本澤二郎の「日本の風景」(1548)

<新たな米連邦議会調査局の安倍報告書> 日本の新聞テレビの扱いはどうなのか。新たな米連邦議会調査局の報告書のことである。遠慮しているのかもしれない。安倍批判のできないナベツネ傘下の日本言論界なのだから。筆者はハンドルを握りながら、昨夕2月25日午後7時のNHKラジオを聴いていた。本来、健全なNHKであれば、ワシントンの対日関係の情報はトップニュースのはずだが、「従軍慰安婦はどこにもある」と考えている籾井会長だから、ニュースの後ろのほうで短く報道した。それを偶然聞いてしまった。ワシントンからの重要・重大なメッセージであろう。中国では、議会が「南京大虐殺の記念日」などを決めたらしい。日中・日韓と日米関係も最悪なのだ。



<最悪の日米関係> 安倍は口を開けば「日米安保の深化」を吹聴してきたのだが、現実は深化どころか破壊してしまっている。鳩山内閣普天間問題をアメリカ側から報道して、内閣を退陣に追い込んだ新聞テレビは、いまの国家主義政権を必死で擁護している。
 不思議な日本のジャーナリズムである。最悪の政権を擁護する新聞テレビもまた、戦前のような大本営報道になってしまっている。
国粋主義者靖国参拝> 米連邦議会調査局は安倍内閣発足時に安倍の評価をしている。ナショナリスト国家主義者)、ストロング・ナショナリスト国粋主義者)と断じた。
 それを確かめるように、米国務長官と国防長官という外交と国防の最高責任者が、千鳥が淵墓苑を訪れて献花した。これに対抗するように安倍は戦争神社・靖国を参拝して、ワシントンに反撃した。
 これは連邦議会調査局の報告書の正しい分析を証明した事になる。米政府も米議会も安倍NOを内外に明らかにしたものだ。
<米国利益損なう> 報告書で安倍の歴史認識を痛烈に批判しているようだ。安倍の歴史認識は、皇国史観を基礎においたものだ。「日米戦争は防衛戦争」との安倍認識がアジアと国際社会に警戒を強めているのだが、当然のことながらワシントンの外交を根底から覆す事になる。
 「アメリカの利益を損なう」という初の東京の政府に、今のワシントンは戸惑いと言うよりも、怒りだしている。
 日米関係は最悪なのである。
<価値観異なる> 日本国家主義とワシントンのリベラル政権の共存はありえない。少なくとも信頼する同盟関係を構築する事は不可能である。
 プーチンソチ五輪に浮かれている時にウクライナの親露政権を失ってしまった。背後に欧米の陰謀も働いている、と専門家は分析している。「価値観が異なる東京」の政権にどう向き合うべきか。ワシントンの苦悩は、どういう形で表面化するのであろうか。
 「オムツする日本の首相」という批判レベルでは、止まらないだろう。事情通は「今のCIAは分裂している」と見ているが、彼らの資金はホワイトハウス連邦議会が握っている。詳細は不明であるが、ワシントンの次ぎの一手に、安倍は気が気ではないだろう。
<安倍排除の行方> CIAは過去において、吉田内閣を造船疑獄というスキャンダルで退陣に追い込んだ。東京のキングメーカー田中角栄ロッキード事件で葬った。鳩山内閣をスキャンダルと普天間問題で辞任させた。小沢一郎を政治資金と疑惑報道で沈没させた。
 安倍をどう料理するのだろうか。
 国内的には公明党を足下にかしずかせ、野党の石原維新と渡辺みんなの党を手玉にしている。民主党内の松下政経塾を抑えて、国内に敵なしであるのだが。
 アジアと欧米の国際包囲網に対抗できるのであろうか。春秋の筆法をもってすれば、政変の足音が聞こえてくる。
2014年2月26日11時00分記