凡百のレポート:ウクライナ情勢

黄泉の国から   「岩下俊三(旧姓)のブログ」からリユーアル

いよいよ獄中にいた悲劇のヒロイン・ティモシェンコの絶叫でウクライナのヤヌコビッチ政権は崩壊した。

問題は今後である。

ウクライナの情勢の推移をずっと見てきた人間からすれば歴史的に国内事情が複雑すぎて一言で説明することは難儀である。しかしあの世から「閻魔流」に委細構わずざっくり分析すると東西冷戦の残滓が再び「形を変えて」この21世紀噴出しているさまざまな事象の一環であると言わざるを得ない。

もともとウクライナについて一般的には豊かな穀倉地帯とか例の「戦艦ポチョムキン」という連想しかできないが、実はウクライナは国家として「一人前」になかなかなりきれなかった悲しい歴史をもっているのだ。

その結果一口にウクライナといっても、首都キエフを中心に栄えたキエフ大公国を源流にしたウクライナ語を話す民族が北西部に暮らす地域と、ロシア革命の原点とも言われるポチョムキンの有名な階段のあるオデッサなどの東部一帯はコサックを追い出してすみついたロシア語しか話せないロシア人も多く住んでる地域があり、一筋縄ではいかないのだ。

ゆえに当然ウクライナはもとから東西が分裂傾向にあって、前回(2010年)の大統領選のときからロシアよりの東南部地盤のヤヌコビッチと欧米よりの北西部地盤のティモシェンコが激しく争い僅差でヤヌコビッチとなっているものの選挙の不正が疑われ挙句は政敵ティモシェンコを投獄したりいていたので問題はずっとくすぶりつづけてきたのだ。

そんな状況にあってヤヌコビッチ大統領がEU参加を事実上ダメにし、プーチンの飴(資金援助してやるぞ)と鞭(天然ガスのバルブを閉めるぞ)に屈してロシア側についたから、首都周辺(ウクライナ語地区)の反対派が立ち上がったのである。

これに呼応してEU側もユーロの資金援助を申し出て「こっちの水は甘いぞ」と言い出したから紛争が余計拡大したのだ。そしてさらに「江戸のかたきは長崎で」ということでシリアへの内政干渉でロシアに釘を刺され失敗したアメリカはここぞとばかりウクライナ市民運動を内乱に手をだし、いっそう騒乱させていったのである。

はっきりいうと、反対派のなかに性懲りもなくまたもCIAのエージェントが含まれておりライフルや機関銃までデモ隊に供給しているのである。(証拠としてその筋の身分証の写真もある)これはイラン、ベトナム、アフガン、イラク、エジプト、リビア、シリア、、などで行ってきたアメリカの伝統芸ではあるけれど、今度もウクライナに対する汚い陰謀を企んでいるらしいのだ。


ところで、、、

EUの本音にはEUの拡大は喜ばしいけれどロシアを怒らせると資源の確保や経済への直撃が恐ろしく、しかも拡大しすぎてギリシャの債務問題のようなことが起きても嫌だという「拡大つかれ」があるのは否めないということがある。

現にウクライナの財政悪化は手が付けられないところまで来ている。それゆえなんとかウクライナ議会議長の暫定大統領を盛り立てて次の大統領(5月ごろか?)に親欧米派ティモシェンコになってもらい「民主的」な国民の意思を演出しそれを盾にロシアとの和解をも模索しているようにみえる。


ところが、、、

アメリカはこの暴動を「自由」の名のもとに更に拡大させて国家破綻にまで追い込もうとしている。国家全体を無政府状態にしたいと言うのは訳がある。思想的にも民族的にも二分した国家が本当に二分されては困るのである。なぜなら鉱物資源はじめウクライナの「おいしい地域」はロシア人が多い東南部に集中しているからである。

そこが分離独立して当然のようにロシア傀儡政権か併合ということになれば、アメリカとしてウクライナに絡むむメリットは殆どなくなるのだ。


さすれば、、、

常套手段ではあるが、西側メディアに元?大統領ヤヌコビッチの贅沢三昧をあばかせて一段と民衆の怒りを煽り続け、国家騒乱、無政府状態財政破綻持ち込んで最後はIMFの「完全管理」下に置くことが、ウクライナ全体の「国盗り物語」としてはもっともアメリカ「らしい」やり方と言えよう。(IMFに実態については稿を改める)

しかし好事魔多し、、、

このウクライナ国民の生活無視の「国盗り物語」に(当然知っているはずの)もとKGBプーチンがどんな対抗策を打ってくるのか。シリアでアメリカの出鼻をくじいたように、再びプーチンが反撃するかもしれない。



てなわけで、、、、特派員のレポートの陳腐な常套句ではあるが、、、、

「当分ウクライナの政治情況からは目が離せないようです」。、、、、黄泉の国から岩下がお伝えしました。チャンチャン