本澤二郎の「日本の風景」(1547)

議員辞職でも闇だらけの徳洲会事件>
 昨2月24日に徳田毅議員辞職願を提出、本人自ら記者会見して「親族に寛大な措置」を訴えた、と報道された。「俺が辞めるから、後は手抜きを頼む」と言わぬばかりである。尊大な態度に違和感を抱いた国民は多かったろう。父親のように、息子も本物のワルになっているのであろうか。猪瀬も徳田も、この事件の大きさからいうと、雑魚でしかない。放置すると、第2の徳洲会事件が起きるだろう。公平公正な民主主義国家としての品位を維持すべき捜査が求められる。



<100億円使途不明金
 この事件の真相を追及している内部告発者は、その使途不明金だけでも100億円という膨大な金額だと指摘している。判明したのは5000万円だけである。検察からすると、宝の山は眠ったままである。
 ロッキード事件リクルート事件と比較すると、まだ入り口段階に過ぎない。100億円の使途を明らかにしないと、この事件捜査とはいえない。東京地検検事総長もわかっているだろう。
 政官界へ流れたカネを明らかにしないことには、真相は闇のままである。猪瀬というチンピラ作家が辞めた、徳田家の議員が辞めた、では済まない。100億円をつまびらかにする責任が、徳田と検察にある。
<石原家への莫大献金
 石原家は3人も国会議員をしている。独裁国でも、こんな例はない。議員を誕生させるには、莫大な資金が必要である。宗教団体のカネと票だけでは十分ではない。永田町の住人であれば、誰もが知っている。
 石原慎太郎の金集めはただ事ではない。それゆえに検察は何度も石原疑惑に注目してきたと言うが、今回ようやく事実を掴んだ。すると石原は官邸の安倍の元へ走った。救いを求めたと見られている。
 しかし、相手は日本政治にそれなりの影響を与えているワルである。尖閣問題の火付け人である。日本外交を狂わせた人物だ。カネの流れを明らかにさせる責任が、検察の双肩にかかっている。石原家への莫大な献金疑惑を明らかにしなければ、この事件は終わらない。
<腐敗の医師会・医療行政>
 問題は、当初は一介の青雲の志を持っていたはずの医師・徳田虎雄が、構築した医療利権の山はそれこそ、途方もない大きさだ。なぜ、それが可能だったのか。
 血税と患者の小さな懐からのカネである。その腐敗した医療行政の闇を質すことが、実は何よりも重要である。日本の医療費はパンク寸前だ。財政も破綻している。高齢化で病院は老人らで埋まっている。
 医療行政は、医師会と厚生官僚によって壟断されて久しい。このまぎれもない事実に、政治は真正面から立ち向かう時期にある。放置は許されない。
 たとえば、医師会は接骨医師のまともな判断を蹴飛ばして「患者から法外な治療費を巻きあげている」と言う事実を最近になって知った筆者である。医療に関して横暴な法律で、自らの利権確保に懸命である。こんなことが許されていいはずがない。
 厚生官僚との癒着はひどすぎよう。徳洲会事件も、これまでの医療行政が生み出したものである。
<嘘と隠ぺいの医師と病院>
 中国・ハルビンでの731部隊の生体実験を知らない日本人が増えてきている。嘆かわしいことだが、不都合な歴史は教えないという皇国史観論の台頭を印象付けている。
 筆者も知らなかったのだが、この731部隊の悪魔の医師団は、その生体実験の資料を米軍に差し出して、生きながらえた。日本の大学医学部の教授となって、医学生を教える地位を掴んだ者も多いのだ。
 悪魔の医師に倫理観などない。これが今日の日本医師会にも伝染してきている、との指摘はうがち過ぎではない。ヤブ医者どころの問題ではないだろう。
 嘘と隠ぺいが日本の医療現場にこびりついている。医療事故取材で知ったことだが、毎年数万人もの患者が医療事故死しているベースになっている。謝罪と反省をしないための、繰り返し起きる事故死である。

 徳田病院の中に弁護士顧問料月200万円を支払っている事実を知ったが、事故死もみ消し料だと内部告発者は、筆者に語っている。恐ろしい病院は徳田病院だけではない。
<谷垣法相は勇気を出せ!手抜きで検察不信を招くな>
 徳洲会事件は依然として闇の中である。安倍と徳田、石原と徳田の関係は分かっている。厚生労働大臣も関係していることも判明した。政治屋に限らない。厚生官僚にも100億円の一部は流れている。
 この闇を正義の検察で照らし出して、公正な医療行政と病院にすることが、今の日本にとって重要なことである。日本再生の契機ともなるのである。
 谷垣法務大臣検事総長にあえて訴えようと思う。勇気を出して、石原に屈するな、といいたい。
2014年2月25日9時10分記