本澤二郎の「日本の風景」(1541)

<米国に喧嘩売る首相補佐官の背後>
 衛藤首相補佐官を知らないが、安倍側近は全て安倍の分身のような人物ばかりである。石原慎太郎が昔「アメリカにNOといえる日本」というような本を書いて評判になった。其れを真似たのだろうか。安倍の靖国参拝を批判した米国を、この衛藤が「アメリカこそけしからん」と動画サイトで反撃した。これには霞が関が仰天して、官邸首脳会議?で協議、個人的見解だと詭弁を弄して撤回した。いまや公然と官邸とホワイトハウスが激突している。安倍内閣の末期を印象付けている。


 ワシントンは「日米同盟の深化」というまやかしの言い分に、ようやく気付かされているだろう。既に靖国で「失望」させられたが、事態はそれどころではない。安倍側近の反撃は、安倍の意図を汲んだものであろうから、東京の激変、すなわち国家主義政権にどう対峙すればよいのか、ホワイトハウスは改めて作戦を練り始めているだろう。
 ケリー国務長官の韓国・中国の訪問は、そのための意見交換と見てもいいだろう。安倍封じはじわじわと進行している。

 ワシントンは、国家主義の日本を断じて容認しない。あらゆる方法で、安倍潰しをするはずである。本来は日本国民が、議会・新聞が安倍内閣を打倒すべき責任がある。国家主義憲法は否定・拒絶しているからである。
 国家主義政権に加担する連立政党や背後の財閥に厳しい目を向けるであろう。
<安倍の靖国参拝に追随>
 ワシントンへの挑戦は、官邸の主である安倍がその路線を敷いたものだ。世界が知っている。大義アメリカにある。ケリー国務・ゲーツ国防の両長官の千鳥ヶ淵墓苑への献花をあざ笑うかのように、安倍は靖国参拝で、安倍本来の隠し持っていた剣を抜いて見せた。筆者がカルトの「神道過激派」と評した理由である。
 靖国参拝に衝撃を受けたアメリカとEUアジア諸国である。戦争神社に参拝する安倍に驚愕する世界といってもいい。戦後の国際機関である国連否定につながる暴挙なのだから。
 安倍をたしなめるワシントンに対して、怒りの反撃を動画サイトで披歴した首相補佐官と安倍は、一体で行動している。火に油を注いだ格好である。霞が関にたしなめられて、「個人的見解」「取り消す」で、一端は引き下がったものの、本心からではないことは誰の目にも明らかだ。
 従来は、こうした輩を利用してきた米CIAにとって、飼い犬に手をかまれたに等しい。CIAがワシントンを欺く東京を、これからもかばってゆくのだろうか。大いに疑問である。今後は安倍問題が表面化するだろう。
<本性現す自民党議員>
 大将が大将だと、参謀も兵士もそれに続く。大将の命令は絶対的である。自民党議員の右翼化は、いわば当然なのである。
 筆者の手元に2013年9月13日付の自民党機関紙「自由民主」がある。そこに登場するS議員は、確か石破側近のようだが、その威勢のよい記事の内容は、まるで天を突く勢いである。
 安倍の改憲軍拡論に歩調を合わせる主張に驚く。愚劣極まりない政治屋である。軍事利権あさりも極まっているのだが、参考のために紹介しよう。
<防衛費を倍増>
 この議員は「防衛費を今の倍に増やそう」と力説する。1000兆円を超える借金に触れないで。むろん、中国との対抗のためである。中国敵視を当然視している。「倍増して強い自衛隊にしよう」と叫ぶのである。
 平和と友好を求める憲法視点からすると、狂った政治屋である。
<兵器の最新化>
 兵器の最新化が必要だとも叫ぶ。今の自衛隊の武器は古臭い、というのだろうか。軍拡を叫ぶこの愚か過ぎる自民党議員は、三菱や東芝からの裏金献金を期待している、との憶測を呼ぶことになろう。
 それとも、彼の地元からそう遠くない東海村には、米国が研究用に提供した純度の高いプルトニウムが保管されている。オバマ政権は「返還」を強く求めている。韓国・中国もこれに注目している。まさか、これを流用して核兵器を製造しているのではないか、との疑惑をもたれている。
 国家主義政権の誕生によって、秘密裏の核兵器研究から製造を始めるのではないか、と国際社会が懸念を抱いている。S議員はこれに目を向けているのだろうか。
 核兵器保有は極右・国家主義者の悲願である。岸信介中曽根康弘石原慎太郎の悲願だ。麻生太郎はどうか?石破はどうか。むろん、安倍の目的でもあろう。これの推進役は日本の財閥・軍需産業である。
 この辺の動きをワシントンは察知したのであろうか。これこそが特定秘密なのであろうか。ともかくオバマ政権はプルトニウム返還を急いでいる。
集団的自衛権行使で自衛隊を人身御供>
 その一方で、S議員は中曽根・ナベツネ・安倍の主張する集団的自衛権の行使に、ともかく熱心なのである。「アメリカの戦争に自衛隊を差し出す」というのであろう。
 平和憲法の恩恵を受けているのは、一人自衛隊防衛省である。「米軍の先兵になる」といって、ワシントンの好戦派(産軍複合体)に水を向けている。その見返りが日本核武装とも読めるだろう。
<戦々恐々のワシントン?>
 米ロ仏英中に次いで、6番目の核武装国家狙いであろう。この危険な構想は、国家主義政権のもとでは、絵空事ではない。国際社会最大の難題とも見られる。
 ワシントンは厳しい立場に追い込まれている。「核武装させないための日米安保」がワシントンの、東アジア・ASEAN説得の大義だったのだから。
プルトニウム返還をあせるオバマ政権>
 かの有名なキッシンジャー博士は、以前から国家主義の野望を承知している。彼は中曽根から、直に聞いているに違いない。ワシントンはおろか、ソウルと北京、ロシアが震え上がる事態なのだ。しかも、米国提供のプルトニウムの量は、40発から50発分の核兵器を製造できるという。これはイランや北朝鮮どころのレベルではない。21世紀最大の国際問題になりうる大変な事態なのである。
<安倍・財閥の動向を注視>
 天皇国家主義と国際社会は共存することは出来ない。たとえ石原が尖閣で煽ってみても無理である。産軍複合体も乗れない重大事だろう。
 安倍靖国参拝神道過激派の決起に、戦々恐々のワシントン・CIAなのかもしれないが、それは安倍内閣もまた、大ピンチに追い詰められていることでもあろう。
 ズバリ安倍の動向・日本財閥の動向が、世界の関心事と言っていいだろう。これまで持ち上げてきたアベノミクスも崩壊必至と見たい。世界は東京を中心に動いている?
2014年2月20日9時20分記