欧米文明は一体どうなったのか?

マスコミに載らない海外記事   メタボ・カモ


Paul Craig Roberts

2013年10月14日

さほど遠くない昔、政府と、自由市場を主張する連中は、お互いに戦っていたが、もはやそうではない。民間部門に、略奪するものがほとんど無くなったので、金融ギャング連中は公共部門に向かい、自分達の為に、自由市場経済学者に民営化を唱導させた。政治家達が、公共財産略奪が、献金者達に報いる効率的な方法であることを悟った後、政府自身が陰謀の一部になった。

デービッド・キャメロン政権のイギリス・ロイヤル・メール民営化の全体像を見ることが可能だ。郵便業務を営利企業に引き渡すことに、圧倒的多数のイギリス国民が反対したにもかかわらず、首相は略奪を“大衆資本主義”と表現した。

イギリス政府が国民が反対する政策を追求するのは、侵略、クラスター爆弾や、劣化ウランで、アメリカ政府が、アフガニスタンイラクリビア、シリアや、イランに広めるのをブレアやキャメロン等のイギリス首相達が、熱心に手助けしている民主主義そのものが、イギリスに欠如していることを示している。

ロイヤル・メールの民営化、というより略奪は、以下の様に行われた。

第一次キャメロン政権は、金融ギャング連中の指導を受けて、ロイヤル・メールの資産を安く見積もり、郵便配達料金を、実際に請求されるより安く想定した。この架空の会計操作によって、公共資産を、政治家の資金提供者達に価値以下の価格で引き渡すことが可能になった。

例えば、ロイヤル・メールの全ての不動産は、ロイヤル・メールのロンドンの不動産のみの価値以下の価格で、新たな民間所有者達に譲り渡されようとしている。ニール・クラークは、一カ所のロイヤル・メール ロンドン支局だけでも、約10億イギリス・ポンドの価値があると報じている。ところが、ロイヤル・メールの全不動産--公共財産--が、10億イギリス・ポンドの約四分の三の価格で、新たな民間所有者達に引き渡されようとしているのだ。取引は民間購入者達に非常に有利に仕組まれていたので、株価は取引の初日、ほぼ40パーセント上がった。(取引はまだ完了してない可能性があるので、これは、ある種、名目だけの取引という可能性がある)

報道に寄れば、郵便配達人の多くは、これから仕事を失い、民間購入者達ではなく、国民が、およそ550億ドルのロイヤル・メール年金基金負債を押しつけられた。民間略奪者連中は、資産は奪ったが、負債を置き去りにしたのだ。

購入者達は、アメリカ、イギリス、そして、ヨーロッパで、連中の為に経済政策を運営されている金融ギャング連中で、ご想像通り、ゴールドマン・サックスは、キャメロンに販売の“助言をして”3350万ドル稼いだ。

自由市場経済学者によって、投資と経済成長をもたらす資本家として、大いに愛され、誤魔化して表現されているウオール街とロンドンのシティー、世界二大金融センターは、実際には、合法的な、政府が支援する、略奪を行うマフィアだ。彼らの利益は略奪から得ているのだ。

連中はギリシャが活躍中で、金融収益という神聖な権利は、公共資産を、民間企業に、大安売底値で売却することを要求している。取引上、国家遺産の保護された島々を不動産開発業者に引渡し、水道会社、港や、国営くじ等の公共資産を、民間銀行と、その顧客達で構成される民間企業に、もうかる価格で売却することが要求されるのだ。

イタリアでは、政府の負債が、歴史的な城や邸宅や、ヴェニスの潟に一つにあるサン・ジャコモ島の、民間投資家への売却を強いている。これらの国宝は、1パーセントの為のホテルやレストランやリゾートに転換される予定だ。

大英博物館スミソニアン博物館も、やがて民営化されるのだろうか?

アメリカでは、民営化すれば、囚人を増やそうという動機になるにもかかわらず、刑務所は民営化されている。
公立学校は“チャーター・スクール”という形で民営化されつつある。チャーター・スクールというのは、公共部門の教員組合を無くし、契約教師を雇い入れ、数年でまた契約雇用教師の新集団で置き換えることで、教師達の給料を私的利益に変える仕組みだ。

欧米文明は、あらゆる文明がそうなったように、経済と政府倫理の完全崩壊に直面している。略奪と搾取が支配しており、売女マスコミは真実を隠すべく最善を尽くしている。

欧米の文明は残骸と化した--イギリスやフランスの歴史的遺物、美しい村々、ドイツの効率、フランスとイタリアの生きる楽しみと美味しい食事や、我々が生まれる前に作られた建築の傑作やクラシック音楽

ウオール街の略奪の仕組みに加え、アメリカは、世界中を常時監視下に置き、情報を経済的利益と、反対する人々を沈黙させるのに活用する為の技術で貢献している。

欧米文明は魅力を失ってしまった。かつての自らの影以外は何も残されておらず、底無しの腐敗の穴へと消えて行くのを惜しまれることもあるまい。

Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでい る。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the Westが購入可能。

記事原文のurl:paulcraigroberts.org/2013/10/14/whatever-became-western-civilization-paul-craig-roberts/