本澤二郎の「日本の風景」(1363)

<二枚舌の安倍・ナチス否定>
 安倍首相が8月4日、記者団の質問に応える形で「改憲ナチスに学べ」という麻生副首相発言を「断じてそれはない」と全面的に否定した。果たして、この安倍発言は本心なのか?彼は既に、ナチスに学びながら非戦の9条憲法を踏みにじる工作を、強引に推進している。頭隠して尻隠さずだ。2枚舌の安倍を内外にひけらかしている。



<戦争する集団的自衛権行使はナチス方式で>
 平和憲法を敵視する安倍について、多くを語る必要など無い。敵地を攻撃する海兵隊を創設する防衛大綱づくりに邁進している。憲法改正を棚上げしたまま集団的自衛権を行使する準備を推進している。国家安全保障会議なる物々しい組織を立ち上げようとしている。
 戦争をしない日本に戦争体系は不要だが、安倍内閣は以上のような戦争のための整備を推進している。ナショナリズム国家主義政権ゆえである。こうした急変に連立を組む公明党は、不思議と沈黙している。自民党との対決を公約した共産党は?安倍・麻生の本質を知る小沢一郎は、野党協力して政府に体当たりするよう指示した。

 公明党の沈黙をよいことに安倍は、まさに麻生のいうナチス方式で集団的自衛権の行使を実現しようとしている。これを右翼の新聞テレビが後押ししている。財閥と米産軍体制の意思を着々と実行に移している。
<柳井懇談会は容認へ>
 自衛隊の戦争を想定する集団的自衛権行使について日本国憲法は認めていない。戦後の内閣法制局憲法解釈でもある。当たり前である。9条は戦争を放棄している。一切の戦争を拒絶している。戦争法制を許すはずが無い。

 同盟国アメリカの戦争に自衛隊が参戦することなどは、断じて許されるはずが無い。だが、安倍の意向を受けた「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」という聞いたこともないグループ?が、突然、NHK番組に出てきて集団的自衛権の行使は可能である、との見解を公表したという。政府とNHKの合作である。
 主役は柳井俊二という元駐米大使。外務省きっての極右外交官で知られる人物が、この懇談会座長というのだ。集団的自衛権行使のための報告書をまとめるというのだ。これぞ安倍のナチス路線の明白な具体化である。
 これの黒幕は、無論財閥と米産軍複合体で、彼らの利権がらみだ。ジャパン・ハンドラーズ(ワシントン日本調教師)の指令としても、既によく知られている。どす黒い野望が背景にある。自衛隊を米軍の手先・先兵に利用するためである。これに防衛大臣までが推進しているというのだから、防衛官僚も狂っている。一般の隊員や家族の思いなど、彼らは無関係でどうでもよいことなのだ。
<法制局長官人事で柳井の子分起用>
 従来、内閣法制局は「集団的自衛権憲法が認めていない」との常識的な立場を堅持してきた。これに風穴を開けようとした極右・国家主義者は、いうまでもなく中曽根康弘である。支援する読売新聞だ。
 それでも歴代の法制局長官は、中曽根や読売に屈することはなかった。
 これに対して安倍・麻生は、ナチスの手法を採用したのだ。どういうことか。ここへきて内閣法制局長官に外務省の右翼外交官を起用した。柳井の子分のような人物を起用した。歴代の内閣が手をつけなかった人事である。
 集団的自衛権の行使を可能とする長官にやらせる構えなのだ。これこそがヒトラー流であろう。弱い野党を押しつぶす構えでもある。日本国民も法曹界も覚悟を求められよう。それはアジア諸国民も、である。
<日銀人事で実績>
 安倍と麻生は、日銀人事でナチス手法を実行に移している。輪転機を分捕り、そこで円札を刷りまくる。大量に市場にばらまくことで、円の急激な下落を可能にした。
 これによって内外の投資家に株を買わせて釣り上げた。他方、輸出企業に利益を上げさせた。しかし、輸入品を大きく釣り上げて市民の家計を圧迫させている。
 暴利を手にした外資は、とうに売り抜けてしまった。あわてて政府は、国民の金を株式に注入して株の暴落を抑えている。アベノミクスは崩壊過程に突入している。人々はハイパーインフレに怯えなければならなくなっている。

 ヒトラーは、人々の失業と貧困に対して甘い政策で引きつけておいて、熱狂する人々を侵略戦争の渦に巻き込んで行った。こうした狂気をアジアで再現させてはならない。
2013年8月4日21時20分記