問題はTPP交渉前からBSE対策を緩めたり、規制改革会議などで食や医療の規制緩和を準備したりしていること

「問題はTPP交渉前からBSE対策を緩めたり、規制改革会議などで食や医療の規制緩和を準備したりしていること」  TPP/WTO/グローバリズム
市民のためのTPP情報

日本農業新聞・神山美智子弁護士インタビュー】

Q・政府はTPP交渉で、食の安全は守るとしています」

「外国の基準を受け入れて食の規制を緩めてきた歴史を見れば、その言葉は疑わざるを得ない。

最も分かりやすいのはポストハーベスト農薬の問題だ。

975年、米国産柑橘類から認可していないカビ防止剤のOPPとTBZが見つかった。

政府は輸入を禁じたが、米国から圧力を受け、77年以降、使用を認めた。

90年には違法添加物イマザリルが米国産レモンから検出されたが、政府は2年間放置。

92年9月に輸入を禁じたものの、同11月にはイマザリルを認可した。

外圧に屈し、規制を緩和する例はこれにとどまらない。

塩が固まるのん防ぐ固結防止剤フェロシアン化物という無許可添加物が輸入品に含まれることが分かると、米国などが厚生労働省に違反薬品として処分しないよう要請。

政府は急遽、許可してしまった。

さらに政府は02年、海外で広く使われ一応の安全性評価がなされた添加物46品目を企業からの要請がなくても認めていく方針を決定。

抗生物質添加物であるナタマイシンを06年、ナイシンを09年に認可した。

「食品は抗生物質を含んではならない」という食品衛生法に基づく原則があるにもかかわらずだ。

毎日の食事で抗生物質を取れば、耐性菌が発生し病気が治らなくなる恐れがある。

(TPP参加をめぐる日米事前協議で、食の安全に関わる規制など非関税措置をTPPと並行して協議することが決まり)遺伝子組み換え食品の表示ルールの後退や、添加物の規制緩和などが懸念される。

問題は、政府がTPP交渉前からBSE対策を緩めたり、規制改革会議などで食や医療の規制緩和を準備したりしていることだ。

安倍首相は国益を守るというが、TPP交渉より先に、守るべき国益を自ら破壊してしまえば、脱退の場面などあり得ないことになる。