TPP絶対反対宣言:ゴーマンかましてよかですか

黄泉の国から   「岩下俊三(旧姓)のブログ」からリユーアル


今回の参議院選挙で最大の争点は「なんとなく隠れ気味の」TPPに他ならない。

もちろん震災からの復旧復興も大事であろう。とりわけ福島原発の修復のめどすら立っていないのに原発推進の可否こそが最大の争点だということも分からんでもない。アベノミックスによる景気の回復などという「まやかし」は論外にしても、消費税の有無、国軍創設云々、、、など問題にすべき争点は多数あるとおもう。しかし今後の国の行方を決定してしまうTPPはやはり最大の争点であると考える。

いまさらすでに役目の終わった再起不能の党の責任を責めても仕方がないけれど、民主党が最初にTPPを持ち出した時はたしか自民党は絶対反対と言っていたはずである。まあ、マニフェストは破るためのものであるという前例を民主党が作ったのであるから、選挙のためにのみ掲げた看板を裏切って何が悪い、、、といわれればそれまでで、学習しない国民に問題があるので、自民党の公約破りだけに文句を言うわけには参るまい。

しかし衆院選のときの立て看板がいまだに存在し自民の参議候補ですら半年以上経っているのに地方ではまだTPP反対という姿勢を取っているのである。こんな子供だましのようなゴマカシは止めてほしいものである。

しかもすでに自民党安倍晋三は明確に参加を表明し、アメリカがTPPの推進において自由化の例外は認めないことは安倍もかなり前から承知の上なのだ。それを裏づけるかのように、アメリカ通商代表部はすでに決まったことを再交渉などしないと断言しているし、同代表部のフロマン代表は「日本は、全てを交渉の対象とすることで合意しており、特定の農産物を例外扱いするとの合意はない」とハッキリ言っている。

だからTPPを認めるという政党に投票することは、「国家」が国家であることを止めるという選択をしたことになるのである。

それはどういうことか?

例によって「猿でもわかる」ように説明しようと思う。


一般的にTPPというと農産物とくに米などが中心の日本農業が壊滅状態になり、輸入品が増大して食品の安全が脅かされ、、混合診療の解禁のため国民皆保険が危うくなる、、、、などと考えている向きも多かろう。もちろんグローバル化という訳の分からん外来語ひとことのために多くの犠牲をも顧みないというのは、一億総白痴化の流れの結末にふさわしいのだから、それぐらいはあえて享受するしかないだろう。無知への報酬は過酷なのだ。

しかしTPPの本質はそんなところにあるのではない!!

TPPの重大なポイントはそれ以外の問題にあるのだ。これは国家の存続にかかわる歴史的な問題なのである。


問題とは言わずと知れたことだが、まずはISDS条項(ISD条項)である。これは具体的には海外起業を保護するために内国民待遇が適用されるということだ。

これにより当該企業・投資家が損失・不利益を被った場合、国内法を無視して世界銀行傘下の国際投資紛争解決センターに提訴することが可能となり、結果、日本政府や自治体は法外な賠償金を請求されるか、不都合な法律改正を迫られる可能性があるのだ。

つまりアメリカのA社の怪しげな食品もどんな商品も国内法でだめだと認定してもどうせ国際的には提訴されるのだから、日本人は黙って狂牛病の肉と遺伝子組み換えの農薬たっぷり食品を喰えと言われているようなものなのだ。

しかも国内法は無視されるのだから、たとえば万一国内のすべての原発廃炉にする「国内法」が国会で議決されても、アメリカの原子炉メーカーB社が日本に売れなくなって不利益を被ったからという理由で提訴され、莫大な賠償金を払うことになるので、実質国会での議決の意味がなくなるのである。

条約は国内法に優先する。

これは日本国の民主主義を捨てたと同じ事であるからTPPを推進している政治家は売国奴といって過言ではない。

つぎにラチェット規定というのがあり、一度自由化・規制緩和された条件は、当該国の不都合・不利益に関わらず取り消すことができない。そしてさらに厄介なのがTPP離脱に対する訴訟リスクである。

TPPのルール上、離脱はいつでも可能とされるのだが、実際上は海外企業からの莫大な損害賠償請求が予想されTPP離脱は極めて困難と考えられている。

だからいくら原発反対と叫んでも、その党がTPPを推進するならば事実上原発を認めることになるのだ。

ゆえに決して騙されてはいけない。

ようはTPPに反対かどうかだけが、売国奴私利私欲派と国家救済派を見分ける分水嶺なのである。

あらゆる詐欺のなかでもっとも悪質で国家百年の計を過つのはTPPであることを肝に銘じてほしい。