CIAの現金がアフガニスタンの為に買ったもの

マスコミに載らない海外記事   メタボ・カモ


wsws.org

2013年5月1日

何百万ドルではないにせよ、何十万ドルもの金が詰まった袋を、CIAが定期的に、アフガニスタンのハミド・カルザイ大統領に手渡していたという月曜日の報道は、アフガニスタンの、アメリカ帝国主義との、長く悲劇的な遭遇における最新の出来事にすぎない。

ニューヨーク・タイムズによれば、“十年以上、スーツケース、バックパックや、時には、プラスチックの買い物袋に詰め込まれたアメリカ・ドルの札束が、毎月、大統領の事務所に置かれてきた。”

今年早々、ホワイト・ハウスでの会談後、バラク・オバマ大統領とカルザイ大統領は共同声明を行い、戦略的連携協定のもと、将来無期限にわたり、アフガニスタンアメリカ軍を駐留させるという両者の意向を表明した。二人はアフガニスタン“主権”の尊重も宣言し、アフガニスタンの為の経済戦略は“アフガニスタンの機関を率いる人的資源と、包括的な経済成長と投資がしやすい環境を生み出す為の投資に注力する”ことだと述べた。

アメリカ・ドルで満杯のスーツケースに関する暴露で明らかになったように、アメリカは“アフガニスタンの諸機関を率いる人的資源”に莫大な投資をしており、CIA密告者、軍閥のリーダー、麻薬密輸業者や人殺しの一群にとって、銀行口座をワシントンからの金で満たしながら、アフガニスタンを掠奪し、国民を脅すのに“活動しやすい環境”を生み出したことは疑いようがない。

ブッシュ・ホワイトハウスが使っていた同じ犯罪的手口が、しっかり丸ごとオバマ政権に引き継がれている。

しかし、CIAの蛇口は、それよりもずっと長期にわたって開いてきた。何十億ドルもの賄賂は、1970年代末、ジミー・カーター大統領の民主党政権が、ソ連が支援するカーブル政府に反対するイスラム原理主義勢力を醸成し、財政支援をすることで、ソ連を“ソ連自身のベトナム”の罠に陥れるという戦略を採用した時代にまでさかのぼる。

その当時、若きハミド・カルザイは、CIAから給料を貰い、アメリ諜報機関と、パキスタンISIと、聖戦士の仲介役として働いていた。彼が、その頃、同じ様な役割をつとめていたオサマ・ビン・ラディンと付き合っていたのは確実だ。

ソ連撤退後、CIAに支援された勢力が長引く内戦を続け、1996年、パキスタンが支援したタリバンが権力について内戦は終わった。アメリカ政府が、2001年9月11日の攻撃をアフガニスタン侵略と占領の口実として利用して、この内戦がCIAの指揮下で再開された。CIAは、体制転覆の為のアメリカの戦争で、代理軍隊となるサービス契約を結ぶため、またしても現金が詰まったスーツケースを、アフガニスタン軍閥のリーダーに配り始めた。

資金集め旅行で、北ヨーロッパ訪問中のカルザイは、CIAの金は実際はそれほど多くなく、“負傷者、病人を支援する為に”使用されていたという信じがたい主張をした。

実際は、カルザイ一族や、その取り巻きのポケットや、外国口座に入らなかったものは全て、CIAから給料を貰って、2001年、マザリ・シャリフ近くで、何千人ものタリバン囚人の虐殺を組織したアブドゥル・ラシド・ドスタムのような戦争犯罪人を含め、軍閥リーダーへの賄賂に使われ続けている。一部の報道によれば、彼だけでも月に100,000ドルも支払われていたという。

大統領の異母弟アフメド・ワリ・カルザイも、2011年に暗殺されるまで、CIAから給料を得ており、アフガニスタンにおける何十億ドルものヘロイン取引で極めて重要な役割を演じながら、カンダハール突撃部隊として知られていた殺人部隊を動かしていた。

カルザイ国家安全保障会議議長モハメド・ジア・サレヒも、金の分け前を得ており、アメリカが主導する捜査で、彼がアフガニスタンから金をこっそり持ち出し、ヘロイン密輸と、タリバンへの財政支援に関与しているとして、2010年に逮捕された。カルザイとCIAが介入し、数時間以内に彼を釈放するよう強制し、捜査を終わらせた。

この殺人者、麻薬売人、泥棒政治家達の傀儡政権を権力につけておく為、アメリカは、アメリカ史上最長の戦争をして、約2,200人のアメリカ人と、更に1,000人の他の国々の占領軍兵士の命を犠牲にし、何万人もが、肉体的、心理的な重い傷に苦しまされている。戦争の経費は、CIAの金を除いて、2009年には年間600億ドルに達した。

アフガニスタン国民にとっては、CIAが約35年前、最初にアフガニスタンで軍事作戦を組織し始めて以来、死者と負傷者の数は何百万人にのぼる。

アフガニスタンにおける犯罪的なアメリカの作戦に注がれた莫大な額の金は、アフガニスタン国民を支援することは一切何もしていない。ある推計によれば、過去10年間にわたって、アフガニスタンで使われた200億ドルの外国援助の1ドルのうち90セントが買収に回っている。

アフガニスタンの家族の半数以上が極端な貧困の中で暮らしており、三分の一以上が飢餓に苦しんでいる。アフガニスタンの子供の十人に一人は、小学校入学前に死亡する。国民の四分の一以下しか清潔な飲料水を飲めず、15歳以上の人々のうち、同率の人々しか読み書きができない。

アフガニスタン民間人の虐殺は日常的に続いている。日曜、カルザイの大統領府は東部の州ナンガルハルでのアメリカ軍車列による4人の民間人射殺に対して正式な抗議を行なった。今月始め、NATO空爆で、パキスタンとの国境に近いクナ州で、2カ月から7歳の11人の子供が殺害された。

外国占領軍兵士撤退の正式な期限は、2014年末に設定されているが、オバマ政権は、アメリカ軍の駐在を終わらせる意図は皆無だ。カルザイと彼の犯罪集団の支配に抵抗する人々の殺害を継続する為に、6,000人から、20,000人の間のアメリカ軍兵士を残留させる計画が準備されつつある。

アフガニスタン国民の意志に反してしつらえられたこの政権は、中央アジアと、その戦略的エネルギー埋蔵を巡る自らの覇権を、軍事的に確立し、自らの利権を推進し、アフガニスタンと、アメリカ両国の労働者につけを回そうと固く決意しているアメリカ金融寡頭勢力の道具なのだ。

Bill Van Auken

記事原文のurl:www.wsws.org/en/articles/2013/05/01/pers-m01.html