背筋の寒くなる思い:非正規雇用2000万人超え

「背筋の寒くなる思い:非正規雇用2000万人超え:すとう信彦氏」  マクロ経済/経済政策
すとう信彦オフィシャルサイト

背筋の寒くなる思い:非正規雇用2000万人超えから転載します。

2013年07月15日
 総務省の12日の発表(就業構造基礎調査)によれば、非正規雇用が前回調査から152万人増加して2000万人の大台を超えた。

雇用に占める割合は38.2%となる。

終身雇用を前提とし、不安定な中小企業ですら長期雇用によって労働条件の安定と、将来への生活設計を可能にした社会が、急速に滅びつつある。

いや、それは自然に崩壊するのではなく、小泉「改革」とか、民営化とか、グローバル化とか...とかいうスローガンのもとで、自虐的に破壊してきた結果だ。

 これでどうして、少子化を食い止めることができるのか?

どうして日本の競争力の基盤でもある高い技術をもった中小企業を維持できるのか?

絶望的な気持ちになる。

 しかし、もっと絶望的なのは、このような状況のなかで、このような傾向をさらに進める「強いくにを作る」「日本をとりもどす」「アベノミクス」というような詐欺のようなスローガンになぜ国民の支持が集まるという現実だ。

マスコミに責任がある...そのマスコミに騙される国民が悪い...というような批判も多くみられるようになった。

 私自身も社会科学者の端くれとして、この問題は長く考えているけど、最近、思い当たるのは、社会の保守化だ。

なぜ全面的な抜本的な社会改革が必要なときに、どんどん保守化していくのか?

それはおそらく、多くの人が日本社会が近い将来直面するであろう困難や悲劇を漠然とながら察知し、理解しながら、改革の困難さをも認識して、結局、現状維持にあるいは後ろ向きな心理に落ち込んでいくのだ...と思うようになった。

そのこと自体が新たな自己崩壊の要素となる。

一刻もはやく、警鐘を鳴らして、真の変革を進めなければならない...と気はあせるばかりだ。

参議院選挙の猛暑の中でもふっと頭にそうした思いが頭をよぎる。

 ともあれ、この非正規雇用が40%になったことこそ、注意警報だ。それを多くのひとに知ってもらいたい。