白々しい嘘が罷り通るシリア情勢

黄泉の国から   「岩下俊三(旧姓)のブログ」からリユーアル


アルアラビアネット(写真)によると混迷を深めるシリアでさらに深刻な情報がもたらされた。それによるとCIAと米特殊部隊が秘密裏に自由シリア軍を訓練しているというものだ。だが、これはすでに公然の機密として半年ぐらい前から対戦車対ミサイル訓練が行われているらしいと言われ続けていたものである。しかしこれが事実として明らかになった以上アメリカの参戦は近いと思われる。そしてそれはサミットでオバマが反政府側に武器供与すると宣言したするまえから、アメリカのれっきとした軍事作戦であったのかもしれない。

ではなぜ今頃になって、急にオバマアメリカCIAの自由シリア軍に対する武器供与を明らかにしたのであろうか。


理由は二つあるとおもう。

一つには政府側についているヒズボラを攻撃するという名目で参戦しているイスラエルへの配慮。二つ目はネット上の個人情報をアメリカ政府が把握していることがばれてサミットでやり玉にあがることを恐れたためである。けれど、どちらにしても根拠は邪悪であるというしかなかろう。

そもそも反政府勢力を無慈悲なシリア政府に抵抗する「アラブの春民主化運動と連想していた人には、アメリカが武器供与すると明言したのはショックであろうが、ここらあたりの反政府勢力とはそんなロマンティックなものではなく、完全にロケット砲や機関銃飛び交う「内戦」である。それも大国をバックにした戦いの様相を呈し停戦までいたるのは至難の業であるのだから水戸黄門のように単純な善玉と悪玉の対立ではないのである。

しかしながら日本国民はアメリカが悪と決めればアサド大統領は悪であるとみなされるから、かってのイラクのように大量破壊兵器の発見、軍事介入、民主化(?)というお決まりのコースを辿るものだと思っているらしい。さっそくサダトが「サリン」を使ったいうが、圧倒的優位の政府軍が弱者の武器―サリンを使う理由が分からない。今回も嘘のストーリーですんなりと軍事介入するつもりだろうか。

しかし実態はそうは問屋が卸さないのであって激化すればするほどアメリカのダブルスタンダードの意味不明さが際立ってくるのである。反体制グループには悪名高きアルカイダが含まれているのだ。つまり21世紀アメリカ最大の敵に武器供与することになりかねないのである。

にもかかわらず日本は正式に外務大臣が反体制派に直接支援をすることを表明している。まあアメリカの属国としては何も考えないで判断してしまえるから気楽と言えば気楽である。しかしすでにシリアでは7万以上の犠牲者がでておりそのままアメリカの言うとおりにしてればいいという筈はないのだ。安倍もパーなら岸田もそれに劣らずパープリンとみた。


もちろんイランの援助というのはガセだとしても中国とロシアは明確にアサド政権を支えている。つまり典型的な代理戦争なのだけれど、西側のメディアは人道的(?)という立場から一貫してアサド政権を一方的に批難しており、アメリカは武器供与だけでなく秘密裏に対ミサイル軍事訓練までしているのだ。

こうなると、自分たちがテロの標的になるのを恐れている欧米が、シリアの反体制勢力を支援しているということは強盗に武器を与えているようなものであるというアサド側の主張もまんざら変だとは思えない。だからといってテログループと戦っているのが政府軍だからこちら側に「正義」があるというのも言い過ぎだとおもうが。

いずれにしろ暴力の連鎖は直ちにやめるべきである。


ただシリア情勢をテレビの宣伝に踊らされて、サダト大統領による民主的な市民への弾圧という「偏った情報」で物事を判断してはいけないということだ。もうかってのプロレスみたいなヒールとベビーフェイスの闘いで全てが説明できる時代はとうの昔に終わっている。

いくら属国だからといっても、自分は宗主国に何の義理もない。何らかの利益を得ている奴ら(たとえば晋三君)と同じ考えたかたや見方をする必要はどこにもないのだ。なのになぜ普通の日本国民がアメリカと同じことを言うのか不思議このうえない。