本澤二郎の「日本の風景」(1503)

<怯える財界・中曽根>
 細川護煕出馬で日本の怪しげな利権集団「原子力ムラ」が青くなっている。細川票の成り行き次第では、3・11を乗り切ったものの、原発ゼロ政策の下で生き延びることは困難だ。さっそく、怯える財閥の代表である日本商工会議所の三村明夫会頭が細川批判を開始した。新日鉄住金の三村は、なんと中曽根康弘が主宰する世界平和研究所の副会長でもある。中曽根と同じ群馬県出身だ。



 資金数百億円で立ち上げたとされる世界平和研究所は、中曽根が後継者に指名した竹下登の悪しき努力の成果で知られる。昔、松野頼三から聞いている。腐敗資金に相違ないらしい。以前、ここには全学連の活動家が事務局をやりくりしていた、とも聞いている。この胡散臭い研究所について、元法務大臣中村正三郎からも聞いている。右翼的御用学者・右翼官僚のたまり場なのか、それとも日本版CIAを目指しているものか?
ナベツネの反細川キャンペーン>
 御用と名のつくメディアが、中曽根の盟友・ナベツネの読売である。一部で不買運動も起きているらしい。読売の正力松太郎こそが、中曽根と共に日本に原発を持ち込んだ人物で、CIAの代理人としても知られる。
 日本を潰してしまったような54基の原発建設は、正力・中曽根・ナベツネを抜きに考えられない。原発の建物は、中曽根の縁者でしられるゼネコンの鹿島である。細川出馬は、この闇利権を白日の下にさらすことにもつながる。
 細川支援の小泉純一郎は、中曽根のライバル・福田赳夫の下足番から議員になった。大の中曽根嫌いだ。政権担当中、年齢制限を適用して中曽根を排除した人物だ。こうと思ったらテコでも動かない。中曽根もナベツネも、都知事選で最大のピンチを迎えたのだ。
原発ゼロは関ヶ原の戦い
 ナベツネや中曽根、三村も福島の現地に行っていない。1日現場で過ごしたらどうか。福島の思いがどういうことか、少しは理解出来るだろう。福島県民は細川応援団に違いない。
 日本から原発を無くせるか、これが日本再生の決め手といっていい。このままだと第2、第3の福島で日本は崩壊する。地球を破壊してしまう。想定できるだろう。目下、現場は東芝3号機で一喜一憂している。4号機が破損すると、首都圏は壊滅する。これもわかりきっている。
 過去はともかくとして、今回の細川や小泉の決断はまともである。まともに生きたい日本人は、細川に清き1票を投じるだろう。
 既に自民党本部と公明党本部は、一歩引いた布陣を敷いている。東京都の組織任せだ。どうやら敗北を認めた形である。共産党が「宇都宮健児を降ろさない」と公約、自民党に塩を送っているが、大量の無党派が自公共の壁をぶち破るとみたい。
 原発政策をめぐる都知事選は、天下分け目の戦い・関ヶ原なのである。
<ああ日本記者クラブ
 数日前、自宅に日本記者クラブの会報(2014年1月10日)が届いた。しばらく放置しておいたが、昨日封筒を切ってみると、1面に写真が載っている。特定秘密保護法・世紀の悪法が参院本会議で可決した場面である。言論の自由・人権抑圧の悪法の特集記事で埋めてあるはずと思い、ペラペラとめくっても其れが無い。日本記者クラブのノーテンキぶりを露呈する会報だった。
 一つだけ自民党の石破幹事長の会見が載っていたが、まともな批評ではない。書き手を確認したら、なんとナベツネの子分だ。特定秘密保護法推進派の記事だった。
 友人が次々とクラブを辞めているのも、これが原因なのだろう。公正な言論が日本記者クラブにはない。
<釣り船死者2人への安倍の態度>
 海上自衛艦がまたしても釣り船にぶつかり、2人を死亡させている。以前、銚子沖でも同じような事故が発生した。直ぐに大臣が辞めた。
 今回は改憲軍拡派の内閣だ。防衛大臣は居座るだろう。安倍の態度もひどかった。記者団に感想を求められた安倍は、立ち止まろうとしなかった。2人の命への配慮がまるでなかった。都知事選対策で頭が混乱しているのであろうか。こんな総理を操る財閥支配の日本でいいのだろうか。

 従軍慰安婦の問題を韓国の女性大統領は、インドの女性リーダーに呼び掛けて、新たな関心を集めている。中国の外交当局も、今度ばかりは堪忍袋の緒が切れたような厳しい対応をとっている。日本の右翼団体アメリカの産軍体制の関係者と会見、理解してもらったと吹聴している。子供じみている。
 安倍の靖国参拝歴史認識改憲軍拡・軍国主義化は、1本の太い線で結ばれている。問題の深刻さは、途方も無く大きく、戦後最悪といっていい。都知事選に注目が集まるゆえんである。
2014年1月17日記