本澤二郎の「日本の風景」(1400)

東京五輪返上論が浮上>
 安倍晋三小泉純一郎の所属した自民党清和会派閥の元ベテラン秘書が、珍しく電話をしてきた。彼は安倍の若いころのことを、よく知っている人物である。能力・性格について詳しい。嘘と金で手に入れた2020東京五輪を、とても喜べないという。ゴルフ三昧の夏休みを返上して、早期に国会を開き、徹底して議論した上で、2020年の五輪を返上すべきだ、と訴える。とても子供に夢と希望を与えられる中味がない、とも断じたものである。頷ける主張であろう。



放射能歓迎五輪は日本の恥>
 考える必要もないだろう。大気・大地・海洋への放射能汚染をコントロールしている、と断言した安倍発言は、真っ赤な嘘である。「0・3平方キロの湾内に完全にブロックした」というのも大嘘である。
 コントロールされていない放射能地帯の福島は、フランスの週刊誌の風刺漫画を非難出来るものではない。日本のごくまれな京大の正義の科学者は「呆れてモノも言えない」と愕然としている。
 放射能の東京に、外国のアスリートと観光客、友人を喜んで歓迎できる日本人がいるだろうか。ヒトラーのような人間と財閥利権族以外、誰も出来ない。失礼だし、そんなことをしたら日本の恥ではないか。返上論の根拠は実に分かりやすい。
 東北の被災者ばかりではない。まともな日本人は皆そう認識している。現に、オリンピック開催に浮かれているのは、利権確保の財閥とそこから広告費をもらっている新聞テレビだけではないか。
<福島廃炉失敗・巨大地震?>
 2・5年後になって東電は「我々の力では収束できない」と事実上、白旗を上げた。日本政府が470億円(血税)を出して取り組むことになった。東電は米スリーマイル原発事故の処理担当者を招いて、廃炉へのステップを始めると言うが、その米専門家も「複雑で困難」と早々から厳しい分析を口にした。当然だろう。史上最大の原発大惨事なのだから。世界のどこにも解決モデルはないのだ。
 このあとの7年後に廃炉失敗という事態を、専門家なら予測できるだろう。さらなる巨大地震が発生、第2の福島や、同時に福島4号機の崩壊も想定可能である。原発ゼロが、日本の未来を約束する。その政権の誕生こそが日本の希望なのだが。
<所詮、貴族のお遊び・利権>
 オリンピックというと、いかにも健全な人類のマツリのように考えている人々は多い。「全くそうではない」ということを、事情通に教えられてしまった。
 「貴族のスポーツ」でしかないのだ。乗馬は五輪スポーツでも、野球などは彼らの関心事ではないのだ。IOCは貴族主導で今も進行している。「貴族・皇族と政治屋の利権」と断じる向きもある。指摘されると、確かにそうである。
 「国体は皇族の利権」とも言うのだが、なるほど的を射ている。子供たちの夢や希望とは大分かけ離れている。
<1000兆円借金国は東北復興が優先>
 日本は、1000兆円以上の借金を抱えて四苦八苦している。国際社会から「財政健全化」を呼びかけられて久しい。そのための前進が出来ないと、亡国へと突き進む。しかし、毎年財政悪化の超大型予算を編成して、地獄への道を歩んでいる日本政府だ。
 輪転機で滅多やたら円札を刷りこんでいるアベノミクスを宣伝する新聞テレビに、浮かれて、喜んでいる者たちがいる。
 五輪騒動で、ただでさえ遅れている東北復興は、比例して遅延を余儀なくされる。子供でも理解できるだろう。正確にいうと、壮大なる無駄だ。ロンドン五輪が証明している。金額は利権がらみでぐんぐん上がる。国民負担が増大することは確実である。
 中国はいま倹約政治を始めた。これは正しい。日本こそ、これに率先すべきだろう。現実は逆である。
<人災解明・世界に発信の義務>
 日本政府の責任は、福島の全てを嘘と隠ぺいから解放して、真実を世界に発信することである。原発ゼロへの先導役にならねばならない。広島や長崎の真実を、地元に負けず劣らず推進する義務がある。
 福島は人災である。同じことを繰り返してはならない。ドイツの選択が正しい。隣国にも同じような問題がある。余計に真実を公表して、共に原発ゼロを実現する責任がある。まともな人間の政府であれば、必ずそうするだろう。
<油断して戦争ごっこ御免>
 安倍政権とヒトラーの政権の酷似性に関心を抱く元政治家を知っているが、真剣に日本の将来を考える日本人であれば、当然、そうした思いを抱いているだろう。
 過去を知る、過去を学んでいる日本人は、既に軍靴の音が耳に聞こえてきている。新たな「戦争ごっこ」に警戒している。隣国の不安は当然であろう。隣人を敵視する日本人も増えてきている。油断大敵である。
2013年9月16日10時25分記