本澤二郎の「日本の風景」(1359)

<安倍ヒトラー論の黒幕は財閥>
 歴史認識が、日本と中国との決定的な溝・不信の原因となっている。その原因は、過去を正当化する国家主義の台頭による。もう一枚、皮をはぐと、戦前と同じ財閥が、政治経済の実権者として控えている。法治も届かない闇の世界の存在である。ここを日本人も国際社会も気付いていない。他方、ここにきて、ようやく安倍ヒトラー論が浮上するようになった。



<金支配の国際社会>
 民主だ、自由だといっても、所詮経済はいうまでもなく、政治も社会も金で動く。金に支配された人間が国を動かし、世界を形成している。
 安倍家の先祖は長州・山口県だ。薩摩と組んで欧米の武器弾薬を仕込んで、経済で疲弊した幕府を倒した。錦の御旗に京都で蟄居していた天皇家を引きずり出した。そして神に格上げした。金のない幕府寄りの会津などは、あえなく敗北した。明治の軍閥の雄である山県有朋は、岩崎弥太郎の政商・三菱と癒着して、その資金力で軍と政府部内を掌握した。
 安倍の祖父・岸信介も、その配下となって頭角を現し、東條内閣の軍需次官・商工大臣になった。本人の能力とは無関係である。長州の人間が、戦前の実権を掌握した戦前だった。その先に侵略戦争が起きた。
 日清・日露戦争の勝因は、大英帝国による支援・金が決め手となった。金が世の中を動かしている。

 なぜ自民党総裁選挙で安倍が逆転勝利したのか。金である。総選挙に次ぐ、参院選挙の勝因も金だ。この金に新聞テレビも屈服して、国民を籠絡させる甘い報道をして勝利したものだ。
 小沢の落ち込みは、資金不足である。そのための小沢叩きを数年、繰り広げてきた民主・自民、そして検察と新聞テレビであった。これでは小沢に金は集まらない。小沢を支援する財閥はない。これが敗北原因だ。
<2割有権者支持で、戦争する日本・国家主義の日本へ>
 昨日、民主党の横路元衆院議長が「自民党を支持した有権者は、たった2割に過ぎない」と反撃していた。その通りである。圧勝した自民党という報道を、各紙は大勝に切り替えた理由だ。国民の2割しか支持はしていない。
 このことを善良な自民党員は、肝に銘じるべきだろう。2割で残り8割の意思を無視すると、どういうことになるのか。エジプトを見よ、である。安倍は暴走出来るはずもないのだが、実際は大暴走している。
 公明党は「我々が暴走を止める」といって支持者を騙している。彼らは何もしていない。安倍のなすがままである。国家主義の路線を突っ走る安倍である。
 自衛隊海兵隊を創設するという。集団的自衛権を行使するという防衛大綱に、改めるのだという。アメリカ並みに国家安全保障会議(NSA)を設置して、議会のチェックを回避、国民を丸裸にするという大暴走路線を敷くという。
 恐怖の国家主義が、今着実に政策化されている。そのための隣国との摩擦の助走である。しかし、財政破たんしている日本に金はない。そこで浜田とか黒田という野心家を味方に引き入れて、円札の大増刷をして中央銀行を真っ黒にしてしまっている。1930年代の二番煎じである。
<こんなことが許される日本でいいのか>
 2割政党の大暴走に多くの国民は、気付いてはいない。問題はここにある。新聞テレビが右翼新聞に変身してしまい、真実を報道、評論していないからだ。
 官僚の用意した情報を垂れ流すことに懸命な、駄目記者ばかりの日本である。彼らをヒラメ記者という。水底に潜んで、目だけを上の方に向けてキョロキョロさせている魚だ。
 腐敗しているのは、自民党・自公だけではない。野党の全てが腐敗している。だから国家主義という言葉も使おうとしない。財閥批判など皆無だ。日本共産党でさえも「大企業」でお茶を濁して、彼らに屈している。
 要は新聞も駄目、議会も駄目の日本なのだ。こんなことでいいわけが無い。権力に屈しないリベラルが、議会とマスコミから消滅してしまっている。隣国のサッカーファンから「歴史を忘れた民族の未来はない」という横断幕に対して、頭を垂れて反省する日本国民は少ない。
<ワイマール憲法を封じたヒトラーの手口>
 この間に、安倍ナショナリズムは火を噴いて激しく燃えている。そんな安倍を表向き側面支援している麻生太郎は、なんと「人々が気付くとワイマール憲法を封じ込めてしまっていた」とヒトラー流儀を披歴、これを安倍も学べ、と講演会で悪魔の本音を語ったという。国民が気付いた時は、平和憲法は消滅していた、軍国主義が復活していた、そんな手口を使え、というのだ。
 彼ら国家主義者は、小泉に限らずヒトラー好きである。ここまで愚民扱いされている日本人は、確かに日々の生活で政治どころではない。正にワイマール体制下の、ヒトラー台頭のドイツと酷似している。
 昨日、この危機的潮流を察知した勇気ある「日刊ゲンダイ」の記者が、コメントを求めてきた。
 善良な日本人は沈黙しているが、それが許されない日本なのである。覚醒せよ、覚醒せよ、である。
2013年7月31日10時10分記