諜報・産業複合体

マスコミに載らない海外記事   メタボ・カモ


wsws.org
2013年7月15日

先月、国家安全保障局 (NSA)の内部告発者、エドワード・スノーデンによって暴露されたスパイ活動の重要な重要な側面は、巨大通信会社や巨大ハイテク企業と、オバマ政権やアメリ諜報機関の結託は、民主的権利の組織的な侵害だということだ。

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この大企業・諜報機関連合の主要素が、先週末の、ソフトウエアの巨人マイクロソフトの、NSAやFBIとの親密な関係の詳細を書いた記事で明らかにされた。

スノーデンによれば、マイクロソフトは、同社自身の暗号方式を回避する為の手順を開発すべく、NSAと協力し、Hotmail、Messengerや他の広く利用されているプログラムを含む、同社のOutlook.comサービスへの自由なアクセスを可能にしたという。同社はまた、約2億5千万人が利用しているファイル・ホスティング・サービス、SkyDriveに、アクセスできるようにすべく、FBIとNSAと協力している。

2011年、マイクロソフトは、現在8億人のユーザーを擁するチャット、音声、画像通信システム企業スカイプを買収した。スカイプは既にアメリカのスパイ機関との協力を始めてはいたが、NSAは、マイクロソフトによる同社買収後9カ月で、NSAがアクセスした映像通信の数は三倍になったと豪語している。

アメリカ政府のマイクロソフトとの関係は、莫大な量の情報を集め、蓄えるデータベース構築活動にとって、極めて重要だ。マイクロソフトは世界最大のソウトウエア企業で、世界で二番目に金持ちの人物ビル・ゲーツが経営している。同社のWindowsオペレーティング・システムは、ウェブに接続するコンピューターの約90パーセントで使用されている。最新の暴露を考えれば、マイクロソフトのOSで動くコンピューター上で行われる大半の行為は政府に監視されやすいと考えるべきだ。

マイクロソフトは、決して、膨大な量の情報を国家に提供すべく、顧客の背後で秘密に動いている唯一の企業というわけではない。

スノーデンによる最初の暴露は、巨大通信会社ベライゾンに、何百万人もの顧客の通話記録を引き渡すことを要求する、外国情報活動監視裁判所からの命令に関するものだった。これは、AT&Tやスプリントを含む、全ての主要電話会社から“メタデータ”を収集するという、2006年に開始し、オバマの下でも継続している計画の一環だ。誰が誰に、何時、どこから、電話をしているのかに関する詳細情報があれば、国家は事実上、アメリカ合州国の全住民の社会的・政治的関係を判定することが可能だ。

スカイプ・ユーザーに対するスパイは、2007年に開始した、それにより、NSAが、マイクロソフト、ヤフー、グーグル、フェースブック、AOL、YouTubeやアップルを含む、アメリカのインターネット関連企業のサーバーに、直接アクセスできる、より上位のPRISMプログラムの一環だ。

PRISM自身、大半の通信とインターネット通信がそこを通過する、光ファイバーケーブル“インターネット・バックボーン”システムを、NSAが直接盗聴する、より広範な計画の一環に過ぎない。こうしたケーブルは、通話記録のデータを引き渡しているまさに同じ巨大通信会社や、L-3 コミュニケーションズやセンチュリーリンク等の大企業が敷設、管理している。このようにして、NSAは、リアルタイムで、世界のインターネット・トラフィックの大半をモニターし、永久保存することができるのだ。

ブルームバーグ・ニューズは、先月“何千ものハイテク、金融・製造会社が、アメリカ国家安全保障局と密接に協力し、機密情報を提供し、引き換えに、極秘情報へのアクセスを含む、恩恵を受けている”と報じた。政府との秘密協力の見返りとして、企業は、自分たちの活動に対する免責を保証する文書を得ることが多いという。

ブルームバーグが引用した計画は多様で広範囲に及ぶ。同社のオペレーティング・システムのバグを、一般に公開する前に、NSAに通知するというマイクロソフトとの契約すらも含まれており、これで諜報機関は、アメリカと外国のコンピューターに侵入するための情報を利用する機会を得られることになる。Intelの子会社で、インターネットのセキュリティー・ソフトウェアを製造しているMcAfeeも、諜報機関と定期的に提携している。

大企業・諜報機関の協力は世界規模だ。週末、オーストラリア新聞は、アメリカのスパイ機関と、オーストラリア最大の通信会社テルストラの間の、データをアメリカ政府に引き渡す提携関係を報じた。テルストラは、オーストラリア内のインターネット・バックボーンと、アジアからの通信の大半が通る経路のほとんどを支配している。

今月始め、スノーデンと協力しているジャーナリスト、グレン・グリーンウォルドは、ブラジルの新聞オ・グロボで、一般のブラジル国民による無数の通信を収集している、FAIRVIEWと名付けられたプログラムについて報じた。またしても、通信会社が直接に関与している。グリーンウォルドによれば、“NSAが、アメリカの大手通信会社と提携する… そのアメリカ企業が、外国の通信会社と提携する。”外国の通信会社が、データをアメリカ企業に提供し、アメリカ企業は、それをNSAに渡すのだ。

場合によっては、諜報機関と通信会社の親密な関係で、相互の間を、個人が行き来することもある。例えば、現在ベライゾンの最高セキュリティ責任者マイケル・メーソンは元FBIの対サイバー犯罪部長だった。AT&Tで同じ職にあるエドワード・アモローソは全米をカバーするミサイル防衛網を構築する1980年代のプロジェクト、レーガン大統領の“戦略防衛構想”のメンバーだった。

1961年の退任演説で、アメリカ大統領ドワイト・アイゼンハワーは、“巨大な軍事組織と巨大な兵器産業の結合”と表現した“軍産複合体”について警告した。この強大化する連合は“誤った権力の恐るべき勃興”の脅威であり、それが“アメリカの自由と、民主的プロセスを危うくする”と彼は宣言したのだ。

50年後、軍・諜報機関と大企業の統合は、アイゼンハワーが想像できたものを遥かに越える程進化した。軍と兵器製造民間業者との密接な関係のみならず、支配階級総体になりかわって機能している国家も、国民をスパイするため、巨大企業との関係のネットワークを作り上げたのだ。

World Socialist Web Siteが、再三主張している通り、大企業-金融エリートによる支配の継続と、それが依拠している資本主義制度と、民主的権利は両立しないのだ。アメリカの支配階級は、戦争と、社会反革命という世界的政策を遂行しつつある。警察国家機構の構築は、何より労働者階級を狙ったものであり、この政策に対する、社会的、政治的反対勢力に対して使用されることとなろう。

諜報・産業複合体の暴露によって、民主的権利の擁護が、経済生活の民主化と、社会主義の為の戦いと密接に結びついていることが明らとなった。通信を含む重要な社会インフラは、私企業の手から取り上げ、労働者階級による民主的支配の下におかれるべきなのだ。マイクロソフト、アップル、ベライゾンAT&Tのような大企業、そして、世界中の同等な大企業は、公共事業に転換し、私益ではなく、社会的要求に基づいて運営されるべきなのだ。

Joseph Kishore

記事原文のurl:http://www.wsws.org/en/articles/2013/07/15/pers-j15.html

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プログラマー中村正三郎さんが、マイクロソフト社について書かれた本を大昔に拝読したものとして、全く驚かない記事・事実。早速、中村正三郎さん、ご自分のブログに書いておられる。

テレビがTPPの深刻な問題を報道したのにおどろいた。 遅すぎて、少なすぎる報道。

マレーシアのAIDS感染者の方々が、TPP薬の特許期間延長がジェネリック薬価格を押し上げ、入手が困難になるという懸念をしめして、反対デモをもていた。生活費の4割りにあたるが、現状では国家の補助で無償のようだった。
オーストラリア政府が、問題の「ISD条項」に反対していること。
ベトナムシンガポール、TPPの目玉要求?の一つ「国営企業の民営化」に反対しており、発言力がある?日本と、共同歩調をとりたい雰囲気であること。

アリバイ作りのようにしか思えない。自民、公明が圧倒的多数となり、TPPに邁進し、TPP後の庶民生活がボロボロになった後、「事実はきちんと報道いたしました。」という為に。

マレーシアの件については、下記記事を翻訳した。

マレーシア、TPPを拒否 2012年8月 7日 (火)

どの問題も、TPPについてかかれた真面目な本を読めば、大本営によらない真面目な報道をみれば、すぐに思いつく懸念。大本営はわかっているから、とりあげない。

その結果、「自公安定多数」という新聞見出し結果になるだろう。

首に縄をかけられ、投票日に「足元の板が開く」のをじっと待っているような気分を感じるのだが、異常なのだろうか?

2013年7月17日 (水) アメリカ, アメリカ軍・基地, インターネット | 固定リンク