本澤二郎の「日本の風景」(1404)

<荒唐無稽の集団的自衛権
 安倍晋三が所属する清和会の元ベテラン秘書が、目下、首相が極右外交官の柳井俊二と同政治学者の北岡伸一を使って、集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈変更に本腰を入れていることに「荒唐無稽ではないか」と強く反発するメッセージを届けてきた。正論である。戦後の日米安保の経緯に精通している御仁である。




<米軍は自衛隊に助けを求めていない>
 「アメリカは自衛隊に守ってもらいたいと考えてはいない」と断定する。核兵器化学兵器をふんだんに保有している米軍である。米軍が自衛隊に助けを求める事態は、常識的に見て想定できない。
 北朝鮮アメリカにミサイルを撃ち込むことは100%ない。「そんなことはない」と反論する日本人は、正常な感覚を持ち合わせていないことになる。アメリカが本気で日本に対して、集団的自衛権の行使を求めることはない。
 これは明白な事実である。
<米国に軍事攻撃する国は存在しない>
 軍事力では米軍は圧倒している。アメリカに太刀打ちできる軍隊を保有している国は、この地球上に存在していない。アメリカが手を出さない限り、米軍に攻撃を仕掛ける国はない。
 せいぜいテロ攻撃でしかない。アメリカが軍事攻撃を受けて、それを日本の攻撃とみなす場面は想定できるものではない。集団的自衛権の行使する事態はゼロである。
 イランも北朝鮮アメリカを攻撃しないし、第一出来ない。
<吉田・安保は基地提供>
 日本が独立した時に、日米安保をワシントンから締結を求められた。その目的は日本の基地提供にあった。特に沖縄の基地を重視した。戦略上、要石といわれた。独立させる代わりに基地提供を求めた。
 アジア太平洋の警察任務と、日本の軍国主義復活を阻止する狙いもあった。日本軍国主義の恐怖の裏返しだった。「神風」という狂気の天皇国家主義は、ワシントンの軍人にとって計り知れない、怖い対象だった。
<岸・安保改定は日本核武装阻止>
 一見、対等の日米安保が岸内閣の下で実現した。日本が武力攻撃を受けた場合、アメリカが助ける、というのが改定の中身である。
 本質は、というと、アメリカによる日本核武装阻止にあった。「敗軍の将、兵を語るなかれ」というが、旧内務官僚ら戦前の戦争責任者らは「日本弱体化がワシントンの狙い」と決めつけていた。岸・中曽根ら国家主義者、そして今の安倍の認識と見ていい。このワシントンの鉄の鎖を打ち砕くことが、すなわち天皇国家主義復権が、彼らの目的なのである。
 日本のリベラル派は、平和外交による経済発展に国民生活の安定を求めてきたが、ナショナリスト国粋主義者は、ワシントンとのせめぎ合いに必死なのだ。その頂点が平和憲法・9条の解体なのである。
<米国の望みは日本の金>
 アメリカの日本への期待は、いつものことだが、それは「ワシントンのポケット」であり続ける日本である。それ以上でも、それ以下でもない。
 湾岸戦争(海部内閣・小沢幹事長)では、なんと130億ドルを持って行かれた。中東の殺し合いの資金を提供する日本だった。イラク・アフガン戦争(小泉内閣)でも、日本は金で間接的に殺し合いに加わった。中曽根バブルは、アメリカの双子の赤字を解消するためのもので、バブルが崩壊すると日本から1500兆円が消失して、日本は経済大国の座を失ってしまった。
<安倍・国家主義は日本軍事国家が狙い>
 安倍・国家主義は、過去への復権狙いだ。ワシントンの右翼・ネオコンとの連携で、それを果たそうとしている。ワシントンのリベラルはNOの立場だ。米産軍複合体は、自衛隊を米軍の下請け部隊としての利用価値を見出している。
 そことの連携による日本軍事国家に期待を懸ける安倍である。
今のリベラルのオバマ政権は、異質の日本政府に警戒心を抱いている。特に中国や韓国との敵対関係を利用しての日本軍事化を目指す安倍戦略に違和感を覚えている。オバマは安倍を信頼していない。
話題を変えるが、本日9・18を迎えた。昨日、中国外交部のコウ副報道官は「歴史を深く反省し、歴史と未来に対し、責任ある精神に基づき、実際の行動で国際社会とアジアの隣国の信頼を得るように求める」との談話を発表した。
9・18から82年、戦後67年を経てなおかつ隣人からの手厳しいメッセージに対して、日本人はこれを真摯に受け止めて、日本政治の変革を求めなければならない。平和と安定のために。
また「人為的に争いをつくり、煽り、軍拡、軍事戦略の見直しの口実にしないように希望する」とも釘を刺した。安倍の心を見透かしたコメントである。

昨日、叫び続けてきた徳洲会事件解明がようやく動き出した。珍しくⅠ日3本も原稿を書いた。5486件のアクセスがあった。五輪工作に官房機密費、にも関心を持つ読者が多かった。
2013年9月18日3時25分記