本澤二郎の「日本の風景」(1364)

<ワシントンの威力>
 2期目のホワイトハウスは、やはり大分違う。それもそうだろう。問題は深刻すぎる。日本のナショナリスト政権の暴走に対して、北京やソウルと懸念を共有している。これはオバマの強みである。アメリカン・リベラルの本領発揮だ。今頃になって公明党が「閣僚発言」に警鐘を鳴らした。偏狭なナショナリズムに与する公明党も、ようやく事態の深刻さがわかってきたのであろうか。それとも訪米を目前にしたアリバイ発言でしかないのか。ワシントンの威力に、安倍の8・15靖国神社参拝は見送られるとの報道が、散発してきている。




<米連邦議会調査局は米国良心>
 右翼メディアは、こぞって米連邦議会調査局の報告書の価値を低める報道に必死だ。滑稽千万である。CIAやネオコン・日本調教師と連携してきた日本のヒラメ記者や霞が関、そして本丸の官邸にとって、このレポートによる強烈な大砲を想定していなかった。
 第一弾で「安倍は国家主義者・国粋主義者」との分析を行った。そして第二弾で「8・15参拝NO」のメッセージを発した。
 中立を誇る連邦議会調査局の報告書は、議会とホワイトハウスの意向も反映されている。ワシントンの良心である。影響力もある。その威力は不勉強な共和・民主の両党に及んでいる。
<戦後体制崩壊狙う偏狭国家主義
 こんなことは過去になかったことである。偏狭な国家主義政権だからである。CIAは容認しても、ワシントンのリベラルは断じてNOなのだ。日本の新聞テレビが蓋をしても、無理なのである。
 安倍も麻生も高市も、その全てをワシントンはファイルしている。これに北京とソウルが怒り、東アジアに暗雲を垂れこめさせている。この事態をホワイトハウスは容認しない。2期目のオバマの意思だ。
 安倍の日米同盟論の底を見透かされてしまっている。読売がどんなに弁護しても、ワシントンを騙すことは出来ない。その先陣を連邦議会調査局が担っているのだから。
 1945年体制崩壊を喜ぶ国も人類もいない。米産軍体制の暴走によるオスプレイの24機沖縄配置に怒る日本人でも、戦前の天皇国家主義の復活を断じて望まない。
ナチス礼賛に衝撃>
 ワシントンは麻生発言に驚愕した。欧米ではナチス礼賛はタブーである。どのような理屈をつけてもNOである。極右のレッテルを張って追い詰めてしまうだろう。「ナチスに学べ」「そうして改憲をやる」という麻生メッセージに世界は震え上がってしまった。
 こうした内緒話は、従来から自民党ナショナリストらから聞こえてきてはいたが、それが安倍の盟友の副首相から飛び出したのである。世界は驚愕してしまった。
 役人作成の撤回文をテレビの前で朗読したが、後の祭りである。世界を牛耳るユダヤ社会に伝播した。米共和党の重鎮のキッシンジャーの驚きは、想像に難くない。
 現在の政府・自民党執行部の体質なのである。それを承知で支持を強要させられた、政党と宗教団体の今後の対応が注目される。45年体制とナチス礼賛の安倍内閣を信じる政治指導者は、この地球に存在しない。
<米産軍体制を抑制>
 共和党のブッシュ前政権は、9・11を口実に2つの戦争を同時に演じてきた戦争政権だった。莫大な借金をつくり、それがリーマン・ショックという形で米国経済を破綻した。
 武器弾薬で国民生活は楽にならなかった。不幸が押し寄せている。そうしてオバマ民主党が政権に就いた。1期目のオバマは、闇の権力を行使する産軍体制に対して、事実上の中立を保ってきたのだが、残る2期目で本領を発揮してきている。
 対日政策や北京との友好外交がそれである。米国民は、戦争のために若い血を差し出すことにNOである。これもオバマの立場を強くしている。
 オスプレイ問題の解決は、沖縄の米軍基地労働者によるゼネスト、ワシントンでのムシロ旗での市民デモが効果的ではないだろうか。これがホワイトハウスを動かす方法であろう。米軍基地前での抗議デモでは解決は無理だろう。
<安倍・国家主義も動けず>
 安倍・国家主義の本質を突いた、米連邦議会調査局の相次ぐ報告書に官邸は、身動きが取れないだろう。総選挙と参院選で圧勝した安倍は、有頂天になっている、と事情通は伝えてきているのだが。
 彼はこんなに簡単に国民を騙せるとは、考えていなかったのだろうから。“ナチスヒトラーさまさま”との思いも理解できるが、しかし、人類はそれを禁じている。そこを彼らは忘却してしまっていたのだろう。
 ワシントンの警戒は揺るがない。小沢を退治したCIA・ネオコンとは違う。安倍自公政権に対しては、議会・ホワイトハウスが目を光らせている。
2013年8月6日10時05分記