アマゾンのCIAクラウドに紛れるワシントン・ポスト

マスコミに載らない海外記事   メタボ・カモ


報道機関は、利益相反を体現すべきではなく、明らかにすべきだ。だがワシントン・ポストの所有者が、現在中央情報局(CIA)と大きな商売をしているのに、新聞のCIA報道の読者は蚊帳の外に置かれたまままだ。

ポストの新たな所有者ジェフ・ベゾスはアマゾンの創設者、CEOで、同社は最近、CIAと6000万ドルの契約を結んだ。しかし、ワシントン・ポストのCIAに関する記事は、新聞の唯一の所有者がCIAのビジネス・パートナー、アマゾンの主な所有者であることを情報公開していない。

ベゾスの様な超億万長者にとってさえ、6000万ドルの契約は大きな商売だ。四ヶ月前にワシントン・ポストを購入するのにベゾス支払った金額の二倍以上の額だ。

CIAが気前の良い商談をした由来には更に色々ありそうだ。アマゾンの提案は最安値ではなかったが、ともあれ高度なハイテク“クラウド”インフラを提供し、同社はCIA契約を勝ち取った。

ベゾスは、アマゾン・ウェブ・サービスを個人的にも、公的にも宣伝しており、アマゾンが、更なるCIA契約を求めるであろうことは明らかだ。先月、アマゾンは以下の声明を発表した。“わが社は、CIAとの素晴らしい関係を期待しています。”

アマゾンの過半数を所有し、ワシントン・ポスト唯一の所有者として、ベゾスは、自分の新聞で、CIAをいらだたせるようなことは抑え、大いになだめることで、一層多く稼げる立場にある。

アマゾンには、アメリカ政府“国家安全保障”体制のご機嫌を取ることでは、まずい実績がある。メディア監視団体FAIRは、WikiLeaks国務省電報を公表した後で何が起きたか指摘している。“WikiLeaksは、アマゾンのウェブ・ホスティング・サービスAWSから追い出された。WikiLeaksが公表したことに対して国民の関心が高まるさ中、読者はWikiLeaksウェブサイトにアクセスできなかった。”

国民の知る権利に対する責任は一体どうなるのだろう?

数日前、RootsAction.orgにいる知人が“ワシントン・ポストのCIA報道には、ワシントン・ポスト唯一の所有者はアマゾンの主な所有者でもあり、アマゾンは今やCIAから直接に莫大な利益を得ていることについて全面的な情報公開も並記すべきだ”という請願書をたちあげた。請願書には15,000人以上の人々が、今週、これまでに署名し、多くの人が、ジャーナリズムの原則に対する広く受け入れられている信念を強調するコメントを書いている。

ワシントン・ポストアメリカの首都における最強のマスコミ組織として機能しているが、全国的、世界的な組織でもある -- 日々、印刷物の新聞は決して手にしない、何百万人もの人々に読まれる。何百もの日刊紙が、ワシントン・ポストの報道記事や論説を転載しており、世界中にオンライン購読者がいる。

プロパガンダは、主として看過と反復というパターンに依存している。もし、同紙によるCIA報道、新聞の所有者とCIAとを結ぶ財政的なつながりを、ワシントン・ポストが進んで全面的に公表していれば、そのような率直さは、トップダウンの権力が、アメリカ社会で実際どのように機能するかについて、多少明らかにすることになっていただろう。

ワシントン・ポストが、アメリカ合州国における実績ある政治新聞であることに議論の余地はなく、同紙が政治をどのように報道するかが、マスコミ報道のバランスの目安になります”ジャーナリズム研究者ロバート・W・マクチェズニーは指摘している。“国民は、ワシントン・ポストの社説欄で、この利益相反について、知るべきなのです。”

インスティテュート・フォー・パブリック・アキュラシーが最近発表した声明で、マクチェズニーは言っている。“もしも、アメリカ合州国のどこかの公敵が、同様な状況になれば、例えば、カラカスの主要新聞社所有者が、マドゥロ政府から秘密の契約で6000万ドルの仕事を受けるようなことがあれば、ワシントン・ポストは、その新聞と政府を、出版の自由を愚弄したとして攻撃する大合唱を率いたろう。ワシントン・ポストは、自ら苦い薬を一服飲むべき時期なのだ。”

我々は、他のマスコミや諜報専門家達にも、これをどのように評価するか意見を求めた。彼らのコメントがワシントン・ポスト紙に掲載される可能性は少ない。

“今起きていることは、ワシントン・ポストを所有していることで、CIAと仲良くすることに膨大な経済的利害関係があるもので、諜報業界用語で、‘強い影響力を持つ代理人、agent of influence’”と呼ばれているものです。元CIA職員レイ・マクガバンは語っている。“言い換えれば、二つの大企業が、あからさまに提携して、安全保障国家を助成しているのです。”

ワシントン・ポストや多くの他のマスコミ組織の元記者ジョン・ハンラハンはこう語っている。“実に基本的なことです。CIAについてまめに報道しているワシントン・ポストの読者は、ポストの新所有者ジェフ・ベゾスは、CIAとのアマゾンとの6000万ドル契約で大いに恩恵を受ける立場にあることを、新聞とオンラインの報道記事や社説で定期的に、知る権利があり、また気付かさせられるべき権利があります。たとえそのような情報公開があったにせよ、国民は、CIAに関して、強靱な報道を得られると安心してはならない。一つ確実なことがある。ワシントン・ポストの記者や編集者達は、ベゾスがアマゾンの過半数所有者として、CIAと良好な関係を維持することに経済的な利害関係があることを承知しており、それが、鼻っ柱の強いジャーナリスト連中にさえ、CIAが好ましくない様に思える記事を書けば、出世の邪魔になることをはっきり知らしめます。”

金持ちや有力者連中は、本当に独立したジャーナリズムの炎に対し、極めて強く吹きつける。もしその灯火を高く掲げたけいのであれば、我々自ら掲げなければならない。
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ノーマン・ソロモンは、RootsAction.orgの共同創設者で、インスティテュート・フォー・パブリック・アキュラシーInstitute for Public Accuracy創設者、理事長。著書に“War Made Easy: How Presidents and Pundits Keep Spinning Us to Death”等がある。この本に基づくドキュメンタリーに関する情報は、www.WarMadeEasyTheMovie.orgにある。

記事原文のurl:www.normansolomon.com/norman_solomon/2013/12/under-amazons-cia-cloud-the-washington-post.html