本澤二郎の「日本の風景」(1501)

都知事は細川で決まり>
 1月23日告示の東京都の知事選は、細川護煕に軍配が上がるだろう。政策と人物で他を圧倒しているからである。政策面は宇都宮健司が秀でている。しかし、行財政改革が抜けている。都庁の高コストにメスを入れようとしていない。致命傷は、共産党の帽子をかぶってしまい、無党派票の多くを集めることが出来ない。支援する社民党は、細川との政策合意で候補者一本化を実現すべきだろう。自公の舛添はせいぜい150万票止まりか。地方選での自公候補は強くない。



無党派が動く>
 今回の都知事選は無党派が決める選挙である。無党派の大きな山が動く。これを動かせる候補者は、細川しかいない。反原発は天の声である。日本の政治路線を確定することにもなる。原発ゼロでも、廃炉に50年、100年かかる。その費用は莫大だし、核のゴミはそれでも永遠に解決しない。
 それでも原発推進・再稼働の安倍・原発利権政治よりは、現実的で100年後の日本に明るさを灯すことになる。54基の原発建設を推進した読売グループ・中曽根康弘の罪は、計り知れないほど重い。原発で得るものなど何もない。科学を信じる以上、当然の結論である。福島は今も、もうもうと煙が立ち込めている。2020年五輪もどうなるか?
徳洲会事件の成果>
 思えば、政治の流れを変えてくれた犯人は、徳洲会である。徳田虎雄の不正資金にまとわりついた石原慎太郎・猪瀬(失礼・名前を覚えていない)の成果だ。100億円の使途不明金にメスを入れると、安倍政権はもたない。
 東京地検特捜部の捜査には、かなりじらされた筆者だが、結果はオーライ?引き続き徹底した捜査を期待したい。この事件捜査にCIAの横槍はないだろうから。官邸の圧力など跳ね返すのである。全国民が監視している。石原家に梯子を外された谷垣は、現在法務大臣である。圧力には、自ら体を張って阻止すべき責任がある。
<反石原・反安倍>
 新聞テレビの報道に騙されやすい日本人・東京都民であるが、それでいて行動しないふやけた都民ときている。変革する力は弱い。政党や組織された団体の力はたかが知れている。しかし、今回は猪瀬5000万円事件が、都民を覚醒させてくれた。
 石原と安倍の正体をあぶりだしている。無党派の多くは反安倍・反石原と読める。投票率は上がるだろう。細川は予想外の得票を手に出来るだろう。
<ムサシを排除せよ>
 ここで問題になるのは、安倍家も株を保有しているとされる選挙屋「ムサシ」のことである。開票をたちどころに処理するという自動読み取り機の一件である。これのコンピューター操作による不正疑惑が、また行われるのか、という疑念である。
 1昨年の総選挙や昨年の参院選でも問題になった。「ムサシ」を排除して、多少の時間を懸けてもいいから、地元選管の手に任せるべきだろう。不正は最小限に抑えることが出来るからだ。疑惑の「ムサシ」を使って不正が発覚した場合、日本でもタイのような大混乱が起きてしまう。
 東京都選管の公正な対応が重要である。あえて苦言を呈したい。
原子力ムラの衰退>
 東電の不正・腐敗は既に露呈している。新聞テレビが報道しなくても、筆者にも見えてきている。東京都は東電の大株主である。東電・原子力ムラにメスを入れる細川知事になるはずである。ここに国民の期待が集まっている。蓋をする自公候補に対抗する細川なのだから。
 東電に法的なメスを入れないと、国民の負担はさらに拡大してゆく。消費税でカバーできない。細川圧勝で、安倍内閣とそれを支える原子力ムラの、危険で利権の塊を駆逐することが出来るだろう。
 代わって日本のエネルギー政策の基本は、自然エネルギーへと代わる。ドイツ並みの日本になる。50年、100年の長期の日本に明るさが灯ることになるだろう。命を大事にする世の中が生まれる。
<国際的な安倍封じ>
 ご存知、安倍政治は靖国天皇神格化による日本帝国の再現を狙う改憲軍拡路線として、国際社会において定着している。安倍の靖国参拝によって韓国・中国・米ホワイトハウスの懸念が、見事に正当化された今である。
 安倍の天皇国家主義に対して、国際的な包囲網が確立してしまった。完全に孤立化した日本である。安倍に信頼を寄せる世界の指導者はいない。コートジボアールエチオピアでいくらわめいても、ニューヨークには届かない。日本の新聞テレビがいくら宣伝しても無駄なことである。
 国際的に、リベラルの潮流が列島を押し包んでしまっている。細川支援グループは、こうした危機を感じ取っての決起でもあろう。日本は国際社会と連携して生きられる国である。其れには隣国に喧嘩を売るような政治路線など論外である。
 筆者は小泉を悔悛したと思いたい。甘いかもしれないが、政権を離れ、72歳にもなれば人間性が表に出てくる。シベリア利権にこだわる森喜朗とは違うと判断したい。
改憲軍拡にNO>
 世界も日本人も、改憲軍拡の日本に賛成しない。真っ当な新聞テレビが現れると、覚醒する日本人である。現在、日刊ゲンダイとそれにやや歩調を合わせる東京新聞、これに朝日や毎日が連動すれば、東京を変えることが出来る。
 今回の都知事選は、そのための試金石でもある。改憲軍拡に走る財閥と都民・主権者の一大攻防戦でもある。「日本人の平和主義は、そんなにいい加減ではない」という宇都宮徳馬の遺言も聞こえてくる。平成の治安維持法を強行した自公に対して、公明党創価学会の内部からの反乱も想定される。
<リベラルの台頭>
 リベラルの潮流が表面化する都知事選だ。その前に沖縄では名護の市長選が行われる。辺野古移転推進の安倍内閣は、まずここで手痛い敗北を喫する。平和を欲するリベラルは、ホワイトハウスに限らない。
 オバマは前国防長官・ゲーツの回想録出版で、その平和主義ぶりが証明された。彼もまた、ケネディのように産軍複合体に与してはいない。イラク・アフガン戦争を経て、世界はリベラルが圧倒している。それに日本だけが例外ではありえない。読売言論も衰退の危機にある。
2014年1月15日記