本澤二郎の「日本の風景」(1518)

<安倍の小泉憎し国会でも露呈>
 1月31日に衆議院予算委員会が開かれた。たまたまジムのマシーンで歩行運動中、民主党の篠原・原口議員の質問場面を見聞した。長野県選出の篠原は、地元の満蒙開拓団の悲劇を学んでいた。確かに、多くの開拓農民が貧困の長野県出身だ。開拓団は「政府による、満州での開墾と言われて現地入りした。ところが、既に開墾されていた農地だった。中国の農民の耕地を略奪した農地だということを、現地入りして初めて知った。政府は農民に嘘をついた。敗戦時も同じで、敗戦を知らないため多くの日本人が自害した。政府は秘密を知らせない。そこに悲劇が起きた」と言って、世紀の悪法・平成の治安維持法を追及した。



 こうした開拓団の悲劇を「初めて聞いた」と歴史の真実を知らない安倍は、自らの不勉強ぶりを露呈した。続く原発問題で「あなたを総理にした小泉さんが反対している。なぜ応じようとしないか」という質問に対して、安倍は本心をさらけ出した。「私は森さんにも育てられた。森内閣官房副長官になっている」とことさら原発推進派の森の名前を強調して見せた。
 このやり取りを見ていて、筆者は改めて安倍と小泉の抜き差しならない厳しい敵対関係に気付かされた。
 今の都知事選は、安倍と小泉の代理戦争なのである。徳洲会事件の表面化に汗をかいた成果なのだ。
<恩師は森喜朗
 安倍の言い分は事実に反する。嘘をついている。今もそうだが、当時の安倍に政治経歴はなかった。小泉が強引に官房長官自民党幹事長の要職につけたものだ。安倍にとって、小泉の存在なくして政権に就くことなど100%なかった。しかも、小泉から政権を禅譲してもらったものだ。断じて森ではない。
 それでいて森を恩師だとうそぶく。ここに安倍の恩師を裏切る心情が、我々の想像以上のものであることを裏付けていた。
 原発ゼロは正論である。小泉の政治判断は正しい。原子力ムラの代弁者である森だけではない。安倍が、中曽根・ナベツネにひれ伏す理由でもある。
<小泉の安倍打倒は都知事選で>
 先輩・恩師に逆らう安倍を許せるだろうか。ことは原発・核の問題である。日本人・人類の生命がかかっている。なんとしても無くす必要がある。人間であれば誰しもそう思う。たとえ相手がナベツネや中曽根であろうとも、これを放置できない。
 こうした小泉の信念が、都知事選で爆発することになったのだろう。原発推進派の財閥や自民党の細川引きずり工作を跳ね飛ばしたのも、小泉の方である。この1点について筆者も共感出来る。原発ゼロは安倍政権打倒を意味する。小泉は、本心から安倍打倒に全力投球している。いまや小泉は靖国参拝派の小泉ではない、と信じたい。
 どうやら筆者が予想した通り、細川の都知事は間違いなさそうだ。そうして安倍・自民党を打倒するだろう。60年前の丙午の政変が、2014年にも起きる。欧米・アジアもそれに向かって動いている。国際社会と小泉の敵は、たかが中曽根老人とナベツネ老人でしかないのだから。
 信濃町も態度を変えたという。次回、これについて報告したい。
NHK会長は品格ゼロ>
 篠原質問に次いで、かつて小沢一郎が評価した原口元総務大臣が、NHKのモミイとかいう新米会長を血祭りに上げた。彼は初めて見る顔である。
 正直、こんな人物が公共放送の顔、NHKの編集権を握っていることに驚いてしまった。安倍の仲間というから、彼も神道信者に相違ないだろう。カルト人間なのか。記者会見で「従軍慰安婦はどこにもいた」と大阪の橋下レベルの発言をしたのだから。
 こうした彼の歴史認識を、安倍は高く評価してNHKの要職につけたものだ。悪辣すぎる。三井財閥の正体をも、暴いた形である。皇国史観は永田町の極右だけではない。大手町もそうなのである。
 今の官邸と大手町の結びつきを、多くの学者は研究していない。彼らの恩恵を受けているからである。海外の日本研究者にも、それは言える。NHK新会長には品格が全く感じられなかった。
<ふてぶてしい態度>
 そもそも態度が悪い。ふてぶてしい態度をNHKが生放送している。NHKに健全な労働組合はない。あれば排除したであろう。安倍の一存で、極右の財閥代表がNHKの編集権を掌握する。こんなふざけたことが許されるはずがない。民主主義の国ではありえないことなのだ。
 モミイとかいう態度の悪い三井の代表は、国会という場所もわきまえていなかった。思うに、彼は「安倍のような人物が総理大臣、そんな人物を首相に祭り上げる国会ではないか」との認識でもって、国会に出てきたのであろう。そうした態度がありありなのだ。
 早々に辞任させるべきだろう。
<三井に人材なし>
 財閥に人材はいない。いまの経団連会長は住友だ。これも態度がよくない。新しい会長も三井である。三井が財界を代表して安倍内閣を支える、という布陣が読み取れる。三菱と安倍家は格別の関係にある。
 日本政府が、財閥に乗っ取られていることに、日本国民はそろそろ気付くべきだろう。霞が関も彼らの意のままなのである。
 それにしても、こんな人物が三井を主導してきたことに驚きを禁じ得ない。政界に人材がいないのは百も承知しているが、政界を支配している財閥にも人材はいない。

 日本国憲法を理解していない国家主義者ばかりなのである。放送法も理解しないままNHK会長に就任、そこでの初めての記者会見で極右思想の個人的意見を乱発、批判されると、あわてて撤回して「職務に専念したい」とうそぶく。
 これが安倍人事の正体なのである。政治の劣化の背景に財閥の暴走が起因している。このことに世界の指導層は認識すべきだろう。核(原発)と武器輸出に狂奔する安倍内閣の悪しき人事に油断は禁物だ。

 こんな悪辣な政権を誕生させた小泉の責任もまた重大であろう。安倍の首を取る責任がある。
<受診料不払い運動に拍車>
 NHKの受信料は上向いていると宣伝しているが、本当だろうか。原口も指摘したように、偏向報道政府広報NHKに日本国民が子羊のように従っているということだと、これは日本とアジアの危機である。
 受信料不払い運動に弾みがつくだろう。読売・産経不買運動も拍車がかかるだろう。

 ともあれ、人類の名において原発(核)を封じ込める必要がある。地球と人類が生き延びるために、悪魔エネルギーをゼロにする責任と義務があるのだ。
2014年2月1日7時30分記