投票率だ。どれくらい低くなるのか。ここはいじらないでほしい。



 史上空前の原発大惨事に目途は立っていない。それでいて原発再稼働、もっとも危険でコストの高い原発輸出に狂奔する安倍内閣行財政改革抜き・大不況下の消費大増税もある。農業から医療・福祉まであらゆる部門に影響が出るTPP参加と、悪政を強行する安倍内閣。ここに民意は反映されていない。

 一番の恐怖は、戦後の平和外交を封じ込めて、改憲軍拡を推進する国家主義体制作りを公約する安倍内閣は、既に近隣外交をぶち壊してアジアで孤立化を深めている。オバマ政権からも信頼を喪失してしまっている。
 そんな政府与党が圧勝するのだという。狂気が列島を覆い尽くしてしまっているのである。選挙屋ムサシは開票機器の操作など不要だろう。あえて指摘・忠告しておこうか。

 自民圧勝の論功第一は、公明党創価学会日本共産党である。さらに小党乱立野党でもある。まともな有権者は棄権してもおかしくない。国家主義政権の8・15靖国参拝が、新たな不安をかき立てることになろう。評価したい何物もない。

 他方、アベノミクス株を著名な投資家で知られるジム・ロジャースは「日本経済システムはいずれ崩壊する」と予測、暴落前に全ての持ち株を売り抜けている。日銀などが創作する経済数値も底が割れている。
 参院で不信任された持病持ちの前途は、そんなに明るいモノではない。
非正規社員38%>
 労働者の4割が非正規社員・身分が不安定だ、と総務省調査でわかった。38%の労働者は、いつでも首を切られるという。規制緩和の小泉・竹中改革の悪しき成果だ。竹中はアベノミクスにおいても、これを拡大させているようだ。
 特に女性労働者の地位が不安定化している。労働人口が激減する中で、男尊女卑の日本に変化は起きていない。女性はなぜ怒ろうとしないのか。
 身分不安定の労働者は、ざっと2000万人という。彼ら彼女らが、タカラジェンヌのように「清く正しく美しく」の1票を行使すれば、国家主義政権を崩壊させることが出来る。もちろん、ムサシの不正がないという前提ではあるが。
アメリカン・リベラル本流のケネディ大使に注目>
 安倍・ナショナリスト首相に懸念を抱くオバマホワイトハウスは、新しい大使にケネディ大統領の娘・キャロラインを起用する。これは久しぶりの快挙といっていい。
 アメリカン・リベラルの真髄を熟知している者であれば、この人事に拍手喝さいだろう。泉下では宇都宮徳馬が喜んでいる。
 オバマクリントンも、ケネディにあこがれて政界に入って、ホワイトハウスの主になった。ケネディこそが、アメリカン・リベラルの元祖と言っていいくらいである。米産軍体制との共存を嫌う。
 アメリカン・リベラルにこそ、民主主義の真髄が存在している。共和党右派や産軍体制を基盤にしているネオコンでは全くない。63年に暗殺されたケネディは、それゆえに民主党どころか全米に、今も光輝を放っている。
 そんな父親の運命に翻弄されながら成長したキャロラインは、心に秘めたものがある。それをオバマは見過ごさなかった。父親の悲劇を足場にしている点で、その政治的所業は正反対だが、やや韓国の朴大統領と似ているのかもしれない。

 キャロラインは、米民主党リベラルの本流である。東京の赤坂で、永田町の安倍・国家主義の正体をとっくりと観察するだろう。それをオバマに直接伝えることが出来る。平河町改憲軍拡派の自民党も監視の対象となろう。日本の黒幕・大手町の財閥にも目を光らせるはずだ。財閥を支える霞が関、その手先の新聞テレビにも。
デトロイト市が財政破綻
 アメリカの自動車産業のメッカとなってきたデトロイト市が、借金で首が回らなくなって、とうとう裁判所に自己破産を申し出た。今のアメリカ経済の衰退を象徴する現象である。
 車社会を先導してきたアメリカは、時流に対応できずに衰退してしまっている。日本車に敗北したものだ。その日本も、おっつけ敗北するだろう。環境に優しい、安くて性能のよい車・電気自動車の国が現れると、トヨタも消える運命にある。
 それでなくても放射能が列島を覆っている、54基の廃炉と核のゴミ処理で崩壊する。科学者でなくてもわかる。デトロイトは日本の近未来を約束している。
 アメリカの持ち駒は武器弾薬しかない。日本の財閥も、それゆえにナショナリストを首相に選んだ。民意を押しつぶして、軍事国家として再生出来るのであろうか。そのために日本人は、靖国神話を受け入れるだろうか。アジアと人類が抵抗するだろう。
 昨夜、民放テレビでメキシコ・マヤ文明の祈祷師を見たのだが、神社・神道のお祓いに似ていて、つい噴き出してしまった。人間は原始の時代から変わっていないのだ。
<不人気政党のパンフレット?>
 手元に政党のパンフレットがある。先頃、日本記者クラブで見つけた。7月3日に党首討論会を開いている。そのさい、各党ともパンフを持ちこんだのだろう。大方は、さばけたのだろうが、一部はまだ残っていた。それを見つけたのだ。
 その不人気政党のパンフは、日本維新の会みんなの党日本共産党・生活の党であった。結果が、明日7月21日に出る。小党乱立・野党分断の政党ばかりである。
 結果的に、ナショナリストに援護射撃する政党ということになろう。
2013年7月20日9時45分記