本澤二郎の「日本の風景」(1215)

<財界も脱原発へ始動>
 経済音痴のもとへ最新の大手町情報が寄せられてきた。事実ならいいニュースである。「財界が脱原発に舵を切った」というのである。ということは、今度の総選挙で原発再稼働派の民主党はいうに及ばず、続原発派の自民党原発促進派の維新の会に対して、金と票の支援をしないか、薄めることになる、というのだ。どうしてか?「財界人の多くは、原発ではもう飯が食えない」ということがわかってきた。そういえば、アメリカはシェールガス発電に切り替わる。3・11脱原発の影響は、国際的広がりを見せている。各国とも原発は、核のゴミ一つとっても深刻な負の遺産であることに気付いたからなのだ。



<重電の日立・三菱の連携>
 最近、日立と三菱の重電機部門の提携・合体が明らかになった。「3・11の福島原発大惨事が、もろに影響している」が、その筋の解説だ。日本の原発ビジネスは、各国の市民・人類から拒絶されてしまった。日本での新規建設は100%不可能である。
 欧州も無理だ。アジアでも反原発世論が大勢を占めている。中国でも無理だろう。人民が受け入れない。強行すれば、人民が力で反対するだろう。福島事件の知られざる人類に対する貢献である。人類は福島の教訓を学んでいる。
 こうした分析から重電器メーカーも、ビジネス認識を新たにしたようなのだ。日立と三菱の連携は、経済界のみならず関係方面に衝撃を与えている。性能のよいガスなどの火力発電機の開発に力を入れることになる。
<孤立した東芝
 その点で、東芝の対応が遅れている。東芝は3・11をまるで反省していない原子炉メーカーだ。表向き社会的責任を吹聴しながら、原子炉製造に必死という狂った企業である。米原子炉メーカーを、大金はたいて子会社化したものの、まだまだ元が取れていない。そのため買収資金相当の利益を挙げねばならない、と考えているようだ。
 依然として現在も、東芝ビジネスの核は原子炉製造である。しかし、日本ではもう作れない。用無しだ。「輸出でぼろ儲けできる」という判断をしているのだろうが、3・11の影響は地球全体に行き渡っている。
 第一、福島の東芝製3号機の核爆発さえ秘匿して、真実を公表出来ないでいる。こんな不誠実な企業の原子炉を「信用しろ」と言う方がおかしい。たとえ途上国の政府を買収したとしても、ネット時代の住民がおいそれと受け入れることはないだろう。
 先見の明のない無責任・無能の経営者として、人々から非難されるだろう。いかにテレビCMを大量に流しても、無駄なことだろう。
<住化の経団連会長も孤立>
 東芝は三井住友傘下に入る。経団連会長の米倉も住友出身者だから、必死で原発ゼロに反対している。しかし、すでに内部で孤立してしまっているようだ。彼は三菱と日立の重電機メーカーの合体について、相当にショックを受けたという。

 ナベツネ読売は、野田に対して「原発・消費税・TPPをちゃんとやるのであれば、支持する」と言明していたことが、昨夜届いた極秘メモに記述されていた。消費税の10%を強行した野田は、TPPを選挙の争点にしたが、そこにはワシントンと連携するナベツネとの駆け引きも存在したようだ。むろん、原発再稼働もナベツネの意向にも順じた行動の一つとみたい。
 そうして見ると、卒原発未来の党に対して、真っ向から排除しようとの主張理由が理解できる。堕ちた言論人は、しかし、財界内部や世界の変身に気付いていない。それは米倉孤立にもいえる?
<京セラ・稲盛はソーラー発電>
 民主党スポンサーで定評のある京セラの稲盛も、いち早く松下政経塾の前原の後援会長を降りて、目下のところ、脱原発・反TPP・反増税の小沢に接近しているという。
 先見の明のある経営者でも知られる稲盛だ。動きが速い。彼は人間や地球と共存できない原発コストが、自然エネルギーに比べて、べら棒に高いことを熟知している。原発のない社会へとビジネスを軌道修正して当然だろう。
 筆者は知らなかったが、京セラは太陽光発電メーカーでは、シャープ・パナソニックに次いで3番手を走っている。小沢政治の開花と京セラの発電ビジネスの拡大は、双方に利害の一致を見てとれる。既に報道されているのであろうが、小沢と嘉田の琵琶湖密会をセットした人物が稲盛というのだ。
 先見の明のある経済人は、既に松下政経塾離れをしていたのだ。
ソフトバンクトヨタも>
 一時、大阪の橋下に接近していたソフトバンク孫正義も、石原の配下となったことから「現在は小沢にかけている」と見られている。彼は既に大がかりなソーラー発電建設に取り組んでいる。孫の投資先は自然エネルギー発電に絞られている。
 隣国との緊張や対立を煽り、改憲で世論を分断する石原・橋下路線に反対しているのだろう。

 中国に投資している企業、とりわけ自動車業界も小沢に接近しているというのだ。あり得るだろう。日中関係の改善を極右の安倍には、当然のことながら期待できない。「安倍が天下を取ると、自民党は分裂する」との見方も出ている。「アジア重視の小沢にかけるしか、トヨタなど日本の自動車メーカーは生き延びることは出来ない」という指摘はその通りだろう。
 石原と野田の尖閣問題化が、財界の小沢への期待となっているという。財閥内部も複雑に割れてきている。
 トヨタの城下町で知られる愛知県は、長い間、労働組合が政治の主導権を握っていた。トヨタ経営陣は自民党を相手にしなかった。「奥田が肩書に浮かれて財界に手を出して変身したが、もともとは金もうけ主義。政治に翻弄されないできた。今回の石原・野田の尖閣表面化で内心、怒り狂っている。中国ビジネスを軌道に乗せるためには、小沢に期待するしか手はない、という思いだろう」と専門家も指摘している。
原発尖閣が小沢支援>
 世の中は変わる。地球は動いている。裁判から解放されて、自由の身となった小沢に心ある経済人も支援を始めている。
 ワシントンの属国に反発する市民・文化人も、亀井静香や小沢に期待している。ナベツネ主導の新聞テレビは、相変わらず小沢叩きに懸命だが、ネット社会での小沢人気はすごい。
 12月16日の結果が待たれるところである。
ケニア地熱発電は日本の技術>
 日本は地震大国だ。地熱発電による発電も無尽蔵にある。これまで不熱心な政府のため、日本の地熱発電技術は海外で活躍している。アフリカのケニアでは、地熱発電が電力の主力になりつつある。
 この地熱なら日本で大がかりな開発が可能だ。地震国では、地熱発電の需要が増大している。日本もそうすれば原発など不要だ。政府がここに集中して投資環境を用意すればいい。次の政権の課題だ。財界の小沢接近が選挙でどうなるのか、にも注意していくべきだろう。
 全てが闇の日本ではない。1本のローソクは輝いている。
2012年12月6日10時05分記