本澤二郎の「日本の風景」(1406)

集団的自衛権行使の狙い>
 前にも言及したが、安倍内閣の当面する本丸は、平和憲法下で禁じられてきた「アメリカの戦争に加担する自衛隊」を可能にするという戦争国家への日本大改造にある。これを極右の御用学者・元外交官を利用して強行しようというものだ。中曽根・ナベツネの野望を、安倍が実現するという大変危険な安保・防衛政策の大転換である。このことに内外の専門家が重大な懸念を示している。



<これぞナチス改憲軍拡論>
 麻生発言を思い出す国民は多い。「気が付いたらワイマール憲法ナチス憲法に代わっていた」という方式の具体化である。
 日本は国民主権を前提とする民主国家である。こうした野蛮な発想は、これまで存在しなかった。それを極右政治屋が、国粋主義首相が、これを強行しようとしている。
 こんな野蛮な政権を持ち上げる新聞テレビの日本に、深刻な危機感を抱く隣人は多い。阻止するために野党・国民は立ち上がる必要がある。
天皇国家主義復活の核心>
 昨今、極右勢力は従軍慰安婦問題に向けた「河野談話」を封じ込めようとしているようだ。安倍の手先と見られる極右の蠢動に市民は警戒すべきだろう。神社神道靖国に傾倒する天皇崇拝者の暗躍、との指摘もある。
 狂信的カルトは、なにもオウムに限らない。オウムは石原内閣を目指したようだが、寸前で事件を起こしたため、当局に阻止されたが、本当は危ういところだった。世の中が乱れてきている証拠であろう。
 むろん、戦後否定した天皇国家主義の復活は、国際社会が容認しないだろう。そのためのナチス流なのだが、幸い、ワシントン・ソウル・北京のリベラル派は気付いてくれている。
<米国は日本を財布>
 ワシントンのネオコン(産軍複合体)の一部に、自衛隊を活用する動きを否定しないが、だからといって自衛隊に支援される米軍を誰も想定していない。第一、米軍に攻撃を仕掛ける国はいない。せいぜいテロである。
 ワシントンの本流は、日本をアメリカのための「ポケット」「財布」として、戦後からずっと活用してきた。過去も現在も、それは変わらない。
 このことは、日本がワシントンに舐められている証拠なのだ。自立しない日本、外交権の存在しない日本に問題の根源がある。
<外交官不在の日本>
 日本に外交官はいない、と信じている元自民党関係者は多い。戦後ずっと苦渋を舐めさせられてきたからだ。彼らの言動はというと、霞が関外交官は下手な英語使いでしかない。「アメリカのいいなり」と決めつける。確かである。
 昨日、野球界でコミッショナー加藤良三が辞任したが、もとは駐米大使をしていた無能外交官の典型と見られてきた。ワシントンの伝言屋でしかないというのだ。的外れではあるまい。
<沖縄核抜き本土並みで大金>
 ところで、72年5月の沖縄返還に際して、日本は3億2000万ドルをアメリカに差し出した。このほか密約で、さらに取られた。
 核抜き本土並みの正体を日本国民は今も知らない。新聞テレビが真実を伝えないからだ。事実は沖縄にあった、もはや使いものにならない固定した大陸間弾道弾の撤去費用などにも、血税を使った。固定した核の基地は、時代遅れとなっていたのだ。移動式の多弾頭の核兵器の時代に移っていた。
 米国は、撤去を口実に日本から大金をせしめたのだ。しかも、非常事態には核を持ち込む、通過させるとの密約も認めさせた。売国奴外交も極まっていた。笑いの止まらないワシントンが、沖縄返還の真相である。
<グァム移転も日本の血税で>
 今も変わらない。普天間移転にからめて米海兵隊をグァムに移転するという米産軍体制の計画を、日本の金でやる、というのだ。
 沖縄に海兵隊を駐留させる理由などない。万が一のことが起きれば、一瞬にして死滅する部隊であることがわかっている。グァム移転を普天間問題にからめて、日本の金で、がワシントンの狙いなのだ。

 「アメリカというずる賢い泥棒に身ぐるみはがされる日本かな」という戦後の日本外交なのだ。余談だが、沖縄返還時にナベツネはワシントン特派員をしていた。当時、衆院予算委員長の中野四郎がワシントンを訪問すると、待ち構えていたナベツネと日経の神末佳明特派員が、当時の日本では禁じられていた「エロ映画館」に案内している。

欧米勤務の外交官の主たる任務は、東京からのバッジ組を売春宿に連れてゆくものだった、と何度も聞いたことがある。日本の外交官・政治屋・特派員もこのレベルだった。
「ワシントン帰りが、政府・議会・言論界の中枢を占める日本かな」である。
集団的自衛権行使は、実はワシントンへの刃との見方も成り立つ?
2013年9月20日8時30分記