本澤二郎の政治評論 第62回(財界にっぽん原稿)

徳洲会と三井住友の癒着判明>
 独裁的絶対権力は絶対に腐敗する。民間の団体・組織も同様である。徳田虎雄が君臨した徳洲会も例外ではない。最近になって、彼のスポンサーが同会関係筋の証言で判明した。なんと日本最大の財閥・三井住友だった。このメガバンクは「今あわてて融資した資金回収に動いている」というのだ。自業自得とはいえ、政府与党を自在に操る超巨大財閥銀行も、いってみれば「犯罪組織に莫大な融資をして、暴利を得ていたことになる」(元自民党秘書)というわけだから、これは天下の一大事である。目下、表面化しているみずほ銀行の比ではない。




<病院の腐敗はリネンサプライにも>
 この機会に病院の小さな腐敗も紹介しよう。医療問題に詳しい人物が「リネンサプライ」と、これまで聞いたこともない言葉を教えてくれた。確かめると、入院患者が必ず利用するもので、その典型的なものがⅠ日で着替えをする寝巻だという。
 たかが寝巻と馬鹿にしてはならない。長期の入院患者にとって馬鹿にならない支出になるのだが、これを病院は1業者に独占させて、法外な手数料を得ている。入院患者の負担は大きい。そのことで泣いている患者・家族も少なくないのだ。
 「昔は保険扱いだったため、暴利値段は付けられなかった。今は患者の財布から。保険扱いのころは、寝巻1枚7ポイントの70円。それが現在は500円も取っている病院もある。厚労省はこれを見て見ぬふりをしている」というのだ。
 徳洲会でも起きていた。「東京西病院では300円も取っていたので、直ちに止めさせた」という正義の人物は、さらに追及してこれによる「病院の手数料」を明らかにさせた。「寝巻の手数料だけで毎月50万円も病院はくすねていた」というのだ。
 隠れた病院の裏金の存在を裏付けている。シーツ・バスタオル・おしぼりなどもこの中に入る。「昔は橋本竜太郎や小泉の利権で知られていた」という。病院の出入り業者の代行を病院がすることで、今も患者から途方もないカネを集めている。
 長期の入院患者にとって寝巻1枚で毎日400円、500円も取られると、その負担は大きい。こんな腐敗を厚労省は黙認している。田村大臣は知らないだろう。早速調査して適切な70円体制に戻すべきだ。
<千葉西病院の弁護士顧問料月220万円?>
 千葉県松戸市にある千葉西病院は、徳洲会病院の中でも規模が大きい。ここのリネンサプライ手数料の全てを知らないが、寝巻に関しては370円も取っていたという。正義の士の強い意向で、370円を多少、値下げしたという。この病院は、H法律事務所に月200万円も顧問料を支払っている。さらにM院長は、「個人的にヤメ検を雇って、月20万円を支払っていた」とみられていた。その後に、20万円は院長の懐からではなく、病院から支払われていることが判明した。朝日・共同も、これの取材を強めているという。

 ここで、前月号の記事を訂正しなければならなくなった。200万円顧問弁護士料は千葉西病院が、H法律事務所に支払っている金額である。徳洲会全体では相当な金額になろうか。「徳洲会本部としてもH法律事務所に顧問料100万円を払っている」という。ただし、東京西病院などは弁護士顧問料ゼロだ。
<悪徳病院救済のための悪徳顧問弁護士!>
 千葉西の200万円の根拠はというと、それは「医療過誤・事故が多いためだ」と関係筋は明かしている。頷ける説明だ。医療事故に真摯に向き合っているのか、それとも嘘と隠ぺいで患者遺族を裏切っているための法外な顧問料であろうか。後者の可能性が高い。
 それにしても、別個にヤメ検に対して20万円を支払っている?どうやら事件発覚への対応なのかもしれない。元東京地検特捜部出身のヤメ検というのだから。選挙違反事件から、中央・地方政界への贈収賄事件発覚時のもみ消し対策と見られがちだ。
 弁護士法は利益相反する弁護を禁じている。院長と病院の両股を懸けることは出来ない。「ヤメ検はこれに引っかかる」と事情通は指摘する。そのせいか、事情通に対して「私立探偵をつけた」という。病院の支払い領収書の中にそれがあったことから、発覚した。内部告発に対して、私立探偵を使って対抗していたことになる。
 「徳田は社団医療法人を私物化・犯罪組織として暴利を得てきた。これは厚労省財務省に対して詐欺を働いていたことになる。選挙違反も含め、犯罪組織としての病院を、許認可の役所は取り消す義務が生じている。管理責任者である院長も其れに加担してきた共犯者だ」とも内部告発者は指摘した。

 よく考えなくても、正義を前提にした弁護士法とは裏腹に、病院の顧問弁護士は、悪を救済する弁護によって暴利を得て生活をする悪徳特権グループにならないか。異論もあろう。それが多いほど、日本再生を約束してくれるのだが。
<600億から1000億円融資?>
 「東京地検特捜部の強制捜査で慌てふためく三井住友」という新たな事件を事情通は指摘した。「この日本最大のメガバンクは、600億から1000億円を融資している」というのである。事実とすると、その融資額は巨額である。
 筆者の知る病院グループの銀行からの融資額は、せいぜい数億から数10億円である。66病院を動かしているとはいえ、600億円だとしても巨額である。ジャブジャブ融資してきた三井住友にもあきれるばかりだ。
事情通が「回収騒動」を伝えきた理由も理解できる。徳洲会事件はメガバンクをも揺るがしている。「株主総会が揺れる」ことにもなる。三井と住友の人事抗争にも波及するだろう。
内紛はメガバンクにも及ぶことになる。巨大な腐敗事件の発覚は、次々と新たな腐敗を暴露し、新たな事件を浮上させる。カネに関して言うと、金融庁にも火花が散ることになろう。東京地検特捜部にとって、正に宝の山だ。仮に蓋をすると、それこそ永田町と霞が関に正義に飢えている人々の怒りが渦巻くことになる。
徹底したドブ掃除が求められる。

 意外や「週刊朝日」にも火の粉が飛んできた、とも事情通は決めつける。「千葉西病院は、全国の病院ランキング報道で1位と報じている。徳洲会は週刊誌まで買収していたことになる」という。
 犯罪の巣のような病院を絶賛して、大衆に嘘宣伝したマスコミに何があったのか。
 東京地検特捜部は、徳田ファミリーから排除された元側近NO1のNの家宅捜索も行った。狙いは民主党の元大物閣僚だと見られている。消えた100億円の行く先は、石原慎太郎一人だけではない。
2013年11月9日記(「財界にっぽん」2014年1月号掲載)