特定秘密保護法が成立するにあたって、主役は多羅尾伴内??

黄泉の国から   「岩下俊三(旧姓)のブログ」からリユーアル

断っておくが僕は別にアメリカが嫌いではない。英語は確かに嫌いだしかっての米帝国主義は旧ソ連スターリン主義とともに嫌いだけれど、アメリカ合衆国の底抜けの明るさと未来を全く疑わない単純な国民性にはむしろ好意すら覚えていたのだ。その象徴的出来事の一つが20世紀後半にアメリカがもたらしたクレディット社会であろう。昔プレイナウペイレターというヘンチクリンな英語のCMが日本で流行っていたころ、僕はアメリカのホテルでカードを提出してなかったので電話もルームサービスも出来なくて慌てたとこがあったぐらいアメリカはつねに先を見続けていたのである。

資本主義が健全に機能することが前提であった社会。その象徴がアメリカだったのだろう。


それはともかく21世紀9・11あたりから「あの」アメリカの時代が終わったと明らかに感じた。のに、いまだに対米従属を国是としている日本人がいる。それを官僚というが、彼らは自分の地位保全つまり政治家や財界より優位な地位と権力を保持するためにはそれまでアメリカの「威光」を背景にしてきたことは言うまでもない。彼らは未来を信じてはいないがアメリ国務省ペンタゴンを信じて来たのである。これは僕の肉親や友人が官僚組織にいたから彼らの偽らざる気持ちであると確信している。彼らにとって「日米同盟」こそが「自分を守るための」錦の御旗であったのだ。

ところが

今やアメリカ自体が世界一の軍事力を持ちながら、経済的に破たんしているのを糊塗しているだけという状態であるのは誰の目にも明らかだろう。ということはすでにアメリカの政治的なパワーの翳りが出ていることはバイデン米副大統領の表情からもうかがい知れる。

アメリカが自国の製造業をかっての世界一から空洞化させるまでになった現状はデトロイトの街をすこし歩いてみただけでもよく実感できるだろう。そのため国家を支えてきたのは幽霊のように根拠の薄いITや金融といった「あやかし」であった。しかしその強欲な「あやかし」でドルを維持してきた代わりにアメリカ国家すなわち米国政府はゼニを操る首謀者達のしもべとなるしかなかったのである。

その首謀者たちの強欲は今ゼニになればつまらん矜持などいらないというのだ。しかし政府もペンタゴンすらもしぶしぶゼニに首を垂れるしかないのである。かって未来を信じる野放図なじかし底抜けに明るかった「あの」アメリカの魅力などもうどこにもないのだ。建前だろうがなんだろうが強引にでも「自由と民主義」を守るという意地すらアッサリ捨てるしかなかったのだ。

その米金融亡者のしもべたる米政府の下僕として従属していて、なお現世利益のため「未来ののないアメリカ」を日本の官僚は信じているのである。そして知能の低いパフォーマー(日本の政治家)を操り続けているのだ。

そのために

日本の政治家が中国識別圏への制御をいくらアメリカに要求しようともバイデンは中国だよりの金融界という飼い主には逆らえず、習近平に遠慮するしかないのである。そして、それでもアメリカ追従の官僚は事実上の家来である「政治家」の日本政府にたいしてアメリカの要求である「特別秘密保護」やTPP、普天間移設を実現させようとしているのだ。

米金融界の意図に逆らえない米政府、その米政府の政策を金科玉条として己の権力を維持する官僚、そしてその「ハッタリ威光」に従う政治家という図式で日米同盟が堅持されてるけれど、じっさいアメリカの決定が金融界の意向に逆らえないのだから中国の経済に鑑みて安全保障「政策」は決定され、「抑止力」など絵に描いた餅でしかならないのである。

それはシリア情勢でも今回の識別圏問題でも明らかなように米政府は一度振り上げたこぶしを情けなくまた下げるしか選択肢は残っていないことからよく分かる。いまやロシア、中国といった経済大国に逆らってはいけないのだ。世界一の軍事力がありながらもその軍事を動かすにはゼニがいるのである。

しかしわが官僚組織はその絵に描いた餅を掲げて国内(内向き)での権勢を誇っているのだ。自民ナンミョウは唯々諾々とそれを「民主的」に法律にして施行しているにすぎない。

そんな政治家を「民主的」に選んだ国民がいまさら騒いでも、後の祭りである。

しかし衰退するアメリカだけをあてにして、なんど梯子を外されてもついていく官僚はそれでも賢いのだろう。情況によって主さえ変えればいいのだから。あるときは鬼畜米英の軍部に仕えあるときはその米英につかえまたあるときは、、、。国民などどうでもよいと言うことだけが一貫していればいいのだろう。

はなしは飛ぶが僕の幼児〜少年時代、片岡千恵蔵の「ある時は片目の運転手、またあるときは、、、、」という台詞の多羅尾伴内に憧れていたな〜。あの荒唐無稽とは実は官僚のことだったのか???