本澤二郎の「日本の風景」(1135)

<内外政破綻の松下政経塾
 野田内閣は、日本人が安心・安全を確保するための最低限の近隣友好外交を破綻させてしまった。国内問題も同様だ。原発政策のお粗末ぶりが、次から次へと露呈している中で、原発再稼働・原発維持路線を踏襲している。そして多数の弱者いじめの10%消費税の強行までしてしまった。文字通り、内政と外交を破綻させてしまったわけである。悪政のツケは、いかにも大きすぎよう。本来は、民主党内で悪役を引きずり下ろすところである。だが、その力さえ喪失してしまっている。解散に追い込むしか方法はない。


<国民の命と生活を奪う悪政>
 家庭の主婦・若者が野田打倒に必死だ。将来を生きる者たちの決断と行動は重い。それもそうだろう。原発の処理を放置したまま、再稼働に踏み切ってしまった。そのための節電キャンペーンであったことが判明した。いま最も電力使用が高いはずなのに、節電という言葉は過去のものとなった。
 原子力ムラの罠にはめられていた日本人だったことを裏付けている。
 福島の水素爆発と核爆発から放出された放射性物質の中に、ストロンチウムプルトニウムという恐ろしいモノがあることも「見つかった」という報道が、今頃になって報道される有り様である。国民を愚弄している。それが首都圏にまで拡大していることも判明している。
 自治体には線量計を用意、市民に貸し付けているが、セシウム以外の測定は無理だと言う。これもふざけた対応である。日本人の多くが命の危険にさらされているのである。全ての市民は、家庭の主婦の行動を見習うべきだろう。ネットで政治を動かせる時代なのだから。
 10%消費税は、霞が関の白アリを温存させる愚策であろう。まともな政党は、これの凍結・廃案を公約して選挙を戦うべきだろう。白アリ退治の先行が何よりも重要である。不況下の大増税がもたらす悪しき効果は、小学生でも理解出来よう。
<内閣不信任・問責に相当>
 もはや1日たりとも松下政経塾の政権の延命に手を貸してはなるまい。外交の失態を、野田に次いで、防衛副大臣までが「尖閣自衛隊出動」という狂った発言をした。
 野田は本会議で、渡辺とかいう防衛副大臣が昨日、テレビ番組で公言したという報道だ。野田発言を亀井静香は筆者に「狂っている」と批評したが、渡辺も同類だ。防衛に食らいつく輩にろくな者はいない。
 イラク・アフガンもそうだが、シリアでも戦争が行われている。日本も中国とやる、というのであろうか。完全に狂った政権を日本は、国民の代表に選んでしまったことに気付かされたのだ。
 野党は総力を挙げて、野田を解散に追い込む責任があるのである。党利党略を棚上げして、野田内閣不信任を衆院で、参院で問責決議をすべきだ。特に自衛隊出動を公言している野田と渡辺を、議政壇上から追放しよう。憲法が彼らを許さないのだから。
 憲法の罷免事項に相当する。
<中国の日本人>
 40年、30年前に中国に駐在する外国人の生活は、お世辞にも「天国」とはいえなかった。しかし、ここ10年前からは違ってきた。中国駐在はビジネスマンの一番の好きな場所となっている。
 多少の空気の汚れに不感症にさえなれば、日本人のみならず外国人にとって、北京や上海は優雅な都市だ。少しでも中国での生活が長くなることを望んでいる人たちだ。
 だが、尖閣問題で事態は変わってしまっている。さしたる実害は出ていないが、中国の日本人は、俄然肩身の狭い思いをしている。その精神的苦痛はただ事ではないだろう。反日ムードである。
 日本と名前のつくモノは、尊敬とか信頼とかの価値を失ってしまっている。政治と経済が密接に結びつく点で言うと、日中両国は重い過去を背負っているため、当然のことながらとても複雑なのだ。
 「自衛隊出動」を口走る日本の首相・防衛副大臣に対して、もっとも恐怖を抱いた人たちは、現地の日本人と日本企業であろう。日本商品の不買運動もまた、悩ましい問題だ。
 多分、中国の親日派でも、日本料理店に行くのを手控えているかもしれない。いわんや日本製の車や家電製品を購入する市民は減少しているだろう。それを東京からも察知できる。
<解散に追い込め>
 竹島を訪問した韓国大統領をののしる前に、日本人はしっかりと両手を胸に当てて過去を振り返り、真実に向き合うといい。友好が隣国外交の基礎である。
 思うに、内外政を共にぶち壊した政権を知らない。戦後の最低最悪の政権であることは、間違いのないところである。
 松下幸之助の悲願の「ナショナル」な政権の正体が、ものの見事に露呈している、とも思えてならない。
 政治は市民・国民のものである。早期の解散を求めてやまない。
2012年8月22日記